ベーシストたけっちブログ

都内と横浜で活動するウッドベーシスト“たけっち”のブログです
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September 24, 2016

SONGS宇多田ヒカル

実は宇多田ヒカルが大好きでして。。。

先日放送してたSONGS宇多田ヒカル
6年振りのアーティスト活動の再開。
明るい曲調でも何だか悲しく切なくなるのはいつもの感じだったけれど、
その「悲しみ」をもう「美」の極致まで昇華させているかのような歌だったな。。。
モーツァルトにも通じる美意識。ほんとすごい。

確かに歌詞の世界観は明るく希望に満ちたものに変わったけど。
いろいろと余計なものが削ぎ落とされ、眼差しはお母さんの藤圭子にそっくりになっていた。
まだ33歳?もう悟りを開いちゃったかのような眼差し。

井上陽水さんのコメント「日本とアメリカのどちらにも属さないアウトサイダーという立ち位置」、
糸井重里さんの「いつも苦しそうに歌っている」というコメント含め、ああちゃんと捉えているなぁと。

「ともだち」という曲は、同性愛者からの視点から歌ったということで、その視点が独自なもので、感情の奥に潜む石ころに触れられるような歌詞だった。ブラスを使ったアレンジといい曲調も好きな感じ。

ご本人も言っていたけど、今までは空想の世界を唄うことが多かったが、結婚し出産し母親になり、歌詞が肉体を持ちリアリティを感じさせるものになったと。

「言葉」の力を信じて、時には意外性や跳躍のあるユーモアも含めつつ、その言葉を聴き手にちゃんと届ける歌手が好きです。

これはニューアルバムが楽しみです!
bamboobass at 10:28│Comments(0) Live日記 

September 18, 2016

ビブラート

震える声で語ればよい。震えは天空をゆるがし、神々を呼び覚ますだろう。
真摯な思いがない所に震えは決して生まれない。
震える手で文字を刻め。心から祈る時も、私達の手は震える事がある。
人々がその様子を忘れても大地は必ずや震えを記憶する。心を震わせよ。
もう一つの心がそれを受け止めるだろう。
若松英輔

うまく祈ることすら、出来ないようなとき。
木肌に掌をあてる。水を吸い上げるちからづよい、大地の音。
わたしたちは含まれている。いいことも、わるいこともみな。
見あげれば空。どこまでも空。
岩槻優佑

風は音楽を冥府へ運びます。
また死者の姿をこの地上に運ぶのです。

              パスカル・キニャール「めぐり逢う朝」より

歌をうたう。
いつもそうだ。
なにかをしようとすると
いつもなにかを押し殺している。
そのことに気づくのだが。
考えてみるがいい。
常に殺されていて。
殺されつづけて。
黙らされて。
だから腐っていて。
腐りっぱなしで。
だから臭気をもてあましていて。
じっとまもっているしかなく。
だから歌をうたおう
歌をうたうしか
とせっぱつまって歌をうたう。
何でもないことだ。
お茶漬けだ。
さらさらだ。
殺されていて。
殺されつづけて。
黙らされて。
いつでもそうだ。
いつものことだ。
心がふるえるのだ。
歌をうたうためには君
大声はりあげなくてもいい。
心がふるえてくるのだ。
がくがくふるえてくるのだ。
鳥よ。
飛べ。
そうだ。飛べ。
鯨よ。
喰らえ。
そうだ。腹はちきれるまで喰らえ。
海よ。
産め。
塩の渋。舌もねじきれるほど。
君よ。
きけ。
そうだ。
歌なんだ。
安水稔和「うたう」


今回、ボッテジーニの「夢」に取り組み、旋律の歌い方を自分なりに研究した。
ただビブラートに関しては、自分のイメージと奏法が定着せず、本番では中途半端な表現となってしまった。
音をもっと伸ばすべき箇所で、右手が逃げて、左手のビブラートも止まってしまっている。
今回挙がった反省点を今後の課題に置き換えて取り組んでいきたい。

そのビブラートについて、ちょっと考えてみる。

演奏会後、初期の練習の様子を撮った動画を見た。
ヴィブラートをかけてる箇所が多過ぎる。表現が過剰過ぎる。。。
まるで、こってりしたとんかつの上にさらにマヨネーズをかけているような感じだ。

ノンヴィブラートという言葉があるが、
これは「ビブラートをかけない」という否定形でネガティブな意味になってしまう。
それよりも「ピュアトーン」と言うべきだという話を聞いた。
ジャズだと、ジム・ホールやポール・デスモンド、リー・コニッツのトーンを連想する。
あえてビブラートはかけず、フラジオをうまく使うなどの方法もある。
Stefano Sciascia の演奏は、そのフラジオとビブラートの比率のバランスが素晴らしく、随分参考にした。
また、バロックでは開放弦の響きを生かしていて、聴いていて心が空洞になるようで心地良い。
これがロマン派になると、開放弦はあまり使わず、全ての音にビブラートをかけるのが習慣になっている。
何事もちょうどいいバランスとメリハリが大事なのかもしれない。

今回のバッハも、ゲネプロの時にVnのNさんと話し、会場の響きを考慮し、バロックではあるが、客席へ音を届かせるのが重要ということで、ウエイトをかける音や経過音など大事な音にはビブラートを少しかけるようにした。
プロのコントラバス奏者のリサイタルを何人か聴いたが、ビブラートはただ音が痙攣しているようにしか聴こえない場合が多く、音が空中で拡散し、こちらまで届いていかない。
また、「どうだきれいだろう?」と見せつけてるように、過剰に聴こえてしまうこともしばしば。
「うーん、ビブラートって何なんだ?」と考えてしまった。。。


今の僕の考えとしては、

「ビブラートは自然との共存」

なのではないかと思っている。

風を起こし、木の葉や花を揺らす水平方向の力。
樹がその根から水を吸い上げるような垂直方向の力。
蜜蜂が花粉を花から花へと運ぶように、あるところからあるところへ受け渡すもの。
夜の湖に月が映し出され、湖面が揺れる。
そういった自然の動きを模倣する。語りかけるように。問いかけるように。
どこからともなくやってくる風は自然から僕達に対する問い掛けなのかもしれない。
ピアニシモで大事なことを語る時に、緊張で言葉が詰まり、声が震える・吃る感覚。
ビブラート1つとってもいろいろなイメージがあることを知った。
僕の場合、こうしたイメージ、まず言葉から想起されるイメージがないと、実際の音と結びつけることができない。

音のエネルギーの方向を意識し、語りかけるように、ビブラートをかけて音を遠くへ飛ばす。

ある日、モンゴルのホーミーを聴いていたら、地声と倍音による声が溶け合って共鳴し、平均律から外れた絶妙な音程感覚だが、自然な揺れがあり、スケールの大きな音楽で、ものすごく気持ちがよくなった。

ビブラートへの探求は続く。


齋藤徹さんのお話も思考のきっかけになる。
ビブラートとは?
音・響 (音は聴くものか?)


ボッテジーニ「夢」 お薦めCD
ビブラートは適当な速度と周期でやってもそれなりに聴こえそうな気がするが、この方達の演奏をゆっくりなスピードで再生したら、ビブラートは規則正しい3連のリズムの周期でかけられていることがわかった。適当ではなく、ちゃんと制御されているということを知る。
夢~コントラバス作品集~
吉田秀
マイスター・ミュージック
2013-02-25



ボッテシーニ:コントラバスとピアノのための作品集
ステファノ・シャシャ
Newton Classics
2012-03-14



Bottesini: Reverie
Universal Music LLC
2016-01-27



Leon Boschさんのボッテジーニ集など


bamboobass at 21:32│Comments(0) ベースラインの研究 

September 11, 2016

第14回定期演奏会 (ボッテジーニ「夢」)

昨日開催の楽団の定期演奏会にお越しいただいた皆様、ありがとうございました。
今の自分の持てる力を全て出し切った演奏会でした。今は燃え尽きて抜け殻状態です。。

コントラバスの作曲家ボッテジーニの「夢」
この曲と向き合った半年間。
自分なりにイメージやストーリーを考え、ピアノのマダム神谷さんと世界観を共有してきました。
やっぱりこうしたクラシックのソロは大変です。。ゲネプロの時は「どうしてこんなことしようと思ったんだろう」とネガティブになりましたが、いろいろな方々のアドバイスや応援のおかげで何とか演奏することができました。感謝です。
本番は適度の緊張がありましたが、不思議と気持ちは落ち着いてました。

今は亡きチェロのTさんに聴かせたかったなぁ。。。
最後のヴィヴァルディの演奏の時に、会場の窓から日が射し込んでいて、舞台上を照らしていて、僕の右膝あたりにも光が当たっていました。
まるで天国にいるTさんがほほえんでくれてるかのような暖かい光でした。僕の音、Tさんに届いたかな。。。

いろいろ考えるところもあり、人前でこういうソロを弾くのはしばらく止めます。。


当日お配りしたパンフに掲載の曲紹介文です。

ボッテジーニ(1821−1889)は、イタリアのロンバルディア出身のコントラバス奏者、作曲家、指揮者です。
「コントラバスのパガニーニ」の異名をとり、自ら指揮する演奏会の幕間になると楽器を抱えて登場し、その卓越した技巧を披露して人々を魅了したと言われています。
今日でも演奏される数多くのコントラバスの為の小品や協奏曲を作曲し、この楽器が多彩な音色と可能性を持った独奏楽器であることを証明しました。
この曲は晩年に作曲されたコントラバスとピアノの為の小品です。
前半は仄かに輝く月の音色を持ったコントラバスが深々と旋律を奏でます。中間部から転調し、チェロのような飛翔感溢れる朗々とした音色で奏でられ、最後は朝日が昇るようなフラジオレットで終わります。ボッテジーニが夢見たであろう、ある夜から朝にかけての小さな物語をお楽しみください。
bamboobass at 09:03│Comments(0) Live日記 

September 02, 2016

ACA SECA TRIO初来日

アルゼンチンから来日してくれたアカセカトリオの演奏を聴いた。
僕の心の地平線の音楽。彼らの音楽に何度心が救われたことか。

仕事を終えて即効ダッシュ。開場時刻を少し過ぎしまい、会場前は長蛇の列。焦ったが、整理券番号が若い番号だったので、早めに入れた。客側のスペースは椅子が無く、ロックコンサートのようにスタンディングのスタイル。一番前の列でかぶりつきだった。Juanのギターが真ん前にセットされている。

中原仁さんのDJタイムが終わり、いよいよアカセカトリオの3人が登場し、演奏が始まった。
目の前で繰り広げられる3人のパフォーマンスにただただ感動。
なんて美しく力強い音なんだろう。彼らが住んでいる土地の空気や自然の風景を感じた。
メンバー同士心が通い合っていて、本当に楽しそうに演奏していた。あああ、ライブだなぁ、と。

オリジナルの他にCarlos Aguirre、Hugo Fattoruso、Edgardo Cardozoのカバー曲も美しく、スピード感に溢れ、風のようだった。美しいハーモニーを聴かせる曲もあったが、大地を踏み鳴らすリズム、魚が飛び跳ね川が流れる音、土着的なお祭り騒ぎの音楽。CDの印象とは違い、随分とパワフルでラフな印象もあった。
こういうのって生で聴かないとわからない。椅子に座って聴く音楽じゃないね。スタンディングで正解。
パワー溢れるリズムの躍動感と、美しい歌声。まるでロックコンサートのような雰囲気だった。

そして3人とは思えない音の厚み。
特にMariano Canteroのパーカッションがすごかったなぁ。音圧がすごいけど、アンサンブルに溶け込んでいて決してうるさくなく自然で、ダイナミクスと休符の切れ味、リズムの躍動感を表現していた。複数のリズムが同時に鳴っていて、ソロはここぞとばかりに叩く叩く!怒涛のパフォーマンス。しかもコーラスワークや時折メインボーカルをしながら叩いている!彼らは演奏しながら歌ったりコーラスワークも出来るから一人フーガ、一人対旋律だわな。アンドレスはピアノの上にミニキーボード(シンセベース)を設置し、時折それを左手で弾いて音の厚みと立体感を出していた。

アンコールは感動のアカペラ。

次に登場したベネズエラのセシリア・ドットさんの演奏も素晴らしかった。
同じ3拍子でもアルゼンチンのものとは全然違う。
マラカスふりふりおじさんに目が釘付け。かっこいい。途中でアカセカの二人も飛び入り。

ライブ後はアカセカの3人にサインをもらいJuanと握手。憧れの人達が目の前にいることが信じられない。
夢のような一夜でした。

彼等を日本に呼ぶのに色々と苦労があったかもしれないけど、このようなコンサートを企画してくれた実行委員会の皆様に感謝。そして、はるばる日本に来てくれたアカセカトリオの3人に感謝。終わった後は自然と感謝の気持ちが溢れた。

目の前にいるアカセカトリオの3人を見て、ミュージシャンとしてこうありたいと強く思った。


成田 佳洋さんのSNSに写真が掲載されています。

サインもらた!
bamboobass at 22:45│Comments(0) Live日記 

August 28, 2016

ありあけありあトリオ@cooljojo

市川市の本八幡で長谷川さん夫妻が新しく始めたお店「cooljojo」に行ってきました。
お店の名前はジャズギタリストの故 高柳昌行さんのアルバムタイトルからとられています。
店内には高柳さんの蔵書が展示されています。読書家でもあった高柳さん、ジャズだけでなくクラシック関係の本もたくさん。
本を開けると赤線やメモなどがびっしり書かれているページがありました。
これだけでも高柳さんの生き様が伝ってきます。

長谷川さんの奥さんの絵画作品も展示されています。
つい先日観た映画のセリフ「画家の筆が立てる音を聴きなさい。弓の運びに生かすのだ」を思い出す。
色の濃淡や窪みや線は弦楽器の弓の動きにも通じる。

とてもオープンで素敵な空間だ。

この日のライブはビブラフォン奏者ありあけさんのトリオ。
ピアノは小太刀のばらさん、サックス&フルートは宮野裕司さん。
夏が終わりに近づき、秋の移り変わりに相応しい涼しげで爽やかなトリオのサウンド。
店内はほどよく残響があり、優しく丁寧にピアノを鳴らすのばらさん(そんなのばらさんに弾かれるピアノもさぞ幸せだろうなと思う)、それとは対照的に音板をアグレッシブに叩くありあけさん、
対照的な見た目だが、ピアノとビブラホンの和音が溶け合った時の音の響きの膨らみが素晴らしかった。空気が振動するというか膨張する感覚。そこに宮野さんの美しい音が絡んでいく。
ほんとにこのお三方、まず音色が美しい。室内楽ジャズといった感じ。僕の憧れのスタイル。
ジャズスタンダードやありあけさんのオリジナルが中心のプログラムで、特にスティーブ・スワローの曲が美しかった。この編成にぴったりの曲。
とても贅沢な夜を過ごすことができました。

家に閉じ籠って練習するのもいいが、たまにはこうやって外に出て生の演奏に触れないといけないなぁ。
長谷川さん夫妻、ありあけさん、ありがとうございました。

とても素敵なお店です。お近くの方は是非行ってみてください。
http://www.cooljojo.tokyo/

ありあけありあトリオ


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cooljojoのアルバムジャケット


高柳さんの蔵書
bamboobass at 22:24│Comments(0) Live日記