ベーシストたけっちブログ

都内と横浜で活動するウッドベーシスト“たけっち”のブログです
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July 16, 2016

小さな勇気

なかなか梅雨明けしませんね。いろいろな人間関係にもちと悩む今宵。
このところ身体がだるくモヤモヤしているのは低気圧のせいか。。。

フランクフルト市立歌劇場管弦楽団第1首席コントラバス奏者である野田一郎さんのセミナーを受講してきた。
野田さんのHPに掲載されている楽器の発音のメカニズムや奏法のお話などにとても感銘を受けて、いつか実際にお会いできたらと思っていた。
当初は聴講しようとしていたが、野田さんご本人から直接連絡をいただき、せっかくの貴重な機会なので楽器を持参して受講することになった。

会場では吉野師匠とも久しぶりの再会。
野田さんと吉野さんは同じ芸大のご出身。色々な方達との交友が深い吉野さん。
僕のことを「やっぱり師匠と弟子の関係は3年間が限界だと思うんだよね。それ以上になるとお互い色々息詰まる。だから卒業ということで追い出した。ガハハハ」とても大らかな方だ。^^;)まだ教わりたいことはたくさんあったし、取り組んでいる課題も途中だったが、ほんとにこの方に教わって良かったと思う。

セミナーは予想に反して和気藹々とした雰囲気だったが、野田さんの仰るアドバイスの数々が分かり易く、豊かな経験に基づいていて、とても勉強になった。

早々に僕の出番になり、楽団で練習しているボッテジーニの「夢」と、ヴィヴァルディの調和の霊感の通奏低音を見ていただいた。
吉野師匠もいらっしゃったのでとても緊張した。。。結果的には今の僕の演奏をお聴かせすることができて良かったと思う。
緊張すると、立奏のためか楽器がうまく固定できずブラブラしてしまい、弓を持つ手も震えてしまう。何とかコントロールして演奏。
立奏だと、野田さんのおっしゃる通り、まず演奏より楽器を固定するのに気を使ってしまう。
座奏だと身体の動きに制限は出るけど、楽器がしっかり固定される。ハイポジションでは左手と自分の身体の距離も近く感じるので音もとりやすい。
座奏で応用が効きそうな所を立奏に生かすとか、いろいろ奏法を考察しないとなぁ。

ボッテジーニに関しては、「もっと大きな流れで音楽を捉えるように」と野田さんのアドバイス。
その音がどこを目標にして向かっているのか。そのフレーズは疑問符なのか、新しく始まるところなのか。アウフタクトの重要性。また音程のインターバルについても重要で、半音のインターバルのところでは「回転するように」と。そして、出だしの沈黙から音を出すまでのお客さんとの空間を共有したイメージ。曲全体を考慮した音量バランス。
そうした曲の構造や旋律の歌い方の他にも、立奏と座奏、ジャーマンとフレンチのそれぞれの長所と短所についても実際に体験することができた。短い時間の中で本当にたくさんのことを教わった。

ヴィヴァルディの曲の通奏低音については、野田さんのアドバイスを受けて、バッハでのチェロ経験が生きてすぐに応用することができた。チェロの先生と仰っていることが同じだった。全てはつながっている。
バロックは、ダウンとアップを均一に弾いてしまうと表情が無くなりつまらなくなってしまう。
アップの音を「暗い音で」と仰っていたのが印象に残る。
拍節、ボーイングのヒエラルキー。バロックへの追求も続く。

HPの文章を読んだだけではわからなかったヘルツホルム波と、駒に蹴りを入れるボーイング、裏板に足を当てて作用点にする方法など、実演を通して学べて、今までの奏法とは全く相反することをやっている部分もあり、実演や自分の身体を通して体験しているので、その違いがより分かり易く、軽いカルチャーショックを受けた。やっぱり、実際にその現場に行って、自分の身体で本物を体感することが重要。

ジャーマンでの直角弾きはよく聴く伝統的なコントラバスらしいサウンドがしていた。温かいモワっとした膜で周りを覆う感じ。でも、自分の周りでは音が大きいけど、音が拡散してぼやけてしまい芯がない感じ。
逆に直角ではなく、駒に蹴りを入れて縦振動を発生させる奏法(まるで8の字を描くようなボーイングだった)だと、芯があり、遠くでも輪郭がわかる音だった。
野田さんが実演してくれて、僕はそこから離れて遠くの距離でそのサウンドを聴いて、それぞれの奏法から出てくる音の違いを知ることができた。

駒に蹴りを入れる奏法では、楽器本体が振動して出る倍音(低くモワーっと立ち上がっている音)と弦本体の音とを聴き分ける体験もした。
楽器本体側の倍音を大きくするにはどうしたらいいか。身体の脱力などがポイントになりそうだ。
以下、野田さんのブログより引用

サウンディング・ポイント
ピンカス・ズッカーマン氏によるサウンディング・ポイントを重視したレッスンを受けた。

弦と弓(厳密には弓毛)のなす平面上で、弓毛と弦の接点を中心として弓を15度ほど回転させながら僅かに弓を引きあるいは押して発音させる練習である。このような弓の回転は指の操作だけで実現することができ、楽器の芯をとらえて小さな力で瞬時に有効な楽音を鳴らすことができる。この練習により指の柔軟さと精緻なコントロ−ルが得られる。

ボウイング:
「弓は弦に直角に」は必要ない
基本的には弓を弦から離さない
駒の近くを弾く
脱力する

ヘルムホルツ波はダウンとアップで回転方向が違います。
弓の返しでは弓を一瞬止めるのはそのためです。
弦の振動が止まっても、楽器の振動が続くので、客席では音は繋がります。


Pinchas Zukerman


一緒に練習しているピアノのマダムKさんが「裏板の振動がよく聴こえる」と言っていたが、それだとピアニスト側には音が聴こえやすいが、客席側には音が飛んでいかない。
実は音は裏板を通して後ろ(ピアニスト側)に飛んでしまっている。
なので、しっかりf字孔から音が飛ぶようにするためには、テコの原理で裏板に足を当てることで作用点を発生させ音を飛ばす。座奏だとそれが簡単にできる。
今まで疑問に思っていたことのヒントを得ることができて本当に勉強になった。
ああ、参加して良かった。。。
コントラバスもフレンチにする日も近いか。。。

年をとると、プライドが高くなり、自分が傷つきたくないためか自らの内に閉じ籠り、周りの意見を聞かなくなり、頑固になったり傲慢になってしまう傾向があるけど、いくつになっても、小さな勇気を持って現場に行くことと、人から学ぶという謙虚な姿勢は見失わないようにしたい。
チェロに関しても、バロックの勉強や、こういった講習会に参加することも、以前はいろいろなことに甘えや怠けが出てしまいちゃんと出来なかったと思う。僕の中からわずかながらの小さな勇気と謙虚さが出てきたということ。これは亡くなったTさんからの贈り物・ギフトだと思っている。
bamboobass at 22:34│Comments(0) レッスンの記録 

July 11, 2016

チェロレッスン 第2回

朝、選挙に行き、午後はチェロレッスンへ。快晴だ。

師匠は武満徹の「死んだ男の残したものは」を鼻唄で歌いながら準備をしている。
髪の毛はばっさり切っていて、ボーイッシュでパンクロッカーみたいだった^^;)

トリオソナタの4楽章を中心に見てもらった。
この楽章が一番難しい。
1小節ずつボーイングや運指など細かく見てもらった。
LEEのエチュードも少し見てもらった。

そして、もう親指使ったポジションもやってみてもいいのでは?
ということでA線上で指板の端から端まで使うCメジャースケールの運指を教わった。
「左手の親指を特別なものだと考えない」
という言葉が印象に残る。
師匠は指が短い方なので、ローポジションでも親指を使っているという。
最近、無伴奏のリサイタルがあったそうで、
「本番は梅雨で湿気が凄くて、あーあー失敗しちゃったって思いながら弾いてたんだよねー」
と親指で人工ハーモニクスを駆使した超絶フレーズを聴かせてくれた。すすすげえ。。。

また、アルコールティッシュで指板を拭くと殺菌や湿気予防に良いという。
コントラバスの方で、湿気というか手汗で弾き難かったので、今度やってみよう。

今回も本当に色々と勉強になった。ありがとうございます。

レッスン後は愛猫きなこが登場。
抜け毛が多く、バリカンで毛を刈っている最中だという。お腹のあたりがつるつるになっていた。

あとは本番まで練習あるのみ。
がんばろう。







bamboobass at 22:02│Comments(0) レッスンの記録 | チェロ

July 04, 2016

カトマンズバール タブラの夜

後頭部がぐぉんぐぉんいってます。古澤さんとのライブを思い出す感覚。
音の洪水と熱気とお会いした人々のたくさんの温かさに包み込まれたせいでしょうか。
いろいろなものをたくさん受け取って、頭の中が限界超えて悲鳴をあげてるようだ。
いや、やっぱりただの寝不足と二日酔いか。。
ゆっくり一晩眠れば治るかな。

昨日はタブラ奏者のセルハン・バキさんをお迎えしての「タブラの夜」
今まで音楽やってて良かったー!!!と思えるライブでした。

秦野で農業を営むミカコさんともりぶさんとの付き合いは長くなりますが、改めてお二人の音楽に触れて、音楽は自然へ還すものだと思いました。
カドバンズバールという素敵なネパール料理のお店で演奏しましたが、伊勢原の駅前という比較的都会な感じにもかかわらず、演奏していると海や熱帯雨林といった大自然の中にいるような不思議な感覚に陥りました。
昨日の演奏は、まるで自然が織り成すサイクルのように、相手の音を受け入れ、飛ばし、紡ぎ合い、ただただ「音の生命」というものをメンバーで循環させていたように感じました。そして、演奏が終わると「ありがとう」という感謝の気持ちが沸いてくる。

歌いたいから、目立ちたいから、気持ち良くなりたいとか、そういうのじゃなく、なんだろう、うまく言えないけど、エゴがなく、身を投げ出して、呼応して、自ら筒となって音が通り抜けていくような感覚。
自然の豊かさや自然への感謝の気持ち、さらに厳しさや怖さも知っているお二人だからこそ出てくる音。
そのお二人に感化されて秋山さんも僕も一体となって奏でているように思いました。

セルハンさんも愛の溢れる素晴らしい方だったなぁ。。。
タブラのカーンという突き抜ける音に太陽を感じました。言葉を越えて音でつながれた気がします。
ご縁をつなげてくださった国分さん、ありがとうございました。
そして、風のような、空間に絵を描くような素敵な舞を見せてくださったベリーダンスのリリスさん、ありがとうございました。スケートもそうですが、人が回る姿って素敵ですね。

とにかく皆様、ありがとうございました!

さて、頭を切り替えて明日からしばらくチェロ週間。。。

写真はミカコさんのSNSより拝借。
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bamboobass at 20:53│Comments(0) Live日記 

June 26, 2016

LISTEN リッスン

前々から気になっていた映画「LISTEN リッスン」観た。
映画館は渋谷にあるアップリンクで、全40席ほどの小さな映画館。
作品は全て無音。(耳栓の提供があった)
お客さんは海外の方を含めて手話で話している方が多かった。聴者の僕達とは全く異なる文化がそこにある。

身体で奏でる、目で見る音楽といった感じだろうか。
皮膚感覚で物事を感じ、自分の衝動に忠実に従って身体を動かす。
この映画を観た後、音を楽しむと書く「音楽」という言葉自体、それぞれ人によって捉え方が違うのかなと感じ始めている。
音を楽しむことはもちろん大事だが、音楽だけでなく芸術全般において表現行為とは、言葉や手足からではなく、皮膚感覚で感じたこと、自分の身体の内にある衝動から出発しないといけないなと思った。
人間的なものヒューマニティ。それを失ってしまったら終わりだ。
岡山で参加したサナエさんの声のワークショップにも通じる体験だった。

時には饒舌に、時には繊細に身体で唄う。
ソロ、デュエットや、ジャズにも通じるコールアンドレスポンス、詩の朗読、はたまた集団で歌うゴスペルのように様々な表現があることを知る。
空間に絵を描くように指先が動くことによって空間が揺れ動き、周りの景色が変わっていく。
朝日に照らされる浜辺など、とにかく映像が美しかった。
手話の美しさ、身体で表現することの素晴らしさを感じた。
もし、手話がわかれば、また違ったものを感じることができるだろうなぁ。

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bamboobass at 10:02│Comments(0) 映画 

悲愴

先日は東京交響楽団の公演を聴きに行った。
これまで楽団の人達がやっているアマチュアのオケを聴きに行ったり、自分もオケのトラに参加する機会があったりと、オーケストラとの関わりが少なからずあり、オーケストラへの興味が出てきて、悲愴にはまっていた時期もあり、悲愴のプログラムを探して今回行こうと決めた。

プロのオーケストラを聴きに行くのは高校生の時以来。
その時の記憶がほとんどない。。。OBの方がある日連れて行ってくれて、確か新宿のホールだったか。
ピアノの協奏曲で、ピアニストの指の動きがすごかったなーとか、そんな記憶しかない。。。
今思うと、その連れて行ってくれた先輩に申し訳ない。。。

早めに予約して、ちと頑張ってS席を予約。1階の5列目のほぼ真ん中の席だった。
演奏者の表情がよく見えて、臨場感もたっぷり。

指揮者はイタリアから来日したダニエーレ・ルスティオーニ。30代で僕より年下。若い!

プログラムは
グリンカ 歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
ショスタコーヴィチ ヴァイオリン協奏曲 第1番 イ短調 作品77
チャイコフスキー 交響曲 第6番 作品74 「悲愴」
というオール・ロシア・プログラム。
特に中盤にかけてショスタコがあり、最後はチャイ6ということでストイックなプログラムだ。。。

冒頭のグリンカはスピード感たっぷりで爽快!
ヴァイオリンから低音のコントラバスまで高速のユニゾンをバシバシ決める!
ルスティオーニさん、若くてエネルギーに溢れている感じ。
最後の音は陸上選手のように飛び上がってバシっと決めて拍手喝采。
すごいなー、いきなり心奪われました。

次はショスタコのヴァイオリン協奏曲。
ソリストはルスティオーニさんの奥さんでフランチェスカ・デゴさん。プロフィール見るとまだ20代!
僕はこの曲の演奏を五嶋みどりさんの演奏で親しんでいた。
N響の公演もテレビで見たけど、憑りつかれたようにヴァイオリンを弾いていて、弓の毛もビシビシ切れて、終演後は寿命が数年縮んでしまったんじゃないかと思うような熱演で、ものすごい演奏だったことを覚えている。

デゴさんの演奏も素晴らしかった。幽玄なヴァオリンの響き。
プレイヤー目線で見ると、ヴァイオリン独自の距離の長い弓の使い方など勉強になった。
弓先、弓元の使い分け、重要だなぁ。
無伴奏部分では、大事な部分(強拍)で体重を乗せるように足でリズムをとったりと、無伴奏の中でもリズムがしっかり流れている。
精神に訴えかけるような幽玄で静かな響きの中、途中で狂信的というか、祝祭的な明るいリズムになる楽章もあり、華やかだった。
アンコールではイザイとパガニーニの無伴奏曲を弾いてくれた。
イザイは重音が続き精神に根を張るような深い曲だった。
パガニーニはまるでロックギターのような速弾き。ものすごいテクニックだったなぁ。

最後はチャイコの悲愴。
もう、ルスティオーニさんの生きざまを見せつけられた感じ。
パラメーターの振り切れ加減が半端ない。
近くの席だからわかったけど、ルスティオーニさんものすごく低い声で歌っているんだよね。
いや、歌声というかもう唸り声で、それこそ全身全霊で音楽を表現してる。
終演後、沈黙が訪れた後、バーと拍手が沸き、あのやり切ったという笑顔!ガッツポーズして喜びに溢れてた。僕もあんなに手が痛くなるまで拍手したのは初めて。思わず指揮者と演奏者を讃えたくなる。すごいすごい!

しかし、チャイコの悲愴は厳しい音楽。チェロのトップの人の目が一瞬虚ろになってた。
そして、ヴィブラートはもう指板が擦れてへこむんじゃないか、指が擦り切れるんじゃないかという勢い。歌う歌う!優しく甘美に歌い上げる部分、ドロドロと煮え滾るマグマのような部分が交錯する。
チャイコは演奏者に対しても容赦ない。僕もチャイ5で経験があるけど、演奏者を執拗に攻める部分がある。精神的にも肉体的にもハードな音楽。

終わって帰途につくときは、しばらく呆然。なかなか現実に戻れず。それだけ濃い2時間だったというわけか。
聴いてるこちらもクタクタになってしまったとよ。はへー
何故か無性に甘いものが食べたくてシュークリームを買ってしまった。
公演チラシ
bamboobass at 09:27│Comments(0) Live日記