アイマス1時間SSに参加しました。
例によって1時間30分かかったけどな。

アイマス1時間SS
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お題は「シンデレラ」をチョイス。
モバマスにはまってることもあって自然とそのネタに。
この発想はありがちだったかな。
キャライメージを損なっていたらごめんなさい。
【シンデレラガールズ】=============================

「えーっというわけで本日ここに集まった3人でユニットを組みます。
えっと、ユニット名は……」
「ちょっと待てい!!」
アタシは喫茶店中に響き渡るほどの大声でつっこんだ。

アタシの名前は木村夏樹。18歳、しし座。
好きなものはロック。愛しているのはロック。
尊敬する人はエルヴィス・プレスリー。
さっきそこの道端でこの自称プロデューサーとか言うやつに
スカウトされたばかりの女子高生だ。

「夏樹さん?何の問題ですか?」
「問題あるに決まってんだろ、アタシまだアイドルやるとか言ってないし。」
「そうね、私も説明を受けてないわ。」
隣の長髪の姉ちゃんがグラスの氷をマドラーでいじりながらつぶやく。
「えー、説明とか面倒くさそー。ね、帰っていい?」
対面に座っていた小学生くらいのガキも面倒くさそうに同意する。
自称プロデューサーを名乗る男はあーそうでしたね、
などとヘラヘラ笑いながらかばんから1枚の紙切れを取り出した。
「こういう企画があるんです。ほら、アイドル発掘プロジェクト。」
「アイドル発掘?」
「TV局の企画でね、芸能事務所各社が素人の女の子をスカウトしてユニットを作る、
そしてオーディションを行って勝ち残ったユニットが晴れてアイドルデビュー、こういう企画です。
どうです?面白そうでしょう?」

ドヤ顔で説明するプロデューサーに対して、アタシとガキはため息で返す。
「それって働くってことでしょ?すごい面倒くさそう、労働厨乙」
「そういわないでよ、えっと、双葉……」
「双葉杏」
「杏ちゃん、アイドルになってCDとか写真集出せば……」
プロデューサーが、ガキの耳元でささやくように言う。
「印税生活で、一生遊んで暮らせるよ」
ガキの目の色が変わるのがわかった。
「は、話を聞かせてもらおうじゃないか」
三の丸は落ちた。

「ねぇねぇ、2人もはいんなよ。3人でやればアイドル活動も楽だよ。
誰かががんばってる間、他の誰かが休んでていいんだからさ。
主に私が。主に私が。」
「飼いならされやがって……」
アタシはお断りだ。アタシがやりたかったのはロックであって、
アイドルというのは何かこう……違う。

「高橋さんはどうですか?」
男は隣にいた姉ちゃんに話を振る。
と、姉ちゃんは小刻みに震えながら何かをつぶやいている。
「えっと、高橋礼子さん?」
「……Y」
「え?」
「ジューシー、ポーリー、イエエエエエア!!」
礼子さん、と呼ばれた姉ちゃんは突然奇声を発して立ち上がり、
店内の視線はアタシたちのテーブルに集まった。
あわてて店員が駆け寄ってくる。
「あの、お客様、店内で大声はちょっと……」
「テキーラ!!」
「はい?」
礼子さんは店員にグラスを突きつける。
そういえば酒臭い。まさかさっきのグラスで飲んでたのは酒だったのか?
「テキーラ持ってきて頂戴、大急ぎで!!」
哀れにもおびえきった店員はグラスを受け取って走り去っていった。

「まさか30過ぎてからアイドル目指すことになるなんて思いもしなかった」
ガキがオレンジジュースを噴出す。
「30!?おばさんじゃんwwwwww」
礼子さんは鬼の形相でガキをにらみつける。
「今話題のアラサーよ」
「過ぎてるんだったらオバサーだろwww」
おばさんは聞こえない振りをして天を仰いだ。
「私、あこがれてたのよ、子供のときからアイドルに。
あなたもそうじゃなくって?」
突然話を振られてひるむ。
「え、えっと」
「松田聖子、小泉今日子、おニャン子クラブ。
彼女たちを見てあなたもあこがれたでしょう?」
「えっ」
「えっ」

気まずい沈黙が流れる。
「あの、ちょっとわからないです……」
「えっと、じゃあ、安室奈美恵とかSPEEDとかは?」
「あ、それならわかります。幼稚園のときTVで……」
「なん……だと……」
礼子さんは宙を仰いで放心状態になった。
二の丸は三の丸とは別の形で崩壊した。

「じゃあ、夏樹さんは子供の頃何にあこがれていたんですか?」
プロデューサーの質問、それこそ私が待っていた質問だった。
「もちろん、キングオブロックンロール、エルヴィスプレスリーさ!!」
「はい?」
「しらねえのかよ、ギネスにも載ってる伝説級の人物だろうが!!」
私は彼の生い立ちから死ぬまでを熱く語り聞かせたのだが、
残念ながらプロデューサーは『エド・サリヴァン・ショー』のあたりで限界を迎えたようだった。
杏のやつは開始10秒で帰りたがっていた。もちろん帰さなかったが。
「わ、わかりました。夏樹さんの情熱はよくわかりましたから。」
「わかったんなら良いよ。とにかくアタシはロックをやりたいんだ。
アイドルじゃなくてロックスター、わかるか?
アイドル発掘なんて企画には興味なんて……」
「じゃあ、ロックアイドルってのはどうでしょう?」
男は胡散臭い笑顔をこちらに向けていった。
「荒々しいロックとかわいらしい女の子の融合、そしてそのギャップ!!
どうです、新しいと思いませんか?」
ロックアイドル、その発想はなかった。
その言葉はあたしの心にクリティカルヒットだった。
「いいね、ロックアイドル!!最高じゃん!!
やるよ、アタシやってやるよ!!
この3人でロックアイドル目指そう!!」
「いやだよ、そんなカロリー高そうなアイドル。
私働きたくないよ、働いたら負けだよ……」
「もっと熱くなれよ!!
頑張れ頑張れ出来る出来るやる気の問題だ。
30歳超えたって頑張ってるんだから!!」
「歳の話はしないで!!」
礼子さんが方針状態から帰ってきた。

「それでは決まりですね。皆さん3人にはユニットを組んでもらいます。
このユニットのコンセプトは……ギャップです。」
「ギャップ?」
3人で同時に聞き返す。
「ええ、"ニート"が"アイドル"に。」
「ニートじゃないよ、働きたくないだけ」
「"オバサー"が"アイドル"に。」
「やめてください、ないてしまいます」
「"ロックンロール"が"アイドル"に。」
「骨盤の木村と呼んでくれ」

「まったくアイドルに縁がなさそうな3人が華麗な舞台へ飛び出す。
ユニット名は……」

こうしてアタシたちのユニット"シンデレラガールズ"は活動を開始した。