November 13, 2006

先日・・・

社の同僚が急逝しました。

享年46歳。私と同じ年でした。

奇しくも亡くなった日は彼の誕生日。

人生最後の誕生日を迎え、わずか1時間と30分ほど経過した後・・・旅立っていきました。

 

このブログを読んでる方はわかってると思うのですが、私の仕事は総務。

ですから、亡くなった日は直ぐに自宅へかけつけました。

自宅の布団に横たわっていた彼は、今にも起き出しそうな感じで・・・。

 

お通夜と告別式の受付、その他諸々の手伝いを申し出ました。

仕事柄、こういう仕事は慣れてるんです。

お葬式の受付なんて、おそらく何十回も経験してます。

それに、受付してた方が、泣かなくていいかなぁなんて思ったりもしたんです。

最近、涙もろくなってきましてね。

 

 

ちらの地方は、どちらかというとお通夜に参列する方が多いんです。

19時開始のお通夜にあわせて、遠くの支店からも仲間が駆けつけてくれたり、お子さんの同級生も大勢参列してくれました。

式場内満席で、椅子の数が足りなかったほど。私のよみが甘かったようです。

それにしても、式の開始間際、大勢の方が一気に来場されたのですが、社員が率先して式場内を整理したり椅子を出してくれたりと手伝ってくれましてね、とても助かりました。

これも彼の人徳なんでしょうか。

 

 

お通夜を終えたあと、彼の長女と話したんですが、なかなか気丈で気の利くお嬢さんでした。とても悲しい瞬間なんだろうに、私にキチンと挨拶してくれ、おまけに労苦をねぎらってくれるんです。

「おじさん、あのね、納棺の時、大変だったんですよ〜。ママの用意していた誕生日プレゼントの靴と大好きだったタバコを入れようとしたんだけど、タバコが見つからなくて。慌てて私、コンビニに買いにいったんです。あとで気づいたら高校の制服着たままだったんだけどね(^^)。あっ、ついでに携帯の灰皿も入れたんです。あちこちで吸い殻捨てられたらこまりますからねぇ〜。」なぁんて調子で・・・。

彼女なりに悲しさを紛らわせたいのかなぁと思って、時間の許す限りお話につきあいました。

 

翌日は告別式、参列者も少なく、ご親族と会社関係者だけの、こじんまりとした式でした。

前日同様、受付に立っていたのですが、しばらくしてもう参列者も来ないだろうと式場に入っていったんです。

最後列に座って、祭壇に飾られている彼の写真見てると、なんだか泣けてきましてね。

最後のお別れ、棺に花を入れるのですが、人目をはばからず泣いてしまいました。

お葬式でこれだけ泣いたのは、たぶん会社に入って初めてだと思います。

 

 

七日を終えた翌日、奥様から会社に電話がありました。

お子さんと一緒に会社にご挨拶に来られたいとの事でした。

最後なので、父の職場を見せたかったようです。

 

応接で奥様とお子さんに挨拶をし、彼の職場を見せました。

といっても、彼ら技術陣は社内で仕事をすることがほとんどないのです。

多くの場合、現地に事務所を設置し、そこで仕事をします。

彼の今の仕事とて例外ではなく、郊外の仕事場の近くにプレハブの事務所を設置し、そこに通ってました。

 

せっかくなので「現地の事務所に行ってみませんか?」と提案してみました。

奥様もお子さんも時間あるとのことなので、車で一緒に行ってみました。

広大な越後平野のど真ん中、田圃に囲まれた一角に彼の事務所があります。

 

事務所の入り口に車を停め、駐車場入り口のバリケードを動かしてるその時、小さなうめき声が聞こえてきました・・・。

 

 

 

長女の嗚咽でした・・・。

 

 

 

事務所の入り口にはいろんな看板が張ってあり、そこには担当者の名前があちこちに書き込まれております。

彼の名も、その事務所の責任者として書かれているのです。

 

あの気丈だった長女が、看板に張られたテプラのシールに書き込まれた父の名を、一文字ずつ指でなぞりながら、泣いていました。

次第にその声は大きくなり、肩を大きく震わせながら何度も「お父さん」と・・・。

 

 

 

 

亡に伴う退職の手続や、それをご家族にお伝えするのも私の仕事。

本社でまとめてくれた資料や各種届出書などをご自宅にお持ちして、説明し、記入してもらわなければなりません。

書類を担当者にまとめてもらい、内容をチェック、これからお宅へおじゃましようかと思ったその時、1枚の書類に目が行きました。

奥様とお子さまの氏名、生年月日が記入された用紙です。

なんと今日が奥様の誕生日ではないですか。

仲の良かった彼らは誕生日も近かったんです。

 

もしかしたら不謹慎かな?とも思ったのですが、誕生日ケーキと花束を買いに行きました。

もちろんバラの花束です。

「先日、ご主人を若くして亡くされた女性の誕生日にさし上げる花束なので、決して華美でなくかといって控え目すぎでもなく、ひょっとしたら御霊前に飾っても決しておかしくない色合いの花束」と注文したわけではないのですが、まさにその通りに作ってもらったバラの花束とHappyBirthdayと書かれた誕生日ケーキ、それに関係書類を携え、ご自宅を訪問したんです。

 

ことのほか喜んでくださいましてね〜。

とびっきりの笑顔を見せてくれた瞬間、いい仕事したかな、なぁんて思たりもして・・・。

 

 

合掌



March 17, 2006

昔の女

「10日の○○家ご葬儀に生花をお願いしたいのですが・・・それで名前の方はですね、株式会社新潟 代表取締役社長兼CEO・・・兼は兼ねるという字です・・・シーイーオーです・・・あっいやカタカナでなくアルファベットでシーイーオーです・・・えっ、意味!まぁ記号のようなもんだと思ってください・・・名前は新潟太郎です・・・そうです・・・株式会



February 21, 2006

火曜サスペンス!

『火曜サスペンス』

 −タクシーから消えた女!早朝のオフィス街にこだまする怒声!

  1000円札に隠された謎とは・・・!?−

 

 

 

 某月某日の出来事。

 

 その日は朝から小雪の混じる空模様だった。こういう日はいつもより通勤に時間がかかるため、いつもより5分ほど早めに寮を出発した。幸い道路に雪はなく、さしたる渋滞にも会うことなく、車は順調に会社を目指す。途中いつもの場所で赤信号にひっかかり、青信号と同時にアクセルを踏み込んだ。

 今日は週末。仕事を終えれば自宅に帰れる。週末は天気良さそうなのでガーデニングでもしようかなぁなどと思いながら会社の駐車場に車を停めた。

 

 

 カードキーを使って建物に入る。すでに事務所には部下のT君がいた。いつも早朝から全開で仕事をしてくれる男だ。いつも通り2人で手分けしてシャッターを開けたり暖房入れたりしながら、仕事の準備を始める。つまらないことに思えるが、これも総務課の大事な仕事なのである。

 

 

 一通り朝の準備を終え、一段落。新聞数紙を持ちながら自席にてコーヒーを啜る。窓の外は依然、小雪が舞っていた。

7時40分頃だろうか、1紙目の日経新聞を読み終え、地元紙に手を伸ばしかけたまさにその時だった。

 「おい待て、逃げるな!バカヤロー・・・・」と突然早朝のオフィス街に怒声が響き渡るではないか・・・。

 何事かと外を見ると、ひとりの男性が大声を出しながら当社の駐車場を走っていた。

えっ!と思ったその直後、事務所に「助けてください!変な男に追っかけられています!」と必死の形相をした女性が入ってきた。

とっさに入り口からは見えないスペースに彼女を招き入れ、ドアを閉じたその時、先ほど叫んでいた男が入ってきた。

 「今、女が入ってきただろっ!」

あちこちシミだらけで完全に型くずれしたスーツを着て、ワイシャツの裾がズボンからはみ出ている。そして頭の上には申し訳なさそうに、帽子が乗っかっていた。表情はといえば、まさしく茹で上がったタコ。真っ赤な顔なのに、なぜか目が逝っていたのが印象的だった。

 一目見て乱暴なタクシー運転手とみた私は、「来ていない!」と答えた。

 「そんなことはない!」と言いながらズカズカと事務室の中に入ろうとするので、「勝手に入らないでください」と、手を下手にして、相手の体に触れないように制止した。万が一、相手の体しかも上半身にこちらの手が触れてしまうと、暴行したと受け止められないためである。

 

 「女を出せ!」

「だから、来ていない!」それでも、

「女を出せ!」としつこく繰り返すので、

「これ以上さわぐと警察を呼びますよ!」と向けたら、さすがに怯んだのか、ブツクサ言いながらではあるが、促されるままに会社を出ていった。

 その男はタクシーの運転手であった。男の供述に寄れば、680円の料金なのに1,000円札を寄越して、おつりを受け取らずに出ていったから、大声で呼び止めた、ということらしい。

私は念のため、その男がタクシーの運転席に乗り込み、発車させるのを確認してから事務所に戻った。かくまった部屋では、女性が泣きじゃくっていた。そりゃ、そうだろうなぁと思った。しばらく泣きじゃくった後、女性は「すみませんでした。助かりました。」と何度も繰り返す。

恐縮しきって出ていこうとするが、まだ、そこら辺で待ち伏せしているかも知れないので、しばらくここに留まるように勧めた。

彼女の話によると、駅でタクシーに乗り○○会館と告げたら

「○○会館だけではわからない!ちゃんと場所を言え!」とか「聞いたことに返事しろ!」とか「客としてのマナーがなっていない!」などと言われたらしい。

時計はすでに8時20分を回っている。

当社は8時30分始業なので、かなりの社員が出社していた。

屈強な若手社員を呼び、会社の廻りを歩かせ、先ほどのタクシーがいないか確認させる。

3人目のM君が戻ってきて「不審なタクシーは発見されませんでした」と答えたので、警戒態勢を解除し、女性を目的地まで送り届けた。

 

実際に起きたサスペンスな出来事。



barasaku61 at 16:53|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!

August 02, 2005

総務課、ホッ!

 知ってる方は少ないと思うが私は総務担当者である。総務という仕事は読んで字のごとく総ての務めを受け持つ部署である。上手くいってあたりまえ、失敗すれば罵られる世界なのである。

 

 さて、先日の日曜日夕方のこと。自宅から車で10分ほどの位置にあるショッピングセンターで妻と買い物を終え、自宅へ向かおうと駐車場から車を出した瞬間、突然携帯電話が鳴り出した。趣味が法令遵守という私は、電話に出ることなくチラリと発信者を確かめようとしたが、未登録の番号であった。市外局番からすると新潟市内からかかってきているらしい。そう、新潟市といえば私の勤務先の所在地でもある。 

 登録されておらず、しかも全く見覚えのない電話番号。しかも新潟市内から日曜日の夕暮れ時という時間帯にかかってくるとすれば、一般的な総務担当者であれば、会社で何かあったのか?と考えるのが普通である。

 もしかしたら仕事場で事故か?いやいや、今日は日曜日。動いているところは無いはずだ。支店の建物に何かあったか?貸しているアパートに泥棒でも入ったか?社員もしくは家族に不幸があったか?ひょっとしたら寮生が酔って暴れて警察のお世話になっているとか?いや、最近ご無沙汰してる飲み屋の誘い電話か?いや、携帯の番号は教えてないはず(たぶん)・・・などなど次から次へと悪い予想が頭をよぎる。

 ようやく自宅に到着後、常に持ち歩いている仕事場や社員等の一覧から該当する電話番号を探すが、一致する番号はなかった。

 意を決して、こちらから電話してみることにした。

 

 一応念のため、発信者番号非通知でダイアルする。1回目・・・お話中。しばらく時をあけてから2回目・・・またもやお話中。その後、3,4,5・・・10数回と何度もかけるがお話中である。ひょっとして仕事場で何か起きて、近くの電話から関係者と関係機関にあちこち電話してるに違いない・・・と最悪の事態が頭をよぎる。

 日曜日の6時過ぎ、通常であれば、晩酌の時間を迎える頃である。

 妻に「なんかあったみたいだから、これから準備して出かける」と伝え、最後にもう一度電話してみた・・・

 

呼び出し音がなった・・・

 

心拍数が一気に高まる・・・

 

ドキッ・ドキッ・ドキッ・・・

 

ガチャ・・・

 

「毎度ありがとうございます。メガネの○萬圓堂です。お電話ありがとうございます。」

 

そういえば、先日、予備のメガネをお願いしてたんだった。

親切に対応してくれた女性の方が「早めに出来上がったらご連絡しますね!」と言ってたよな〜。

 

とても明るい声のお嬢さんと会話を終えると、一気に気が抜けた。

 

一部始終を見ていた妻は必死に笑いをこらえながらキッチンへとスキップしていった。

 

ホッ!



July 21, 2005

7.21

9:30出発で、西川の賃貸用不動産の管理→支店→子会社→本社へ。
本社で数件、書類等を渡し、こちらへカムバック。
自宅へ寄る暇もなかった(>_<)
往復約200km。
田舎道は果てしなく続く・・・


July 12, 2005

ROSES

896bd412.jpg
手に取ってみると、ずっしりと重い本なのですが、知らないバラを調べるときには良さそうです、残念ながら、日本で作られたバラはあまり載っていないようでした。
春のバラシーズンも一段落。
これからしばらくは、「Four Roses」でも飲みながら、夜ごと「ROSES」でも眺めていようと思います。先日amazonを眺めていたときに見つけた「ROSES」という本を購入しました。
1000ページ以上に2000のバラの名前が分類されているペーパーバック。
アメリカで出版された本なのでもちろん英語で書かれておりますが、難しい内容ではありませんので、比較的簡単に読めそうです。


barasaku61 at 10:33|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!バラ 

酒とバラの日々

199f4fdb.jpg
グラスを買った。
4月から単身赴任生活をはじめて、早3ヶ月。なんとなく生活のリズムが落ち着いてきたんだろうか。
夜、寝る前のひととき、ビル・エバンスとバーボンを楽しみながら、ハヤカワ・ミステリを読み耽るという至福の時間を過ごしたりなんかしている。
愛飲しているバーボンはもちろん『Four Roses』!
薔薇を眺めながら飲るにはピッタリのバーボンである。
なぁ〜んて事もないのですが、こっちに来てからウィスキーを楽しむための、まともなグラスが無かったんですね〜。
ビールのおまけについてたようなグラスでちびちびやってたんですが、これでは雰囲気が出ません。
一日の出来事を回想し、明日に備えるためには、多少リッチな気分でひとときを過ごさなければなりません。
ということで、会社の近く、伊勢丹にてグラスを買い求めに行きました。
”バカラ”のグラスはとても手が出ませんから、バカラの隣、そのまたとなりにあったグラスです。
手にしたときの質感・重量感がピッタリきましたから、ためらうことなくレジに直行したのですが、値札を見てビックリ!
まぁ、今日はボーナス日だからいいや!と。
穏やかな家庭生活を過ごすために、決して奥様には正直な値段は告げられません(^^;)
昨晩は早々帰宅し、さっそくロックで飲ってみました。
想像通り、手にピッタリ来ます。まるで私のために作られたかのような・・・そんな気さえしてきました。
そして、氷とグラスの触れあうときの音、これがまたいいんです。
実に繊細な音色でカランカランと鳴るんですね〜。
ガチャガチャじゃなくてカランカランですからね。
とても気に入りましたよ!
もう何杯でもすすみそうな・・・いや、飲み過ぎには注意ですね!
なんだかこれから、夜の時間が愉しくなってきたようです(^^)


ハッピー・トレイルズ

午後から蒸し暑い日となりました。
7月に入ってからというもの、毎日バタバタしており、ほとんど机に向かっておりません(^^;)
皆様のブログをゆっくり巡回する事も出来ず、イライラしております。
さて、春のバラシーズン、綺麗に咲ながらもブログにならなかったバラ『ハッピー・トレイルズ』
修景バラのひとつです。
6月20日過ぎに満開となりました。
枝が大変しなやかで、ご覧のとおり、鉢から垂れ下がります。
 
花の大きさは2cmくらい。
香りはあまりしないのですが、ポンポン咲きにいくつも花をつけるので、ハンギングなんかにはもってこいのバラ。
我が家も数年前に挿し木で増やした子供は、玄関前でゆらりゆらりと揺れております。


紫陽花の花

fb4db9e9.jpg
額紫陽花の花が咲きました。
蕾におさまっていた花が、一斉に解き放たれたかのように、空めがけて起きあがってます。
花の外側を包み込む大きな4枚のものが装飾花。
中心部で4枚の花びらと10本のおしべ、3本のめしべで成り立っているのがアジサイの花だそうです。
今回初めて知りました(^^;)


ユリの花

cb5650d8.jpg
ユリの花が咲きました。
庭の片隅、ハナミズキの木に隠れるようにひっそりと咲いてました。
名前も種類もわからないのですが、きっと奥様が春先に植えたんでしょう。
写真だと見えませんが、あと3つ蕾がついてます。
大輪でなかなか優雅な花姿です。
バラとは違う気品が漂ってます。
野山を歩いてて見つけたら、嬉しくなりますね(^^)


May 17, 2005

次女の水やり

昨日とはうって変わって、穏やかな春の陽差しに包まれる一日となりました。
窓越しの陽差は、微睡みを誘います。
こんな日は、コックリには気をつけなければなりませんね。

さて、5月に入ってからというものの、バラの水やりは次女がやってくれております。
もちろん有償なので、相当のバイト料を支払わなければなりませんが、
それでも毎日の水やりと、土の上に落ちたバラの葉を取り除く作業をやってくれておりますので、とても助かっております。

で、仕事ぶりを奥様に尋ねてみると、土の乾き具合を手で触って確かめ、葉に水がかからぬようにバラの根本に時間をかけ、たっぷりと水をあげているようでした。
「適当でいいんじゃない!」といっても聞かず、かなりまじめにやるんだそうです。
最近はバラ以外の花にも水をあげているそうです。
一度、こっそり覗いてみたいと思ったりして・・・。

ちなみにバイト料、奥様には月1,000円といってありますが、実際は、その数倍もの金額を支払わなければなりません(内緒にね!)
まぁ、仕方ありませんけど!

そして今日も、今頃、次女が水やりしているバラのつぼみたちです。

トップの1枚は『ダイアナ・プリンセス・オブ・ウェールズ』
diana
 
 
 
 
 
 
 
その名の通り、とても優雅な花です。

そして『夕霧』

yuugiri

 

 

 

 

 

確か、娘達が気に入ったので購入したはず。

ついで、つるバラの『つるゴールドバニー』 

gold

 

 

 

 

 

今年も玄関前のアーチで頑張っておくれ!

そして最後は『スーパーエクセルサ』

super

 

 

 

 

 

新しいシュートがたくさん出てきました。
庭のアーチの半分をとても艶やかに彩ってくれるはず。



天気予報を見るとしばらく暖かな日が続きそう。
バラたちも、もうすぐ咲いてくれそうです(^^)

 



barasaku61 at 17:12|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!バラ 

バラのつぼみたち

5月15日現在のバラの蕾です。
1週間前に比べて数は多くなったものの、気温が低いせいか大きくなりませんね。
あくまでも私的な記録用としてなんですが、蕾の写真をお見せします。

まずはつるバラのアンジェラ。

anjera

 

 

 

 

 

カクテル

 

cocktail

 

 

 

 

 

羽衣 

hagoromo

 

 

 

 

 

新雪

 shinsetsu

 

 

 

 

 

HTの芳純

 

houjyun

 

 

 

 

 

ついで乾杯

 

kanpai

 

 

 

 

 

まだまだ続きますが、とりあえずはこの辺で。
微妙にひとつひとつ形が異なりますね。


さて、確か去年の今頃はたくさんのバラで賑わっていたはず。
低温の影響、我が家のバラだけならどうっていうことないのですが、米などの農作物に与える影響を考えると、少し心配です。
来週の週末までには、あたたかな5月になって欲しいものです。

ちなみにこちらはチョコレートコスモス。

choko

 

 

こちらは寒さにめげず、元気なようです。



barasaku61 at 11:17|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!バラ 

May 15, 2005

昼下がりの公園にて

fu1駅から支店までの通勤途中にある公園
電車で通う日は必ず脇を通っている場所でもある
その公園の一角にある藤棚に綺麗な白い藤の花が咲いていた。

藤の花を見ようと、ひとり公園に入って藤棚に近づいてみる。
近づくと藤独特の甘い香りが漂ってくる。
無数の白い花が、いくつもの房になって咲いている。
ときおり風に揺られ、ささやくかのようにさわやかな音を立てている。
 

 

fu2

 

 

 

 

もう少し近づいてみようか、そして藤棚の下に入ってみようか・・・

なぁ〜んて考える余裕もないくらい、熊蜂の集団がいるではありませんか!
甘い香りに誘われたのでしょう、何十匹もの熊蜂が藤棚の周りをブンブンと。
1枚目の写真なんて、命がけで撮影した!といっても過言ではありません。
数枚の写真をようやく撮影し、這々の体で逃げ出してきたのでした。

昼下がりの公園、只今『熊警報』発令中!!



barasaku61 at 17:49|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!

ウィンターコスモス

 
 yco2
ようやく5月らしい天候になってきました。
晴れの週末なので、ニコニコですよ(^^)

さて、ウィンターコスモス『イエロー・キューピッド』が咲きました。
GW中にホームセンターで売れ残りを激安(50円くらいだった)で手に入れたもの。
コスモスというものの、キク科コスモス属ではなく、キク科ビデンス属なんだそうです。
苗のラベルには「秋から早春にかけて咲く」と書いてあるのに、5月に開花してしまいました。
ひょっとして、いつでも咲くものなのか?

上から見ると

yco

 

 

 

 

 

そして一緒に購入したチョコレートコスモスはこんな様子

 

 

cyo

 

 

 

 

その名の通り、チョコレート色。
まだ蕾ですが、こちらももう少しで開花しそうです。

 sky

青空に恵まれた土曜日。
ようやく元気に活動し始めた、つるバラ「スーパーエクセルサ」がとても気持ちよさそうに見える、我が家の庭からのあれこれでした。


 

 



barasaku61 at 17:42|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!

チーズと柿の種、そして薔薇

 
ti-zu1
 
2ヶ月近く前の記事で、『風呂とビールと柿の種』という記事がありましたが、覚えておいでですか?
新潟を代表するお菓子『柿の種』にチョコレート、ホワイトチョコレート、カフェオーレチョコをつけたもの。
柿の種の辛さと、チョコレートの甘さのアンバランスが何ともいえずに、絶妙なんですね〜。
 

 

ti-zu2

 

 

 

 

で、こちらは柿の種とチーズの組み合わせ。
チョコレートの代わりにチーズを使ったもので、食してみると、これまた絶妙な味なんです。
ビールや酎ハイはたまたウイスキーの水割りにピッタリ!
是非皆様もどうぞ!
(なお、製造している会社とは一切関係ありませんですよ(^^;))

そしてこちらは今朝、出勤前に撮った写真。

barahachi
4月から単身寮にすんでいるのですが、自宅からバラの鉢を5鉢もちこんでおりました。
たまに水をあげるくらいで、ほとんどほったらかしの状態だったのですが、今朝、久しぶりに見てみたらみんな元気に成長してました。
思いっきりシュートが伸びていたり、つぼみもだいぶついておりました。
ちなみに右側から2つ目の鉢は、昨日に引き続き登場の芳香バラ『芳純』!
(こちらも蕾がついております)
2鉢あるので、自宅でもこちらでも香りを楽しめそう(^_^)

こっちのバラも頑張って咲いておくれ!!!




barasaku61 at 17:39|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!

連休中のあれこれ

らあっという間に黄金週間が終わってしまいました。
休み明けの月曜日、さすがに朝からバタバタしておりました。

さて、連休期間中、あちこちのホームセンターなんかで花の苗(売れ残りの激安品!)を買ったりしてたんですが、その中のひとつに写真のラベンダーがありました。
特段、どこも悪いようには見えないのですが、これで一鉢100円!
花も香りもなかなかですよ。
ちなみにこのラベンダーの正式名称は、不明ですというか分かりません(^^;)
他にも50円のハーブ苗なんかを一緒に買ってみたりしました。
今年は香りにこだわってみようと思っております。

で、香りと言えば、芳香バラ『芳純』のつぼみもつきました。e4f61eff.jpg

 
 
 
 
 
 
 
 
数ある香りバラの中で一番好きな香りのバラです。
昨年10月23日の新潟県中越大地震の夜、月明かりに照らし出された庭の中で、ひときわ強香を放ってくれいていたバラです。
今のところ、アブラムシはいないようです、と思ったら、なにやら下の黒い点が気になってきた。

そしてこちらも連休期間中に作ってみました。

mini

 

 

 

 

自宅にあったたくさんのミニバラなんかを1株ずつちっちゃな鉢に入れてみました。
全部で20数鉢、この週末に「こけ日記」さんのここで!使わせて頂きます。
普段、ほとんど手入れしていないミニバラなので、咲くかどうか全く分かりませんが、お近くにお住まいの方、どうぞお出かけ下さいね〜!



barasaku61 at 17:33|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!バラ 

March 08, 2005

『未宇の回廊(あの日に、、)』

「泣きながら千切った写真を、、、、、」 ユーミンの気だるい声が車内に満ちてきた。
ふと、外を見やると「月夜野」の看板が目に入ってきた。
 「いつ見ても浪漫ティックな名前だわ。」未宇はつぶやいた。
スピードメーターは、130のラインを少し越えていた。 三国連峰には、まだ残雪があちこちに残っていた。日差しも穏やかな早春の99年5月であった。   
2度の結婚に失敗し、ポッカリ心に穴が空いたような傷心での帰郷であった。

 鈴掛未宇 40歳、これからの人生に対する漠然とした不安を胸に、唯一あの頃と変わらない愛車のフィアットのアクセルを目一杯踏み込み関越トンネルに入った。
他に車は見えない。トンネルの天井の照明が次から次へと去っていく。 視線は遙か彼方の見えない出口方向に集中していた。 

 BGMがユーミンから「ツアラトウストラはかく語りき」に代わった。未宇のお気に入りの曲であった。シンバルの音が高まった時、ふと視界にモヤがかかったように感じた。心臓の鼓動が高鳴 音楽だけが耳の中に充満し、身体だけがまるで宙に浮いているようにトンネルの中を落ちていく。照明は、光線のように目の前を高速で突き抜けていく。事態を把握する余裕はなかった。

 「うあっ、、、」 GWのせいだろか。普段は、学生で賑わう街並みが何事もなかったように鎮まっている。「カプチーノお待たせしました。」 アルバイトであろう幼げな微笑みを浮かべたウエイトレスが、 カップを運んできた。 テーブルにうずくまるように眠っていた未宇は、その声でかすかに目を開けた。 どれくらい眠って(気を失って)いたのだろう。 耳 に懐かしいJDのメロディが入ってきた。「わ わたし、、、車で、、、トンネルが、、、」頭は微かに痛む。 

どうなってしまったのか全く把握できないまま、辺りを見回わそうとしていた未宇の目が、仰天の驚きと伴に止まった。「周、、、周なの」対面には、かつて青春の全てをそそぎ込んだ人(相手)が居た。 居るはずのない人が思い出の中の姿そのままに、、、、、そこCafe Regeは、2人が学生時代によく待ち合わせに使った根津美術館脇のカフェだった。 (  萌)

「どうしてなの、今日にかぎって、安いサンダルをはいた…」  
周の運転する深紅のフィアットX1/9のカーラジオからはユーミンのDestinyが流れている。

 表参道の交差点、信号待ちをしていると周が言った。
「未宇、おまえ今日少しおかしいんじゃないか? トンネルとか車とか訳のわかんないこといってみたり、  下を向いたかと思うと突然に俺の名前読んでみたりさぁ。」  
「ううん。大丈夫。何でもないの。ごめんなさい。」  

 本当は何でもなくはなかった。なぜ、20年後の自分が、今ここにいるのかわからなかった。  
月夜野、トンネル、ツァラトゥストラそして光線…鮮やかに蘇っては消えていく…。  
カフェでの周との会話も適当に相づちを打つだけだった。  

「それよりさぁ、今度VANが復活するらしいよ。おととし倒産したときはどうなるかと思ったよ、これでIVYなんて言葉が消えるんじ ゃないかって心配したけどさぁ。」  そういえば、周はIVYが好きだったんだなぁと思い出した。  
今日も周はお気に入りの白のコッパンにクリームイエローのBDシャツ、もちろん足下はリーガルのペニーローファー、わずかに設けられた後部座席には父親から譲り受けたという3ツボタンの紺のブレザーも忘れていない。  そして私はと言えば、フクゾーのトレーナーとミハマのローヒールそしてバッグはキタムラと完璧なハマトラに身を包んでいた。
 「うわぁっ」とあまりの懐かしさに声が出たが、幸い周には気づかれないようだった。  そう言えばこんなのが流行っていたっけと考えていたら幾分は気が楽になった、ような気がしたがそれは一瞬だった。  
現実は打ち返すことなく押し寄せる。波打ち際で作った砂山が自然に崩れていくように…。

 「疲れているんだったら今日はやめておこうか?」  
「えっ?」  
「何言ってんだよ。元町でショッピングして、その後山下公園に行くって言ってたじゃないか。  

「山下公園!」  
「お前、ホントに今日はおかしいって。なんか、こういつもの未宇らしくないって言うか、疲れてるのか?そう言えば一昨日の契約法の論文がきつかったからな…」  
山下公園、なぜかこの言葉が未宇の胸にズシンと響いた。そう言えば山下公園で何かあった気がする。一体なんだったのだろう…必死にあの頃の記憶をたぐり寄せてみるがわからない。  

「行って、山下公園に!」  
「よし分かった、そうこなくっちゃ!」  
周の運転するフィアットは再び加速を始めた。ボッボッとフィアット独特のエンジン音がシートを通じて体全体を包み込む。  
BGMはいつしか「悲しいほどお天気」に変わっていた。ふと歩道に目をやれば、街を歩くサラリーマンがそろそろ上着を片手に持ちワイシャツで歩き始める5月の中旬、そのとき、未宇は自分の顔を未だに見ていないのに気づいた。 化粧を直す振りをしてバックミラーの向きを変えのぞき込んでみる。  

そこには20年前の自分がいた…。  ( 撫子)
 

「俺、日本海の海が見たいな」いつものデート場所山下公園で、周は未宇にこう切り出した。
日本海を見に行く、それは未宇の故郷新潟に行きたいということを意味している。
未宇にはすぐにわかった。
「これからいこうか」
「えっ!これから?だってもう夕方よ。明日も授業あるし」
「いいじゃないか。論文も終わったし、1日位さぼろうぜ。それよりお前と今行きたいんだ」

そういえば、周と出会ってから2年。デートといえば横浜中心で、遠くへ出かけたことはなかった…………。
「そうだ、海だ!」未宇はようやく記憶を取り戻していた。「20年前、周は確かにこの山下公園で日本海の海が見たいっていったわ…」 現実の自分と20年前の自分が交錯し、混乱しているが、その記憶だけは間違いない。しかし、またその先が途切れてしまう。未宇は急に胸が痛くなってきた。まるで、この先は思い出さない方がいいとでもいうように……。しかし、また20年前の自分が現れた。

「周とのデートはいつも横浜周辺だわ。二人っきりでずっといたい。そして……。」 気がつくとフィアットは、首都高を北に走っていた。 ( 範生)

 

 「黄昏迫る街並みやー車の流れ、横目で追い越してー … 」 ラジオから流れるユーミンのナンバーは、荒井由美時代のそれに変わっていた。 そのメロディーを口ずさむ周。
幾重にも連なる山々の直ぐ後ろにそっと身を潜めようとする夕日を追いかけ、 フィアットは軽快に駆けていた。
「日本海に沈む夕日、見てみたいなー。今日は無理だろうけど… 大きいんだろう?」
「えっ、うん、そ、そうね…」
「周…」
「分かったよ。戻ろう」未宇は平静を装っていたつもりだったが、会話の端々や表情に不安の色が滲んでいることを、周が気づかないはずはなかった。
自分が言い出したこととはいえ、今どうしても日本海を見に行かなければならない理由を何一つ持ち合わせていなかった周は、 戻るきっかけが見つかりホッとした。そして、未宇の様子を気づかいながら、無言のまま吉祥寺へと愛車を進めていった。 その気持ちに素直に感謝しながら、未宇は必死で記憶の糸を手繰り寄せ、とき解いていた。 とっぷりと暮れた夕闇に、行き交う車のヘッドライトが、未宇の記憶を1コマずつ不規則に映し出していった。 その作業を後押しするかのように、ユーミンのメロディーが周囲の雑音を遮り、二人を優しく包み込んでいた。

 「長ーい坂道を、あの娘は昇って行くー、ゆらゆらー陽炎が、あの娘を包むー … 」 未宇のアパートに着いたのは、日付が変わろうとする寸前だった。
「ひどい渋滞だったね。疲れているんだろう?ゴメンな。ゆっくり休めよ」 「待って、周。これから話を聞いてくれる?」周が自分の話を真剣に聞いてくれるのかどうか、未宇は不安いっぱいながら、こう切り出した。「これから… 大丈夫なのか? 俺はかまわないけど…」
「…」無言のまま、未宇はじっと周を見つめていた。
記憶はまだ完全には蘇っていなかっが、「今話さなければ…」と、 未宇は自分に言い聞かせていた。 そんな未宇の視線に「ただ疲れているだけじゃない」ことを感じた周は、愛車のエンジンをそっと止めた。周に抱きかかえられるようにして未宇は外階段を上がっていった。自分ではしっかり歩いているつもりだったが、 周の助けがなければ、その場に立っていることさえできないほどに疲れていた。

 「この温もり… 何処かで…」 肩に掛かる周の腕、未宇は、その感触が20年前(いつも)とは何か違うような気がしていた。 部屋の前まで来て、未宇は鍵を持っていないことに初めて気づいた。それを告げようとする前に、周は自分のキーホルダーから合鍵を選んでドアを開けていた。まるで未宇が鍵を持っていないことを知っていたかのようだった。
「あぁー、懐かしい… でも…」 部屋の中は確かに学生時代の未宇のものだった。
「今、周とここにいる私は、本当に20歳の学生なのかしら?」 未宇には、自分に起こっている出来事を、現実のものとして受け止めることがどうしてもできなかった。
「周に話すしかない。どうしても話さなければ…」 これが現実なのかどうか、「自分を納得させてくれるのは周しかいない」と、未宇は覚悟を決めていた。 「もしかしたら、周は何か知っているのかも…」自分の決意を確かめながら、未宇は微かにそんな期待を抱いていた。 ( 影)

 

 二人で夕食の材料を買いに出かけた。

ピ−コックで周は嬉々として食材を選んだ。へんだ。任せてくれと言う。周はかたわらでチンジャオロ−スを慣れた手つきで作っている。この人料理したっけ。 顔つきも、声の調子も変わってきている。未宇はとまどいを感じながら、周の作ったチンジャオを口に運んだ。と、わおっ。かっらあい。涙がにじむ。頭がガン ガンして、意識が薄れていった。 遠くで何かが鳴っている。馬のひづめかしら。パコパコッと誰かかが頭をたたいている。半開きの未宇の目に映ったのは、オタマをもってパクパク言っている、 周・・・周 松徳だった。「ソロソロおキャクさんくる。ネテテハだめね。シゴトシゴト」なんで、なんで、なんで。ミウは一瞬自分がマダムヤンになったかと 錯覚した。でもマダムヤンをオタマでたたくわけがない。 大皿に山のように盛られたザ−サイを眺めながら、手をみつめ、頬をなで、自分が水餃子からシュウマイに変身していく姿を想像した。カチャカチャとフライパンの音がする。もう、おしゅまいだ ( 武蔵 )

 

 目の前にぼんやりと周が現れた。今のは何?シュウマイ・・・・・??? 「大丈夫か?やっぱり今日はよそうか?」 周の言葉に未宇はうつろに答えただけだった。
「ううん、ごめん大丈夫。ただ、周松徳が私の頭をおたまで・・・」
「・・・お前、やっぱり今日は疲れているんだよ。また明日にしよう。なっ!」 「うーん、ごめん・・・やっぱり、今日は休むことにするわ。ごめんなさい、引き留めたのに・・・」
「いや、いいんだ。また、今度にしよう。お前は疲れてるんだよ。今日はゆっくり休めよ」 うなだれるようにうなずく未宇を周はしばらく見つめると、軽く右手を挙げ部屋を出ていった。 周の車のエンジン音が次第に小さくなるなか、未宇は別れ際に見せた周の表情を思い返していた。

「やっぱり、周は何かを知っていたのかも・・・・」しかし、それは自分の置かれている現状を周に助けてもらいたいという思いに近かった。また、それも未宇も充分にわかっていた。 ただ、今の未宇は周に頼るしかなかった。 「次こそちゃんと話さなければ・・・」そう思いながら、未宇はいつの間にか眠り込んでいた。
「シュウマイひとつね!」周松徳の叫ぶ声の中で・・・ ( 枝豆)

 

 「解ってるよ」  

周の瞳は、どこまでも澄み 自分をやさしく包んでくれている。 未宇は、全てを話した。 
トンネルでの出来事も周と別れてからの自分の身の上も、全て、、、。
そして未宇の胸の内を察するように周は、やさしく頷いたのである。

 「解ってるって、、、一体私は、貴男は周 周なの?」 未宇は少し動転していた。周が知っていたなんて。  ここにいる周は、紛れもなくあの頃の周だけど、、、。 精一杯 頭の中を整理しようとしたが、もつれた糸のように困惑は深まっていった。

「エスプレッソお待たせしました。」 あの時と同じウエイトレスがカップを運んできた。 周と再会したあの店で、全てを告白したのである。もう周と再会してから3ヶ月経っていた。 連年より長い、梅雨が明け、関東地方は、連日の猛暑に見舞われていた。
「君は僕に会いたいと強く念じたね。 出来ればあの頃に戻って、、今の僕も確かにあの頃に戻っている。身体だけは、、、」
「身体だけって、じゃあ貴男の中味は、、、こころは、、、」 未宇は、少し混乱していた。 周は、状況を把握 しているようだ。 一体どうゆうことなのだろう。未宇は急かすように続きをせがんだ。

周の説明では大凡こういったことであった。 未宇が車を運転していた頃、周は、赴任先のチリのサンチャゴに居た。 周は、大学卒業後、JICAに就職し、暫く大阪勤務した後、現地責任者として、5年前からサンチャゴ支店 に駐在していたのである。 チリ人の奥さんは、現地採用の事務員で、着任して一目で恋して、2年前に結婚したとのこと。その日は、知り合いの邦人会社社長の誘いでクルーザーに乗り、釣りを楽しんでいた。 海に出た時間が悪かったのか なかなか釣れないので帰ろうとしていた矢先、これまで経験のない強い あたりがきた。 カジキか何かかと思った。 あわてて社長を呼ぼうとした時、どこかから声が聞こえ たという。

「待って。私よ」 

何かとても懐かしい声だった。そしてそれが誰の声か周にはすぐ解った。未宇。君なのか。 その声は、今にも強い引きで折れそうなロッドの糸を伝ってきているようであったと。 引きが更に強くなり、周は耐えきれなくなり海に投げ出された。 どこまでも透明な青い海に引き込まれながら、周は全てを知った。 未宇が人生に疲れ果て、傷心で故郷に帰ること。自分と のことを忘れられず昔の思い出から逃れられない こと。 そして、トンネルの出口の事故に巻き込まれそうなこと。 南太平洋の海の中をどこまでも深く沈みながら、それらの光景がありありと眼前に繰り広げられた。 ふと、未宇に対するせつない程狂おしい想いが蘇ってきた。「君は一人じゃない。 僕も、、君を、、わす」声にならない声であった。  この時2人の距離は、無くなり、そして次元を越えたのであった。トンネルの中に居た未宇とその時海中に居た周は、カフェのテーブル越しで再会したのである。未宇は、頬をつたう涙を拭いきれなかった。得も言われぬ感慨が全身を覆い。無性に何かに感謝せず にはいられなかった。 「小さい頃は、神様が居て、、不思議に愛を、、、」 ユーミンの柔らかい歌声がカフェのスピーカーから 流れてきた。 その時、外で小さく聞こえていた蝉の鳴き声が突然時雨となって未宇の聴覚を襲った。

「んっ。。」未宇は気絶した。 

周は傍らで これでいいんだと自分に言い聞かせるように閑かに目を閉じた。  

「5月6日未明 関越トンネル苗場方面出口にてトラックと乗用車が玉突き衝突したもようです。重傷者が数名いる模様。 現在新潟県警が状況確認中とのことです。  NT21の朝のニュースは、未宇 の両親を不安におとしいれた。「あの子大丈夫かのー。朝方出るって言ってたども」母の不安をよそに 現場の中継に見覚えのある色の車が見えた。 黄色にストライプの外車のオープンカーのボンネットが 無惨に潰れていた。 

「あ あの車、、、、似てる。」母は絶句した。 

父典明はあわてて警察に電話した。両親が現場に到着したの時には、午後3時を過ぎていた。悲嘆に暮れていた。あの車の状況では。 だが、警察からの連絡によると娘の姿は見つかっていないと言うことで、一縷の望みを託した。

 「投げ出されたんでしょうかねー。 娘さん見つからないんですよ。」橋本巡査部長は、困惑した顔で 両親に告げた。  「きっとどっかに」母は、すがるように辺りを見回した。「あ あたし一体。。。。。」 チェーン装着場の脇で、我に返った未宇は、呆然と事態を見つめていた。 サイレンの音が鳴り止みパトカーの赤い光が未宇を照らしていた。「未宇、、、、、」母の目から幾重にも雫がこぼれた。 未宇も又同じであった。 懐かしい顔と顔が 見つめ合い。時間は止まったかのようであった。 未宇は全てを悟ったような気がした。 絶望的な私の心を誰かが救ってくれたんだわ。周だけじゃない。誰かが。 私は一人じゃない。いつも見守られて居るんだわ。過去を悔いたり、未来を悲観することはないんだわ。 今を精一杯生きられるんだモン。大好きな人達の想いがいつでも伝わって来るんだモン。 どこに居ても、いつも一緒なんだ。時間、距離を超えて絆が、、、、、。    木々の木漏れ日が未宇達をやさしく包んでいた。 三国連峰には既に秋の気配があった。 ( 萌)了



February 02, 2005

私の死亡記事

rose_kanpaiさん、20××年12月21日自宅のバラ手入れ中に突然死。享年××歳。

 19++年新潟県生まれ。地元の高校をかろうじて卒業後、上京。「誠に有意義な4年間だった」と氏が後に述懐したような大学生活を経て、○○社に入社。○○年に奥様と結婚された。

気楽なサラリーマン稼業の傍ら、へたくそなブログ「薔薇バラな日々」を主宰。気の向くまま、足の赴くまま「今日は天気がいいから」とデジカメ片手に、人目をはばからず撮影する姿が県内各地で広く見受けられた。

 

「薔薇バラな日々」はそのタイトル通りにまさにバラバラな内容で、手当たり次第記事にしていた様子が伺えるブログとなっているが、死後、その内容を知ったご遺族の憤慨の様子からは家族にその存在を知られることなく、自宅でこそこそと書き記していた様子が伺える。

 

また、幼少の頃より断ることができない損な性格は死ぬまで治らず、児童会、生徒会、部長などはもとより地元青年会、町内会、体育協会、敬老会などの役員に名前を連ねていたが、会社から要職に就くような要請は「全くなかったのよ!プンプン!」とは長年連れ添った奥様の弁。「てきとーに」を座右の銘とし、冬の日本海のように荒れ狂う会社員生活をのらりくらりと過ごし通したrose_kanpaiさんらしい話である。

 

薔薇を育てるようになったきっかけについて、かねてから本人は「薔薇の持つ美しさにひかれて・・・」と答えていたようだが、奥様によれば「単に懸賞で薔薇の本があたったから」とのことであり、この一例からもわかるように「薔薇バラな日々」に書かれたrose_kanpai氏の話はどこまで本当なのか、真相は氏とともに闇に葬り去られることとなった。

 

自宅にある薔薇は全部で約30種類。テーマもなく手当たり次第に買い求めていたものの、庭の植栽スペースを巡り奥様と対立、年々、隅においやられ、バラの置き場所には常に頭を悩ませていた模様。近くの山にバラを植えていたとの目撃談もあるが、事実関係については当局による調査中とのこと。

 

 なお、生前「葬儀のたぐいは行わず、行き交う人に薔薇の一輪でも手向けなさい」という氏の意志をご遺族は尊重されるとのこと。「薔薇のない時期のことを考えていなかったのでしょうね。どこまでもてきとーで、あの人らしいです。」

 

※後日談

rose_kanpaiが煙となって天にのぼりはじめた頃、時を同じくしてrose家の庭では季節はずれのバラが一斉につぼみを開きはじめた。
赤、白、黄色、ピンクに彩られた庭をどこまでも12月の青い空が優しく見守っていた。

 

 

※一気に書き上げ、推敲しておりませんので変更の可能性ありよ!

 

 



January 30, 2005

ノーサイド

戦いを終えた猛者(オトコ)たちに勝者と敗者の区別などなかった。
笑い声が渦巻き、ビールの臭いとそれを包み込むような熱気に溢れるクラブハウスを抜け出すと、 慎吾は一礼をしてグラウンドに足を踏み入れた。
ところどころ芝生が剥がれ凸凹になったグラウンドを、 何かを確かめるようにして中程まで進むと、慎吾は大きく深呼吸をしゴールポストに向かって右手に持った 銀色のカップを高々と突き上げた。
「やったぞ!俺・た・ち・・・」
「やったな!オメデトウ。観ていたよ。コ・コで・・・」 それだけで十分だった。
二人にとって多くの言葉など必要ではなかった。
勝利を祝福するかのように星たちが輝く冬の夜空、その一点だけを慎吾は見つめていた。
(影)
                                                           


いつものように、慎吾は午後からの練習へと向かった。
早稲田大学ラグビー部の練習場まで慎吾の家から電車で20分、その間、慎吾は入学時のことを思い返していた。
慎吾は、高校時代インターハイ、花園出場と輝かしい経歴を手に大学へ入学してきた。
いくつもの大学の誘いの中から、慎吾は早稲田を選んだ。
慎吾が早稲田を選んだ理由は明白であった。「明治に勝ちたい!」ただそれだけ。
当時の学生ラグビーは、明治大学が無敵を誇っており、早稲田大学はそれまで何度も栄冠を勝ち取ってきた学生選手権も、 かろうじて出場をはたすという低迷期にあった。
おのずと高校ラグビーで全国を湧かせた学生は、ほとんどが明治へと進んでいた。
そんな中、慎吾は早稲田へ入学した。
そして、ラグビー部の最初の練習でアイツに出会った。
(枝豆)


「どこかで会ったような気が、、、、、」 あいつを見た第1印象であった。
ともあれ、2人はやたら気が合った。 というか考えていることが手に取るように解り合えるのだった。
会ったその日から、、、。
複雑な戦略、ポジショニング、全てアイコンタクトで通じ、どちらがリードしても思うようなゲーム展開が出来た。 必然的に1年でありながらレギュラーに抜擢され、勝利を重ねた。
「お前の動きは、先の先まで読めるよ!」
「俺もだ」 
「ハハハ、、」 楽しい日々であった。 
その日までは、、
(萌)   


「こいつを止めなければ…。」それは大学4年の対抗戦グループ早明戦ロスタイムでのシーンだった。
この年、勇治は早大ラグビー部第82代キャプテンに選ばれていた。
彼が率いる早稲田は、対抗戦グループで快進撃を続け、最大のライバル明治との全勝対決に望んでいた。
前年まで、早稲田は明治に3連敗。

「どうしても明治に勝ちたい」これが部員150人全て の合い言葉だった。

15対5、試合は下馬評をくつがえし、早稲田が前半リードして終了した。
縦の明治、横の早稲田。早明戦はそのチームカラーが対照的ゆえに多くのファンを魅了し続けてきた。

今年も、明治の強烈な重戦車FWの突進を軽量早稲田FWがゴール前で必死にこらえた。 1トライノーゴールの明治。一方早稲田は、明治の反則で得たPK5本をSOの慎吾が確実に決めたのであった。

「このまま、行くんだ!」ハーフタイムで勇治は檄をとばす。その目は大粒の涙で潤んでいた。

後半、疲れの見えた早稲田を容赦なく明治が攻め続けた。そして後半35分、明治スクラムトライ、ゴールも成功し、ついに3点差。
試合はロスタイムに入った。

そして、あのシーン。それはまるでスローモーションのようだった。

スクラムからサイド攻撃をしかけ、突進する。これが明治のパターンだ。しかし、このとき明治はバックスにボールを展開した。それは明治にとっても 最後の賭だった。

「やばい」ぽっかりあいたセンターに明治のWTBが突進、NO.8の勇治は無我夢中でタックルにいった。そして………。

病室で、みんなが泣きわめいていた。そこではドクターが勇治の最期を告げていたのであった。そして勇治は自分の身体を天井から眺めていた。
「どうしたんだよみんな。俺はここにいるぜ。」。しかし、勇治の叫びはこの世のものではない。彼自身そのことに気づくのに時間はかからなかった。

「うおー」天井の勇治は大泣きした。もちろんその声も誰にも届かなかった。   
(範生)    


5年後、慎吾は香港にいた。

OBの誘いを断り、徳松商事を選んだ。入社3年目にバイタリティを買われ、単身香港に飛び込み、一年目で5億の取引に成功した。いっきかせいに「慕情」の舞台になったヨダソウパ−クで、付き合って一年足らずのエリカにプロポ−ズし、その晩日本の上司に報告すると、さすがに笑われ 「慎吾、おまえ早稲田だよな。今のおまえを見てると、前へ、前への明治ラガ−マンだな。アッハッハッハ」 子供は男の子と決めていた。名前は勇治だ。誕生日にはラグビ−ボ−ルを買ってやる。

慎吾は知っていた。ここまでやってくるのに、決して自分一人で考え、行動してきたのではないことを。
(武蔵)


休日にはよく2人で飛行機を見に出かけた。
飛行機が大好きだというエリカと一緒に九龍仔公園の小高い丘から、香港カーブと称される啓徳国際空港RWY16へのファイナルアプローチを見て、その後ビクトリアピークで百万ドルの夜景を眺めるのがお決まりのコースだった。
そんな二人に待望の男の子が産まれたのは、結婚後2年を経過したときだった。
1月にしては珍しく、朝から晴れ間の広がる冬のある日。上司の「早く行ってやれ!」の声に後押しされ、事務所を飛び出す。
病院へ一目散に駆け抜けていると、勇治とフィールドで戦い続けたあの日々が蘇ってくる。
「勇治、生まれたぞ!」    
「やったな!オメデトウ。観ていたよ。コ・コで・・・」

この日ばかりは騒々しいとさえ思っていた香港の喧噪も祝福してくれているかのようだった。
(撫子)


国立競技場を埋め尽くした6万の大観衆。「ブワァーッ!」「グウォーッ!」共鳴し増幅される歓声は 二人のプレーヤーだけに浴びせられていた。
黒のジャージーに身を包み楕円球を右脇に抱えたWTBが、その快足を誇示するかのように ゴールラインへとひた走る。必死で追いすがる対面のWTBは白いジャージーだ。
白と黒、ハッキリしすぎるコントラストが二人のデッドヒートに拍車を掛ける。 ロスタイムに入って3分、これがラストプレーになることを誰もが知っていた。

「悲願の初優勝、それもロスタイムでの見事な逆転勝利、おめでとうございます」
「ありがとうございます…」
それっきり言葉は出てこなかった。いや、インタビューには応えたが、何を言ったのか慎吾は覚えていなかった。

どれくらいの時間が過ぎたのだろうか。芝生を踏みしめる音が近づいてくるのに気づき、慎吾は振り向いた。
「父さん…」
「ああ、勇治か…」
何時以来だろうか、互いにこう呼び合ったのは…
そんなことはもうどうでも良かった。
これからはずっと父と息子でいられるのだから…
慎吾はそれを確かめようと、もう一度夜空を見上げた。

「勇治、ありがとう。ゆっくり休もう。俺たちもノーサイドだ」
「そうだな」と頷くかのように星が一つ輝きを増したかと思うと、何かに吸い込まれるようにすーっと消えていった。
(影)
                                                       

                                              完了



barasaku61 at 21:14|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!潮風会 

January 17, 2005

そよ風・・・

4月も終わりに近づいたその土曜日、長く続いた雨があがった。
昨晩飲み過ぎたせいか9時過ぎに目覚めた上村一眞は布団をはねのけるとベットから起きあがり、窓を開けた。
隣の公園の桜はとうに散り、葉が青づいている。
そういえば今年は長雨で花見も出来なかったなと思いつつも、4月といえば花見を思い浮かべる年代になったかと苦笑してしまう。

「お早う!」と妻の詩織に挨拶する。
写真の中の彼女はいつも微笑んでいる。
お前だけ年をとらないなんてずるいぞ、と写真の彼女をこづく。
詩織は3年前に事故で亡くなった。 詩が大好きだった彼女は詩織という名前をとても気に入っていた。
「名前って親からもらう最初のプレゼントよね。私、ほんとに素敵なプレゼントもらったわ。
だから、私の子供にも素敵な名前をつけてあげるのが夢なの。」
結婚以来の彼女の口癖だったが、結局、その夢もかなわぬものとなってしまった。

 

春の風が好き    甘い香りをとどけてくれるから

 

夏の海が好き    ゆったり私をつつみこんでくれるから

 

秋の空が好き    少しだけ私をせつなくしてくれるから

 

冬の山が好き    何もかもきれいにしてくれるから

 

そしてあなたが好き    いつも隣にいてくれるから…          


 たくさんの詩を残した彼女が一眞に最初に送ってくれた詩だった。(撫子)


「あっ、お兄ちゃん。夕べ何してたの? 何度も電話したのよ。留守電くらいセットしといてよね。」
「頼みたいことがあるんだ。近くまで来てるから、待っててね。お願い。じゃあね。」
「おいっ、美雪、ちょ、ちょっと・・・・・」 マイペースで元気の良さだけが取り柄の美雪は、 いつもこんな調子でやってきた。

一眞にとっては唯一人の兄妹だったが、ひと回り近くも歳が離れていたせいか、
理解のできないことが多かった。
そんな美雪を、一人っ子の詩織は本当の妹のように可愛がってくれた。
美雪もまた義姉を慕っていた。 時には、一眞の存在など忘れたかのような姉妹だけの会話が続くことがあった。
「俺の女だぞ・・・」 妹に妙なライバル心を抱く自分に苦笑しながらも、二人の会話は、一眞にとって心地の良いBGMとなっていた。
「美雪が来るってさ。キ・ミに会いに。」 一眞はわざといじけて写真を見つめた。(影)
 

一眞のマンションは上馬の閑静な住宅街の一角にあった。
「今日は!久しぶりね。お兄ちゃん。」 美幸と会うのはいつ以来だろう。
数年前、父母の反対を押し切って東京でOL生活を始めたも、自分がいる東京に行きたいということからであった。 最近は、美幸も東京の生活に慣れたのだろう。こうして兄妹で会うことも少なくなってきた。
それでも、一眞のなかではいつも気になる妹であった。
「ところで、頼み事って何だい?」
詩織の写真に手合わせていた美幸を促すかのように一眞は切り出した。
「実は私、今の会社をやめようかと思うの」
「何だって?」
「絵の勉強にフランスに行こうと思って」
「フランス?」 いきなりの話に一眞はとまどった。
「それで、頼みなんだけれど、学費の面倒を少しみてくれないかしら?」
「ちょっと待てよ」 あまりに予想外の話に一眞はそういってからしばらくは沈黙してしまった。 (範生)

「フランス、、、絵、、えっ」 言葉に詰まる一眞であった。
フランスといえば、以前画家志望の友人の誘いで暫く彼のアトリエに滞在したことがある。
夢を抱いて渡仏したと言えば聞こえはいいが、ものになるのは一握り、彼は、その日暮らしが精一杯の旅行ガイドなど していたのであった。美幸も生活費を使い果たし、バイトに明け暮れるのが目に見えている。 言葉だって、、、、
「お前のことだから、無碍には反対しないけど、思っているより相当厳しい世界だよ」 少し戒めるように言った。
「そんなの分かってるわよ。 でも一度きりの人生じゃない。
 何か生きた証、私らしさを残したいのよ。」
一眞は、似たようなことを言っていた詩織のことを思い出してドキッとした。 彼女も、ボーヴォワール、ヴェルレーヌに憧れて、パリ行きをせがんだのだった。結婚して2年目の秋だった。
「また、こんど絶対約束するから。 なっ。」
自分の仕事の都合がつかず、結局行けなかったのだ。
「今度、こんどって何よ。 もう行けないかも知れないのよ。」 
彼女の口元が微かに震えていた。   何かを予感していたのかも知れない。
そう言えば、彼女は、妙に感が鋭いというか、奇妙なことを時々口にした。 
意味は分からなかったが、 「私と貴男は、永遠に繋がれているのよ。 妹さんともずーーと昔、暮らしていたことがあったのよ。欧州で、、、」 (萌)

5月。巴里。ユトリロが描いた「カフェ嘔吐」−当時の趣を残したまま−で一人、一眞はマロニエの咲く街路を行き交う人々を見つめていた。

一週間前だった。電話の声は美雪だった。
3年前、振り切るように巴里に行ってしまった美雪の声は変わらなかった。
「ボジュッ。お兄ちゃん元気。びっくりしないでね。ごめんね。いい。ワタシノコト ヨ・ク・キ・イ・テ」
「美雪・・・」
「私は元気よ。ダイジョ−ブ。ちゃんとやってるんだから。・・・詳しいことは手紙送るから。落ち着いて聞いてね。
お義姉さんに会ったの。詩織さんに会ったの。聞いてるの。お兄ちゃん」

二日後に届いた手紙は確かに美雪の字だった。日本語教室での良い先生ぶりを自慢し、まじめに絵画の修行に励んでいること。連絡をしなかったことのおわび。日本人として恥ずかしいことはしていないこと。簡単に書いてあった。詩織に会ったなんて、日本が恋しくなってちょっとおかしくなったんだろう。と思っていたら、女の子の写真が出てきた。かわいいフランスの女の子。年は5歳くらいだろうか。裏に文字が。この子が書いたのか。久しぶりの仏語。声に出して読んでいっはっと息を呑んだ。
 春の風、夏の海、秋の空、冬の山・・・まさか。美雪が教えたのか。いや、美雪が知るわけがない。
これは、これは・・・仏壇の詩織の写真立てをはずし、6年前の封印を解いた。
少し、古くなったが、詩織の好きな青いインクで書かれてあっ ・・・冬の山が好き・・・何もかもきれいにしてくれるから・・・ そんなはずが・・・詩織は誰にも、自分以外には作った詩は見せなかった。まして、この詩は・・・
美雪に電話で確認した。
近所の子で、ちょくちょく遊びに来ていて、座らせて似顔絵を描いているときだった。じっと自分を見つめるので、リラックスしてねと言おうとしたら、フェビアンがつぶやいたと。
「カズマは元気。」 (真蔵)
 

一眞は、ジャスミンティーに手を伸ばした。
詩織の好きなジャスミンティーを飲みながら、あのときの出来事を昨日のことのように思い出していた。

それは、結婚して5年目の夏、その年は、それまでの冷夏がうそのような、暑さが続く夏であった。
そんな7月の土曜日、いつもの週末のように、私と詩織は近所のスーパーへ夕食の買い物へ出かけた。
その日も、夕方になっても暑さがいっこうにひかず、「こんな日は冷や麦がいいね」という詩織の言葉に私はすぐさま相槌をうった。

「あっ、そういえばジャスミンティーの葉が切れそうだったんだ。私、戻って買ってくるから、あなたは先に帰ってて」スーパーで買い物を済ませ家へと向かっている途中、突然思いだしたかのように、詩織が言った。
「そんなの、僕が行って来るよ」
「大丈夫。それに、あなたは飲まないから葉の種類がよくわからないじゃない。だから、あなたは先に帰って部屋を涼しくしておいて。じゃあ、行って来るね。」
詩織は、そう言うと、私の言葉を聞こうともせず、今来た道を小走りに戻っていった。

それから、詩織に会ったのは病院だった。
事故に遭ったのが嘘のようにきれいな顔をしていた。
警察の人の話では、道に飛び出した少女をかばおうとしたとのことだった。 (枝豆)

約束していた5時を少し回った「カフェ嘔吐」の店内は、週末を恋人と楽しく過ごそうというパリジャン・パリジェンヌで混みあっていた。クインシージョーンズのメロディーにあわせて歌うテヴィン・キャンベルのTomorrowがJBLのスピーカから聞こえてくる。
詩織の好きな曲だった。
 Tomorrow
 I hope tomorrow will bring better you , better me.
 I know that we'll show this world we got more we could be.
 So you should never give up on your hopes and your dreams.
 You gotta get up. Get out. Get into it. Get it on to be strong. ……

「お兄ちゃん!お待たせ!」
おそるおそる顔を向けた目に美雪そして…ひとりの…
「し・お・り?」
「あ・な・た!」
涙でかすみはじめた向こうがわ、フェビアンのつぶらな瞳に涙が溢れてくるのが見えた。

詩織の話はこうだった。 少女を救おうとした瞬間、なにかにぶつかった。
その後、気がついたらとても明るいところにいた。
なんだかふわふわ浮いているような感じだった。なぜか、ジャスミンティーのことがとても気になったこと。
ふと周りを見渡すと、白い服を着た3人の人がたっていたこと。
その人達は年令も性別もわかんなかったこと。
そのうちの一人に「この次の人生はどうしたい?」って聞かれ、思わず答えた「一眞にもう一度会いたい!」って、 そしたら、「よく分かったよ。」と彼らのうちのひとりが優しく答えてくれたこと。
その後、ふっと記憶がなくなったこと。

詩織としての記憶がよみがえったのは去年の暮れだったこと。
両親と3人でプロバンスでのバカンスを楽しんだ帰り道、1台の居眠りトラックに追突され、谷底へ車ごと転落した 。
母親の胸に抱かれ、奇跡的に一命をとりとめたものの、この世に生を授けてくれた両親は亡くなったこと
包帯でグルグル巻にされ何日も病院で苦しんでいたこと。もっともこの話は人から聞いた話らしいが…。
その後、奇跡的な回復をとげ、「明日退院できるよ」って言われ、ミルクティーを飲んだ瞬間、一眞の事を思い出したこと、そしてそのとき自分が詩織だって事に気付いたこと。
さすがに、去年の事故の件を話すときにはつらそうだったが、それ以外は整然と一気に話してくれた。
詩織の口調で…。

あたりはすっかり夕闇に包まれ、多くの恋人達で賑わっていた「カフェ嘔吐」の店内もすっかり落ち着いた雰囲気を取り戻していた。いつの間にかBGMはアストラッド・ジルベルトの甘いささやきにかわっていた。(撫子)
   

「カフェ嘔吐」での再会の後、一眞は取れるだけの休暇を使って何度か詩織に会っていた。
時には、美雪を交えて一週間ほどのバカンスに出かけたりもした。
会う度に成長しているフェビアン。その容姿までもが、愛くるしい少女から可憐な娘へ、そして“詩織”へと、紛れもなく変身していた。もう疑う余地など何ひとつ残ってはいなかった。
あとは“一眞”だけだった。
日曜の朝だというのに、一眞は慌ただしく身支度を整えていた。
詩織と結婚したときから、残業はしても休日は絶対に仕事をしないと決めていたはずなのに… 一眞には”時間”が必要だった。決心のつかない理由を“時間”のせいにするしかなかった。
いや、むしろそれを避けるかのように、休日さえもこうして仕事に費やしていた。
「春の風が好き …  …そしてあなたが好き     いつも隣にいてくれるから…」 どこか寂しげだが確かに詩織の声だった。
その声に振り向いた一眞は…微笑んでいる詩織の写真…一筋流れ落ちるものを見た。
離陸を告げるアナウンスが流れると、一眞はゆっくりと目を閉じた。
詩織との出会い、結婚、事故…そして再会。時間にすればほんの数秒間なのだろうが、 一眞の脳裏には、十数年間の1コマ1コマが何一つ消されることなく映し出されていた。
そして最後に、何度も自分に言い聞かせてきた言葉をもう一度確かめるようにゆっくりと呟いた。

「もう後戻りはできないんだ」 (影)
   

 



Recent Comments
Profile
brarasaku61
Welcome to the Rose Garden!!
Amazonライブリンク