2018年06月18日

大人の断わりかた。

 次に会う日を決めるためにメールをしたら、
「続けて二週ほど忙しくて時間がとれないので
ボクの方からまた連絡します」と言われた女性。
つきあいが始まってすぐのこと、これは拒否の意思表示という。
「私も過去に同じこと言って断わったことあるし、これは
大人の相手を気遣うゆえの断り方なんですよ」。
あっけらかんとそう言って笑う。
 これをきき正直言って驚く。言葉通り受け取り、ずっとずっと
待ち続けてしまうひとだっている。想像をふくらませて相手の
ことばの裏をよまなければいけないのは、今どきの別れの告げ方ですか。
 だとしたら、どうもスッキリしないものが残るのは私だけ?


barduo at 11:16|PermalinkComments(2)

2018年06月15日

思い込み。

   きのうのお客さん、私の名前をほかの名前と
思い込んで違う名前を呼ぶ。すみません、それ間違ってますと
すぐに訂正すればよかったのだけれど、なぜかそれができない。
結局帰るまでそう呼ばれるままでいたけど、私の中では
それはそれでかまわないとの気持ちも強かったのかもしれない。
   向田邦子のエッセーの中でシューベルトの「野ばら」の
一節に「野中のバ〜ラ」とあるのを、子供の頃からずっと
「夜中のバ〜ラ」と思い込んで唄っていたと書かれている。
さすが作家だ。野中の薔薇より夜中の薔薇のほうが
なんだかすてきだ。たぶん大人になって訂正されたときは
がっかりしたのだろう。思い込みは、死ぬまで思い込みのままで
いたほうがいい場合もある。


barduo at 14:48|PermalinkComments(0)

2018年06月14日

最高のひとり飲み。

   ボクはたいていひとり飲みだな。
そうか、オレはひとりより誰かと一緒が楽しいけどね。
カウンターのふたりはさっきからそんな話をしている。
   この近くのお寺の境内にバーができてね。カウンター8席で
土日は3時から開いてるんだ。最近はもっぱらそこかな。
ひとりでハイボール呑んでる。すみッこでボーッとね。それで
村上春樹の小説のこと考えてるんだ。この前は「ダンスダンスダンス」
のこと。トーマスマンやサリンジャーやヘミングウェイの本の一節が
浮かんできて頭の中に景色が広がって楽しいんだ・・・。
へえ、またずいぶんかっこいい話だね。でもボクには縁ないなぁ・・。
   そのひとはアンティーク家具の商売をしていて、昔はアメリカや
ヨーロッパに買い付けに行ったりもしたらしい。ひとりもので
話はいつも現実からかけ離れて、自由な世界をめぐる。
   やれやれ〜、もうひとりはなかばあきれて私と目を合わせ、
うんうんそれでもやっぱり飲むのは話し相手がいたほうがいいな、
なんてつぶやきながら、彼の話をきいてあげている。


barduo at 12:39|PermalinkComments(0)

2018年06月13日

おんなじ名前のひと。

  最近ふたりのお客さんから続けざまに言われた
ことがある。私が洋子という名前と知り、家族に同じ
名前がいるというのだ。「ようこ」はたくさんいるけど
洋子の字も同じとか。ひとりは奥さんでひとりはお母さん。
なにがきっかけでそんなカウンター話になったかも忘れたけど、
ふたりとも私と彼女たちが同じ名前であることが嬉しいのか、
妻や母の、ひととなりまでもいとおしそうに長々紹介してくれる。
同じ名前同士って不思議だ。私もことさら興味を惹かれる。
   私の場合は祖父が名付け親で、太平洋のようにおおらかで
のびやかな人間になってほしいとの願いだったらしい。
きっとそのひとたちの名付け親もそうなのだろう、なんて
想像してしまう。ちょっと会ってみたいと思ったりする。


barduo at 13:47|PermalinkComments(0)

2018年06月09日

ちょっぴり文学的な夜。

  酔っ払って千鳥足で帰宅するその手に寿司折りを
ぶらさげているのが昭和のオトーサンのイメージ。
まさに植木等がその役どころ。(知らない人もいるかな)
  昨夜ある女性のお客さん、日本料理屋で飲んだあと
まっかな顔であなご寿司をぶらぶらさせてやってきた。
「やあ一度、昭和のチョイ悪オトーサンやってみたくて」と
私たちに差し出す。「ワルぶりたい年頃なんですよ」。ごちそうさま。
  それから隣に座っていた同世代の女性にきかれるままに
こたえている。「・・なぜカレを射止められたかって?。うん
それは相手の目の中に入っていくの。ただそうするだけ」。
ふうん、「恋とは目の中に入ること」なんですね。
その言葉は文学的で深いな。それからずっと私は
その意味を頭の中でめぐらせている。
酔えば酔うほど、文学的になってゆく夜・・・。


barduo at 10:47|PermalinkComments(0)