238dbb41.jpg楽しみにしていた「マラトン」、試写会にて鑑賞してきました。待ち遠しかったぁぁぁ。初回限定版DVDを既に購入済みではあったけど、今回は発売日と日本公開時期がわりと近かったのであえて封印して劇場鑑賞を待ってました。わぁい、お久しぶりですチョ・スンウ君、会いたかったよぉ(笑)

+++ちょいあらすじ
息子のチョウォン<チョ・スンウ>が重度の自閉症と診断され、絶望の淵に落とされた母キョンスク<キム・ミスク>。しかし、母はチョウォンと共に山歩きに勤しみ自然を通して様々なこと根気よく教え続けていった。それから月日が流れ、20歳になったチェウォン。言動は5歳のままのだったが、幼い頃から続けてきたマラソンのおかげでとても忍耐強く成長し、10Kmマラソンに3位入賞したことで母は彼の力をもっと伸ばしてやろうと躍起になる。そんなある日、彼の学校にかつてボストンマラソンで金メダルをとったことのあるの元有名選手ジョンウク<イ・ギヨン>がやってきた。チョウォンにはもっと専門的なコーチが必要と考えていた母はジョンウクにチョウォンのコーチを頼むだが・・・
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心の琴線に優しくふれてくる、とってもハートウォーマーな素敵な物語でした。もう、おなかいっぱいって感じ。とってもヨカッタ。

この物語は自閉症のチョウォンの成長物語であると同時に母親の子育て物語でもあるんですよね。自閉症児のチョウォンをある意味女手一つで必死に育ていく過程で、いつのまにかチョウォンが母の人生そのものとなってしまい、気付かぬうちにチョウォンを立派に育てることが彼女の生き甲斐になってしまいます。「本当に願っているのは彼が私より先に死ぬこと。だから私は彼よりも長生きするために100歳まで生きるわ」。愛すべき者の死を願うというのは何だか矛盾したような話ですけど、でも私にはその気持ちは少しだけわかるような気がします。彼を置いて先に逝ってしまうのは彼女にとってはこの上なく不安なことで、これは切実な願いであり本心なのでしょう。

そんな彼女の考え方に一石を投じてくれたのが、飲酒運転の罪でボランティア従事活動を命ぜられた元有名マラソン選手のジョンウク。チョウォンを過保護に育ててきた母に対し、ジョンウクはいい加減でテキトー、チョウォンの食べ物を勝手に食べてしまったり、練習せずにサウナに連れていき、ビールを飲ませたりとかなりちゃらんぽらん。でもそんなジョンウクの態度はある意味チョウォンを特別視することがなくとても自然な人間同士の付き合い方で、チョウォンも次第にそんなジョンウクに信頼と親しみを覚え始めていきます。

チョウォンに依存しすぎて行き詰まり感のある母親、挫折し落ちぶれて元有名選手のジョンウク。チョウォンを育てる立場の二人もまたそれぞれ心に傷を持っているのだけど、純粋で無垢で天使のようなチョウォンの人柄が二人の傷をいつのまにか癒していくんですよね。決して特別ではない自閉症児のマラソンランナー、どこにでもいそうな母親、平凡な男のマラソンコーチ。そんなごく普通の彼らを描いた物語だからこそ、目の前で起きる奇跡に素直に感動出来るのかもしれませんね。

マラソン演技については、いまさらじろーって感じなんだけど、自閉症児のチョンウォンを演じたチョ・スンウくんはもうスゴすぎます。さじ加減の難しい役柄だと思うんですけど、違和感は全くなしで本当に自然な振る舞いでした。知らない人が観れば、彼がペ・ヒョンジン<このお話のモデルとなった人>そのものだと思ってもおかしくないんじゃないかなぁ。表面的な模倣をしてるんじゃなくて、心から表現してるって感じでしたね。キム・ミスクさん演じる韓国の強き母も堂々たるものでした。彼女の演じた自閉症児の母親はかなりリアリティあるんじゃないかと私は感じてます。間違いなくもう一人の主人公。そしてコーチを演じたイ・ギヨンさんはTVドラマでお馴染みの方だけど、チョ・スンウくんとの絡みでは笑いを誘う場面も多くて、とても楽しかったし、チョウォンから水をもらうとこでは思わずポロリ、私この場面が大のお気に入りです。チョンウォンの弟役、どこかで見たけど誰だっけかなぁと思ったら、「天国の怪談」でクォン・サンウの子供時代を演じたペク・ソンヒョンくんでした。役柄上はちょっと地味めだけど、兄ばかりかまって自分に無関心な母に苛立ったり、走りたいという兄の気持ちを汲んで母を説得したりと、なにげないのだけど、印象に残る弟くんでした。登場人物が多くないぶん、一人一人の存在感がとても際立っててみんながみんな心の残る感じです。

論評するために観に行くのではなくて、気持ちよく、心地良くなりに行きましょう。チョンウォンが風を感じながら走るように。最後にはきっとみなさんの心にも優しい風がそよぐことでしょう。笑顔と涙がとてもよく似合う作品です。