ブログネタ
映画鑑賞日記 に参加中!
蝉しぐれ昨日、娯楽大作系の「セブンソード」を観たので今日はしっとり文学的な「蝉しぐれ」を観に行きました。さすがに、藤沢周平原作の時代劇だけあって年齢層高めのお客さん多かったですね。私としては劇場予告編でプッシュしまくりだった純愛物語に期待しての観賞でした。

出演はその他に、今田耕司、ふかわりょう、田村亮、柄本明、加藤武、大滝秀治などなど。


+++ちょいあらすじ
江戸時代、牧文四郎<石田卓也/市川染五郎>は下級武士の父・牧助左衛門<緒形拳>と母・登世<原田美枝子>と3人で貧乏ながら平凡に暮らし、剣術の稽古に励んでいた。文四郎は父を誰よりも尊敬していたが、彼が15歳のとき、その父はある一派の企てによって切腹させらてしまう。その後、謀反人の子としての汚名を着せられた文四郎は、辛い日々のなか母と慎ましく暮らしていたが、数年後のある日、牧家の名誉回復を言い渡され村回りの仕事をもらい自信を取り戻す。しかし、その一方で文四郎が幼い頃から想い続け、今や殿の側室となっていた、ふく<左津川愛美/木村佳乃>がお世継ぎ争いの思惑が絡んだ派閥闘争に巻き込まれようとしていた・・・
+++

美しい自然の中での情感あふれる描写、とても素敵な作品でした。ただ、映画としては、ちょっと間延びしちゃった感がありますね。これは原作との兼ね合いもあって仕方ないのかな?

前半は、主人公の少年時代、親友たちとの友情、不条理な父の死、おふくへの淡い恋と切ない別れといったエピソードを軸に描いています。少年時代文四郎は本作が映画デビューという石田卓也さんが演じていて、メインキャストの市川染五郎が登場してくるまで、およそ1時間弱ほど待たされます。木村佳乃さんに至っては後半残り30分くらいになってからの登場で、主役二人が本編半分くらいしか登場しなくていいのかい?って感じなんですよね(笑)。

で、その序盤の1時間弱なんだけど、失礼ながら石田卓也さんの芝居があまりお上手ではないんですよ。まぁ本作が映画デビューでしかも時代劇だったから、かなり大変だったとは思うし、そういう意味ではとても頑張ったといえますが、彼に前半を任せられるだけの技量は無かったといえるでしょう。ルックスはいいし華は感じられるんですけどね。演技がつたないのは親友役の二人の男の子も同じでした。もちろん、若さの特権というような初々しさや透明感は感じられるのは確かだけに、もうちょっとコンパクトにまとめてもヨカッタんじゃないかな?

この前半をなんとか持たせたのは、やはり両親役の緒形拳さんと原田美枝子さん。そして、おふくの少女時代を演じた左津川愛美さん。緒形拳さんと原田美枝子さんに関しては当然の実力なわけだけど、驚いたのが左津川愛美さんですよ。凛とした立ち振る舞い、そしてなんとも力強い、目ヂカラ、スゴイ存在感でした。若い二人の言葉にも態度にもはっきり出さない淡い恋を巧く描けたのも彼女の力によるところが大きいでしょう。実は劇中では12歳くらいの子役だとばかり思ってました。でもなんとなく見覚えがある気もして、帰宅後公式サイトを見たら、なんだ、この子ってば、TV版「がんばっていきまっしょい」でヒメ役だった女の子じゃないですか! 確かに彼女ってちょっと幼い顔立ちなんですけど、この変身ぶりは素晴らしい、さすが女優です。「がんばっていきまっしょい」のときはか弱いお姫様てき存在でしたけど、本作での彼女の瞳にはとても強い意志を感じて魅せられました。

青年期に移り、市川染五郎さんが登場してくるとさすがに画面にも緊張感がでてきてグっと引き締まります。成長した親友役は今田耕司さんとふかわりょうさんで、両者が出てきた瞬間、特に可笑しいことやってもないし笑う場面でもないのに客席から笑い声が起きてしまいました。オバチャン達って何でもないとこでよく笑いますよね。私は別に可笑しくなかったので笑わなかったけど、変な感じです。でも二人とも段々と馴染んできて途中から違和感も特になくなりました。特に終盤の山場でのふかわりょうさんの活躍はなかなか見事でしたよ。なぜ、俳優ではなく芸人のこの二人をキャスティングしたのか真意はわかりませんが、人間味があるお二人のキャラは、アクがなく優しい雰囲気の市川染五郎さんの親友役としてはとても良くマッチしてたと思います。

そして、木村佳乃さんが登場するちょっと前あたりから、物語が大きく動き出し、かなり引き込まれていくのが自分でもよくわかりました。この辺りになってくると、脇役として存在感あふれる柄本明さんら重鎮的俳優も登場してくるので、さらに緊張感が増してドキドキしてきて、否が応でも盛り上がります。やはり時代劇ですからね、山場にきての見せ場となる殺陣の場面もこのために今まで我慢してとっておいたって感じですね。この終盤の展開は本当にさすがだなと思えるほど見応えがあって素晴らしかったです。おふくを守るために命を懸けて戦う文四郎に息を呑み、そして再会した文四郎とおふくの純愛模様にも思わずジーンときちゃいました。全てはこのラスト30分のためのお膳立てだったと言っても過言ではないでしょう。でも、それゆえに、前半のやや間延びした展開と、その後の駆け足的な流れがちょっと悔やまれるんですけどね。

私はけっこう楽しめたかなって感じで、ヨカッタですよ。特に後半だけに限っていえば、とっても素晴らしかった。これは物語の展開だけではなく、名俳優たちの迫力ある演技の賜物でもあります。上映終了後、オバチャン達は笑ってましたけど、涙ぐんでる方もいらっしゃいました。観賞中、オバチャン達の喋り声がちょっとうるさくて集中できなかったとこもあるので、もっとイイ環境だったら、より感動出来たかもしれないですね。