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cdef5d93.jpgとりあえず・・・長ッ!(笑) 2時間44分の社会派ヒューマンドラマにはスティーブン・スピルバーグ監督の並々ならぬ思い入れを感じます。長いんですけど、絶えず緊張感を漂わせ中だるみもほとんど感じられないのは流石といったところでしょうか。

+++ちょいあらすじ
1972年9月5日。ミュンヘン五輪でパレスチナゲリラ“ブラック・セプテンバー 黒い九月”にイスラエル代表選手が襲われるという事件が発生する。人質となった選手11名は全員死亡。これに激怒したイスラエル政府は、報復として秘密裏に機密情報機関モサドに所属するアブナー<エリック・バナ>にテロ首謀者ら11人の暗殺を命じる。アブナーは、仲間4人とともに殺害を実行していくが、次第に自分たちの任務に疑問を感じ始めていく・・・
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私はこの事件のことはよく知りません。歴史として、かつてミュンヘンオリンピックでこのような悲惨な事件があったということは知ってますけど、どういう経緯で、どういう社会背景において、具体的にどんな事があったのかは全く知りませんでした。だから、この映画でその真実がわかるんじゃないかと思っていたんだけど、どうもそれは私の勘違いだったようで、この物語は「イスラエル選手団襲撃事件」のその後、イスラエル人による報復と報復の連鎖の悲劇を描いた作品だったんですね。「イスラエル選手団襲撃事件」の詳細を知らない立場としては劇中での事件の断片的な描き方ではちょっとわかりにくかったです。事件のその後を描いているのに、その事件の結末がはっきりと分かるのが終盤になってからなので、そこへ辿り着いてやっと全体像が理解出来たという感じでした。これから見る予定で私と同じ立場の方は少し予習をしていったほうがいいかもしれません。

この物語はイスラエルによるテロ行為を描いた作品。それも自身もユダヤ人であるスピルバーグ監督によって。これって実はとんでもないことだったりするんじゃないでしょうか?ミュンヘンの事件だけを見ればイスラエル人は被害者なわけだけど、報復のために暗殺行為を実行するイスラエル政府とアブナーのチームは悪の存在でしかないんですよね。イスラエル、ユダヤ人にべったり蜜月なアメリカでこのようにイスラエルの悪事を世界に広く伝えてしまうような作品をよくぞ作りあげて公開まで無事にたどり着けたなと思いますヨ。映画情報誌などを読んでみてもいろんな圧力に屈しないために企画段階から徹底した秘密主義を貫き制作を進めていったそうですね。

衝撃的なヒューマンサスペンスだけど、これは決して娯楽作品ではないんですね。平和と何かを真に問い、投げかけ、報復の連鎖の無意味さと断ち切る勇気の大切さが強烈なメッセージとしてこめられています。9.11事件に対してアメリカがとった行為は本質的にはこの物語と何ら変わらず、報復の連鎖が今も続いているわけです。偶然にもつい最近パレスチナ自治政府ではハマスというテロ組織による政権が樹立したのも何の因果かわかりませんがなんだか皮肉ですね。ラストに映し出される世界貿易センタービルにスピルバーグ監督の思いの全てが集約されていたような気がします。