ブログネタ
韓国映画 に参加中!
17b6cb4b.jpg私の敬愛するキム・ギドク監督作品です。2004年2月「サマリア」でベルリン国際映画祭・最優秀監督賞を受賞したキム・ギドク監督は同年9月に本作品でヴェネチア国際映画祭・最優秀監督賞を受賞するという快挙を成し遂げてます。キム・ギドク監督の独創的な世界観、創造性は留まるところを知らないのではないでしょうか。監督お得意の寡黙でシュールなラブストーリーなんですが、この「うつせみ」は寡黙を超越した精神世界の愛を描いてるかのようです。後半の寓話的展開はまさしくキム・ギドクファンタジーなんじゃないかと私は感じました。

主演はドラマ「快傑春香」で李夢龍役を演じた若手俳優ジェヒ<旧名イ・ヒョンギュン>とドラマ「砂時計」のイ・スンヨンです。

+++ちょいあらすじ
寡黙な青年テソク<ジェヒ>は、バイクを走らせながら留守宅を探している。人気のない家に侵入してまず留守電をチェック、そして歯を磨き、シャワーを浴び、冷蔵庫にあるもので料理をし、テレビを見て、洗濯までする。あたかもその家の主であるかのように、寛いだ束の間を過ごすことが彼の日常なのだ。ある日テソクは、とある豪邸に忍び込む。留守と思っていたその家には、独占欲の強い夫に暴力を受けた孤独な人妻ソナ<イ・スンヨン>が息をひそめていた。ソナはテソクに気付かれないように彼の行動を観察する・・・
<映画gooより

+++

よく「抑制の効いたセリフが素晴らしい」なんて言い方しますけど、この作品はスゴイですよ、さらに上をいっちゃってます。主人公の青年テソクは結局一言も発しませんでした。なのでヒロインのソナとの間でも会話も一切ありません。だけどそれでも二人の美しい愛が確かに存在することがはっきりと伝わってくるんです。小手先の技だけじゃとても表現することは出来ませんよね。寡黙だからといって決して某監督さんがお好きな淡々とした雰囲気なのではありません。官能的で情熱的、狂気に満ちてるようでいてどこかコミカル。空虚な心がいつしか愛に満たされ昇華していき、孤独や絶望に支配されていたような彼らの世界がとても優しく温かい空気に包まれています。夢なのか現実なのか。なんだか魔法にでもかけられてるような不思議な世界は、静かで儚くてそれでいてとてもドラマティックでした。

一生懸命言葉を探して書いてるんだけど、この映画を説明するのは難しいです。この監督の作品はいつも難しいんだけど、特にこれはセリフが無い分、感性で受け止めて感じる映画だと思うので、それを言葉で説明するのは難しい作業ですね。とにかく序盤から惹きつけられるものはありましたが、その後もグイグイとキム・ギドクワールドに強引ではなく自然に導かれるようにハマリこんでしまいました。なるべく自分の言葉でと思ってるんだけど結局プログラムなどと似たり寄ったりな説明になってしまいそう。とりあえず感じたことを言葉にしてみてるけど、なんか支離滅裂カモ。

原題は「空き家」です。なぜ原題そのままにしなかったのか不思議だったんだけど、観てわかりました。韓国で公開されたときも、あらすじ紹介で「空き家に潜り込んで生活する・・・」みたいに訳されていたんですけど、実際には「留守宅、不在中の家」なので、日本語で言うところの「空き家」とはちょっとニュアンスが違うんですよね。ちなみにチラシの記述によれば「うつせみ」というのは「せみのぬけがら。そのようにこの世はたよりなくはかないということ。現世あるいは、現世の人の意で、「世」「命」「かれる身」「人」「むなし」などにかかる枕詞。源氏物語の巻名。第三帖。」とあります。説明してもらえれば、なるほどなんですけど、ストレートには伝わってこないかな。「空き家」が空虚な心と心の居場所を表してるのがよくわかるだけに、いっそそのままでもヨカッタんじゃないかと思います。海外仕様の宣伝ポスターをみると原題の発音をそのままアルファベットにしてるのも目に付きますね。

初日だというのに、客席は半分弱くらいしか埋まってませんでした。韓流とかいってもスター俳優出演作でないとだいたいこんなもんなんですよね(苦笑)。私が言うまでもないんですけど、キム・ギドクファンにはぶちオススメ。ちょっと痛い場面はあるけど、これまでのようなエログロはないのでその手のが苦手で敬遠してた方もコレは大丈夫だと思いますヨ。