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aaedb2b2.jpg南海キャンディーズのしずちゃんが一人で踊っていた劇場予告編はかなり以前から見せられていたので、全容が掴めないものの何だか気になる作品だったわけですが、公開が目前にして宣伝量も一気にアップしていくに従って前評判おグングンと高まっていきましたね。いつの間にか私も当然観るでしょモードになってたりするのですが、冷静に考えるとシネカノンさんの宣伝戦略は実にお見事だったといえるのかもしれません。もちろん作品としてかなりの自信と手応えがあったんじゃないでしょうか。

出演はその他に、山崎静代、岸部一徳、富司純子、高橋克実、徳永えり、寺島進など

+++ちょいあらすじ
昭和40年。エネルギー源が石炭から石油へと移り変わり世界中の炭鉱が次々と閉山していく中、福島県いわき市の炭鉱会社は、地元の温泉を活かしたレジャー施設「常磐ハワイアンセンター」の計画を推進し、その施設の目玉としてフラダンスのショーを企画し、松竹歌劇団(SKD)出身で本場ハワイでフラダンスを学んだという平山まどかを東京から招聘し地元の娘たちにダンス特訓を始めるのだが・・・
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やばひです、やばひですよこの映画ッ。シネカノンさんが強気なのも納得ですヨ。素晴らしい感動作でした。舞台挨拶も見たかったナ・・・

私、常磐ハワイアンセンターには行ったことないんですけど、猪苗代には行ったことがあります。子供の頃、野口英世の伝記を読んで大ファンになり、大人になってからツーリングがてら猪苗代湖近くにある生家に立ち寄ってきました。とんでもなく景色のいいところだったのがとても印象的でした。

でもこの物語の舞台は炭鉱の町いわき市です。昭和40年、石炭の需要が落ち込み閉山が相次ぐ中でこの町も例外ではなく、人々の心も町の姿も煤けてどんよりとした色彩に包まれています。炭鉱が舞台の映画というと真っ先に高倉健さんを思いだしちゃうし、物語はといえば炭坑の町が時代の移り変わりと共に段々と寂れていく姿だったり、落盤事故が起きたりする中で生き抜いていくという、とても男臭いお話をすぐに想像しちゃうんですけど、この物語の主人公は女性たちです。ガーリームービーと言ってもいいくらい、物語の中で炭鉱娘たちの青春が眩しいくらいにキラキラと輝いてました。実話で、再生物語で、青春群像劇で、ダンス映画で、ソウルフルでと、感動の重大要素が見事なストレートフラッシュで揃ってしまえば、私にとってツボにハマらないところは無いって感じですヨ。

オープニングのシーン、早苗ちゃんがダンサー募集の貼紙見つけたところで早くも私の心を電流が走りました。まだ何も始まってないのに早過ぎるって思われるかもしれないけど、早苗ちゃんと一緒の気持ちになれたのかもしれません。これから何か、何かわからないけど素敵なことが始まりそうな予感がビリビリしたんです。きっと早苗ちゃんは自分の人生が変わるような予感がしたんでしょう。このシーンが最初にあったもんだからかなり感情移入しちゃってたせいでその後の彼女の見せ場ではサブストーリーながらも号泣しちゃいました。思えば序盤から涙腺緩みっぱなしで後半はほぼ泣きっぱなしだったかも。涙タンクが空になるかと思ったよ。まさに渾身の力作といえるでしょう。

実話がベースなだけに大ドンデン返しとかミラクルな展開は無くて、想像しようと思えば出来なくも無さそうな当時の世相を背景にしたヒューマンドラマです。物語としては素朴なだけに素材の良さがとても輝いて見えると言えるんじゃないでしょうか。もちろん李相日監督の演出力もあるとは思いますが、登場人物のキャラがそれぞれ際立っていて強い存在感を放っていたのがとても印象的でした。出演者たちがそれぞれ自分の役に命を吹き込んでいくことが、この物語の生命力ともなり、ドラマは自ずと躍動感を得てダイナミックに展開していった、そんな風に感じました。

出演者にも細かく語っておきたいんですけど、キリがないのでとりあえず4人ピックアップ。元SKDで都落ちしてきた落ちぶれたフラダンスの指導者・平山まどかを演じた松雪泰子さん。彼女の女優魂は素晴らしかったです。とても美しいタヒチアンダンスでしたヨ。彼女の60年代ファッションも素敵だったし、さすが抜群の着こなしです。保守的な町にやってきた異物としての東京女を見事に演じていたと思います。フラガールのメイン谷川紀美子を演じた蒼井優ちゃんはなんといってもラストのソリストとして見せ場がもぉ最高に素晴らしかったです。「花とアリス」でも素敵なバレエシーンがありましたけど、今回のフラダンスはとても力強く圧巻で魅了されまくっちゃいました。早苗との友情、母との対立と葛藤、悩み傷つきながらも自分の未来を切り開いていこうとする18歳の女の子を好演してます。基本的には松雪さんと蒼井ちゃんがこのドラマを牽引してるといってもいいでしょう。そしてフラガールと対極的な位置の女性として描かれていたのが富司純子さんが演じた紀美子の母。さすがの実績と貫禄とでも言うのでしょうか、物語上のスパイス的存在で彼女が作品に緊張感を与えピリリとした味付けを加えてくれたんじゃないかと思います。演技の面では女優たちの対決を見ていたような気もします。最後は広報面でも大活躍のしずちゃん。正直彼女の演技云々はよくわかりませんが、彼女が演じたどんくさい田舎の生娘・熊野小百合にいっぱいは笑わせてもらい、そしていっぱい泣かせてもらったのでとても満足してます。キャラがキャラなんですけど、これほどの顔ぶれの中で埋没することなく自分の個性を発揮できたことはとてもヨカッタんじゃないでしょうか。

フラダンスの表現には手話の要素があって踊りにはそれぞれ意味が存在します。私も聴覚障害者の友人がいたので手話をかじってたことがあってわかるんですけど、この様なボディランゲージには文字や音声言語にはない独特で繊細な感情表現力があるんですよね。後半の駅でのシーンには胸が熱くなりました。日本の手話を知ってるとなんとなく外国の手話も知らなくても直感的に通ずるものがあるんですけど、それはフラダンスも一緒なんだなって思いました。

ダンスを習っていたときのフラガールたちはいかにも田舎娘って風貌でしたけど、衣装を着てメイクするとみんなめんこくなっちゃって、さらに舞台で踊ってるときの姿はとても輝いていて眩しかったです。私もあの場にいて生の舞台が観たかったデス。