2006年10月23日

天使の卵/小西真奈美、市原隼人、沢尻エリカ3

4d921d3c.jpgある時、本屋さんでふと目にとまった「天使」の言葉。ただそれだけで読みたくなって買ってしまったのですが、これが意外にも大当りで号泣ゥ。この本に出会って以来、村山由佳さんのファンになって他の作品も読むようになりました。最初に映画化が発表されたとき小西真奈美さんの一人二役という話だったような気がするんだけど、その後、大ブレイクした沢尻エリカさんが妹・夏姫役に決まったんですよねぇ。原作ではそれほど出番のない夏姫役に主演の二人よりある意味ビッグネームな彼女をあてちゃうというのはどうなんだろ?と、ちょっと心配だったんですが、イヤな予感は的中してしまったかもしれません・・・

+++ちょいあらすじ

美大を目指して浪人中の歩太と現役合格を決め大学生となって夏姫はとても似合いのカップルだった。しかし、歩太はある日満員電車で出会ったどこか陰のある女性に密かに恋心を抱く。そして歩太は数日後彼女とひょんな所で再会した。彼女は精神科に入院療養中の父の新しい主治医・五堂春妃で、しかも夏姫の8才上の姉だった・・・
+++

冒頭、学校のシーン。アレ?そんなのあったっけ?と思ってたら教壇に立っているのは沢尻エリカさん演じる夏姫。コ、コレって「天使の卵」のその後を描いた「天使の梯子」の場面ぢゃん。沢尻エリカさんの先生役?似合わない(苦笑)せいぜいまだ教育実習生くらいの雰囲気で膝丈のタイトスカートがオバさんっぽい(笑) さらにナレーションが夏姫で4年前を回想するように物語が語られていくんですね。歩太はガテン系のバイトしてるし。やっぱり沢尻エリカさんをキャスティングしたらそりゃ脇役ってわけにはいかないよねェ。そもそも原作に分厚いボリュームがあるわけじゃなかったので、どうするのかな?とは思ってたんだけど、夏姫の出番がだいぶ増えて結局主人公が3人って感じなんですね。ウーン、「天使の卵」は心に傷を持っている春妃と歩太の二人がお互いを癒し合うような純愛がテーマだったのに夏姫がこうも前面に出てこられると、しかも演じてるのが沢尻エリカさんだけにインパクト強くて雰囲気がだいぶ変わっちゃいますね。

春妃と歩太のファーストコンタクトのシーンだって歩太が思わず一目惚れしちゃうような印象的なシーンなのに、その前に沢尻エリカさんに登場されてたら、小西真奈美さんの存在感が薄らいじゃうぢゃないですか。しかも妹は何故かハーフだよ(笑) このキャスティングだとスゴク可愛い夏姫という彼女がいてどうして春妃に目が眩むの?ってことにもなりかねないですよね?実のところを言えば歩太役の市原隼人くんも私のイメージする歩太とは全然違うんですよね。市原くんだと器量良すぎで華やか過ぎる気がするんですよね。さらに言うとちょっと子供っぽいし絵描きの雰囲気が感じられないんですよね。そして肝心要の春妃が歩太に惹かれる要素が私には見えてこなかったなぁ。

結局このキャスティングのために行った脚色が原作の良さをスポイルしちゃったような気がするんですよね。歩太の病気の父親や、恋人のいる母親に対する葛藤、苦しみ、春妃の辛い過去、いまだ癒えぬ心の傷。二人が自然に惹かれ合いお互いを必要とする理由がごっそり省かれしまっては肝心の二人の愛の物語もなんだか希薄に感じてしまいます。原作にはもっと深くて重い感情があったのに映画からはそれが全然伝わってこないし、二人の夏姫に対する後ろめたさや、禁断じゃないけど、医者と患者の家族、そして恋人の姉、妹の恋人という、ちょっと軽く背徳感を漂わせるような秘密めいたような恋とか、シンプルなストーリーにある毒気みたいなものがまったく感じられなかったのは残念です。

結局、最後までまったく泣けず終いでちょっと期待ハズレのガックリ。原作小説と映画は別物だとは思っているけど原作あってこその映画化なのも確かなわけで、あの感動的な描写をどう演じて見せてくれるのかというのも楽しみの1つですよね。タイトルにもなってるキーアイテムまで変えられてしまってずっこけそうになっちゃいましたよ(苦笑) ピアスでしょ、ピ・ア・ス! TVドラマの「天使の梯子」も観ましたけど、映画のシーンがいっぱい使われてるんですよね。キャスティングはこのTVドラマのほうが私のイメージには近いですヨ。

ちょっと穿った見方というか邪推かもしれないけど、ヒットさせようと思って仕掛けた策が方向性を間違えちゃったんじゃないでしょうか?話題性なんかよりも、もっと作品そのものを真心込めて丁寧に描いてほしかったです。

あとさぁ、作業に没頭してる様子を表現してるのかもしれないけど、いくらなんでもあんな暗い部屋で絵は描かないと思うんだけどなぁ、普通。あんな暗いとこでキャンバス注視し続けていたら目、疲れません?私だったらドライアイでもたないですよ。それに明るいとこで観たら作品の印象が変わっちゃうんじゃない?私ははぐちゃん(by ハチクロ)みたいにBGMかけて気分ノリノリにして描くタイプでした(笑)。

baron_na8c at 00:04│Comments(2)TrackBack(21)劇場観賞 | 日本映画

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この記事へのコメント

1. Posted by PGM21   2006年10月23日 00:24
何時もお世話になっております。
やはり美系の方にとっては美術作品を描く方に注文が付いてしまいますかね。
心理分析してしまうと最終的には春妃は全ての事を抱えてしまった感じでしたよね。
やっぱり女性が年上過ぎると難しいのかもしれませんね。という逆も考えてしまいますけれどね・・・
2. Posted by かのん   2006年10月23日 11:08
> PGM21さん

特に美術系だからという事もないと思うんですが、やっぱりこの作品では春妃を描く歩太の行為が重要な意味を持っていたので注目せずにはいられないんですよね。完成した1枚の素晴らしい絵よりも、たくさんの習作、ラフスケッチをもっと見たかった。夏姫のことは描かなかったのに春妃を描いたわけだし、決して口数の多くない歩太の春妃への強く深い思いが絵に託されていたことを思うと、「天使の梯子」にでてきたスケッチブックのほうが重要だった気がします。

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