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aae18318.jpg地下鉄の出口をくぐれば、そこには昭和39年の街並みが・・・この設定からしてかなりそそられましたヨ。タイムスリップもの、浅田次郎の原作ということもあってかなり楽しみにしていた作品です。時間軸をずらすきっかけになるのが地下鉄というのは、「イルマーレ」の郵便受け並に洒落てるように思いましたヨ。高速道路のトンネルもそうだけど、通り過ぎていく時に瞬いてるように映る照明が不思議な感覚があって子供の頃から好きなんですよね。地下鉄をわざわざ「メトロ」と読ませてるんですけど、チケット売場では年配の方々は一様に「ちかてつに乗って」と言ってました(笑)。

出演はその他に、常盤貴子、岡本綾、田中泯、笹野高史など

+++ちょいあらすじ
小さな衣料品会社の営業マン・長谷部真次は絶縁状態の父親が倒れたという知らせを受けたその日もいつものように帰り道に地下鉄に乗ろうとしていた。しかしその日は偶然の学生時代の恩師と駅で再会し昔話に盛り上がり電車をやり過ごしたため、別の路線で帰宅しようと駅を移動する途中で亡き兄の後ろ姿を目撃し思わず後を追いかけた。そして兄の背中を追って地下通路を抜けると、そこは何故か昭和39年の東京だった・・・
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タイムスリップしちゃうけど、決してSFではないんですよね。必ずしも地下鉄じゃなくてもタイムスリップしちゃうみたいだったし、地下鉄というのはたぶん日常の風景であって、その日常的な空間が、ある日突然、現実と幻想を行き来するキースポットになるというところがミソなのでしょう。主人公の真次とみち子は人生の旅人となり目撃者となるわけですが、それは同時に彼ら親を主人公とした物語を描く上での案内人的な存在でもあるんですよね。

常に非情で反発していた父親と正面から向き合うことで本当の父の姿を理解し、自分の人生を見つめ直していく。そういったテーマ自体は珍しくないと思うんだけど、この作品の場合その手法がタイムスリップだということが重要なんでしょう。誰かによって教えられる伝えられるのではなく、自分が生まれる前の父親の姿を自分の目で見て、さらに父の人生そのものにも関わることで、父親が決してこれまで家族たちに見せてこなかった隠された父の苦労や心の奥底にあるものを知っていき、真次はこれまで父に抱いていたわだかまりや反発心を和らげ、次第に父への心の壁を取り払っていきます。

子供の頃にはわかりようがなかった父の気持ちと苦難の人生。自分も社会にでて経験を積み重ね、人の子の親となったことで、あらためて理解出来ることってあると思うんだけど、それをタイムスリップすることで息子が大人の目線で間近に見て、さらに交流を深めていくことでより若き頃の父の心に近づいていくという描き方がなんともファンタジックで素敵でした。

なかなか面白かったです。でも、最後にみち子がとった行動に呆然としてしまい、それまでハートゥォーミングな心地よさがみんな吹っ飛んでしまいました。行動の意味はわかるんですけど、理解が出来ません。「母と愛する人を天秤にかける」ウーン、だからってそんな精算の仕方しなくてもヨカッタんじゃないの?っていうか、どうしてこういう時にいつも責任をとるのは女性なんだろ?男性は何も罰せられず幸せを得ていいわけ?

それ以前に一番腑に落ちないのが時代設定。真次とみち子が生活しているのは西暦何年なんだろ?みち子の年齢って二十代半ばくらいですよね?演じてる岡本綾さんもたぶんそれくらいでしょ。物語上、みち子が生まれたのが仮に昭和40年、1965年だとすると、現代が1990年くらい?でもあの地下鉄って東京メトロでしたよね?真次とみち子が携帯電話を使う場面がなくて、赤電話を見つけて電話をかけようとしたくらいだから、携帯がまだ普及してない頃かと思ってたら、背景で通り過ぎたサラリーマンが折り畳み式風の携帯電話で喋ってたしなぁ。原作が刊行された1994年だとしても岡本綾さんが若すぎるし、現代が今から12年前という設定だとしてもわかりにくいしピンとこないですよね。

なんだか物語の最後になって頭の中ににハテナマークがいっぱい点灯してしまいました。