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5f87989e.jpg私の好きな世紀末画家グスタフ・クリムトを描いた作品です。クリムトは知らなくても彼の作品は観たことあるという方は多いかもしれませんね。何でもクリムトは日本では人気が高らしいんですが、言われてみればお店などでインテリアとしてレプリカを飾ってるのを時々見かけたりしますね。私は学生時代にクリムトの大ファンという友達がいて影響を受けました。困ったときのクリムト、じゃないですけど、デザインに煮詰まったときなんかにインスピレーションを得たりとかして、私にとってクリムトは青春の1ページだったりします(笑)。

+++ちょいあらすじ
1918年、第一次世界大戦の最中、とある病院で死を迎えようとしている一人の男がいた。彼の名はグスタフ・クリムト。オーストリアのウィーンを代表する天才画家だ。彼を見舞いに来た弟子エゴン・シーレの存在にも気づかず、彼の頭にはこれまでの人生が走馬灯のように去来していた。

19世紀末、保守的なウィーンでクリムトの作品は酷評の嵐を浴びていた。しかしその一方、彼の描く絵画は流行に敏感なパリでは絶賛されていた・・・
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お家に帰ってから早速クリムトの画集を引っ張り出してきて読み返してしまいました。学生時代、難しくてさっぱり理解できなかった作品解説や美術評が今読み返したら普通に理解できました。一応、脳みそも成長してるらしいです、ヨカッタ(笑)

映画はねぇ、何かヘンテコリンな映画でしたね。いわゆるクリムトの人生を描いていくような人物伝って感じじゃないんです。逆に、観る人がある程度はクリムトの知識を持っているか、彼の作品に興味を持ってないとよくわからないんじゃないかな?クリムトの人物像に迫るって感じでもないし、かといってストーリーで魅せるって感じでもないんですよね。そもそもストーリーは断片的だし時系列もいぢられていて現実と虚構が交錯するような構成になってます。でも20世紀初頭の上層階級の方々の生活様式や社会背景などは垣間見られて作品の雰囲気自体はとてもいい感じでした、

黄金様式、エロス、肖像画。これらはクリムトの作品を語る上では重要なキーワードだと思うし、スゴイ女好きだったというのも有名な話です。それらは劇中でも重要な要素になってましたし、おかげでこの映画もR-15指定です。彼はたくさんの裸婦を描いておりアトリエにも若いモデルがいつもいてある種のハーレム状態だったとも聞きます。しかし彼のエロスはあくまでも芸術的なエロスであり、裸婦は美しい素材の1つだったといえるでしょう。まだ男尊女卑が当たり前のような保守的な時代において、女性のありのままの自由な姿を生き生きと描き華やかな装飾を纏わせたクリムトは実はこの時代に縛られていた女性たちの心を開放させてたんじゃないかとこの映画を観てふと思いました。

個人的には「接吻」や「ユーディット」あたりの代表作が出来上がるまでのエピソードや裏話なんかを知りたかったんだけど、そういうのは全くありませんでした(苦笑)。たぶん、この作品はストーリーを追ったり何か理解しようとかしちゃダメなんでしょうね。漠然とクリムトの精神世界を観ていくような感じがいいのカナ?この映画を楽しめるかどうかは予備知識によってだいぶ違ってきそうな気もしますが、そもそも興味ある人じゃなきゃ観に行こうなんて思わないのかもしれませんね。オススメはしません(笑)