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ac2d868b.jpg見事にハマリました、私のツボというツボにドンピシャ、最初から最後まで思いっきりシンクロしちゃいましたヨ。家族の崩壊と再生をキーワードにした作品が「紀子の食卓」「酒井家のしあわせ」などが記憶に新しいところですが、目線としては「酒井家のしあわせ」に近いかな。というより「紀子の食卓」が異常なんだけど(笑)

原作は瀬尾まいこさんの同盟小説。中学校国語科教員をされている作者ならではの視点、切り口を見事に映像化した小松隆志監督の手腕と、それぞれの登場人物を等身大に演じて魅せた出演者のみなさんにエンドロールでは思わず心の中で拍手です。

出演はその他に、平岡祐太、さくら、羽場裕一、石田ゆり子

+++ちょいあらすじ
中原家では3年前、父が自殺未遂をしてから家族は変わってしまった。母は家を出て別居状態。成績優秀だった兄は大学進学を拒否し、農業に従事していた。新学期が始まって佐和子のクラスには転校生・大浦勉学がやってきた。彼は佐和子の兄に憧れ進学校である西高を目指すためにも佐和子と友達になりたいと言う。ちょっと変わってるけど朗らかで逞しい大浦に佐和子も影響を受け始め、彼女も自分の将来をしっかりと見つめ直していく・・・
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原作は本屋で何度か手に取りながらも、映画を先にと買わずにいたんですが物語の展開的には読む前に観てヨカッタかなと思います。読んだら読んだでまた別の感慨があるんだと思いますけど、まさかの展開には私も絶句の呆然となってしまいましたから知っていたら、きっとこれ程まで主人公と気持ちが深くシンクロすることはなかったでしょう。何度かウルウルきちゃいましたよん。

この物語は、人生に疲弊し心が壊れた父、女性として自立を目指す母、学業優秀なのに大学を辞めた兄、といった現代社会が抱える決して特殊ではない家庭問題を織り交ぜ背景にしながらも、主人公・佐和子の青春と成長を淡く切なく瑞々しく描いていきます。佐和子の目線は背伸びすることなく極めて等身大。転校生・大浦くんとの恋物語も無理に大人びることなく今時分では珍しいくらいに中学生らしく初々しく高校生らしく清々しく爽やかで胸がキュンキュンしちゃいました。中学生に泣かされたのは「青空のゆくえ」以来でしたね。思わず、あの頃に戻りたい、そんな気分にもなりました。

本作で主役に抜擢された北乃きいさん、彼女はスゴイっ。登場人物はそれぞれ魅力的で主人公を支える脇の存在がとても重要なウェイトを占めている作品ではあるけど彼女の輝き方がとてもイイんですよね。特に彼女の目には確かなものを感じました。映画初出演で初主演とは思えない存在感で魅了し物語を最初から最後まで牽引していったんですからたいしたもんですね。これからどんな色でも彩れるようなまるで白いキャンバスをいっぱい持ってそうなイメージ。とにかく彼女の存在はとても眩しかったです。撮影時は役と同じ中学三年生ということでまさに等身大の瑞々しい躍動感がスクリーンに溢れてます。相手役の勝地涼くんはさすがに5歳年上ということで中学生役の時はちょっと苦労してたみたいだけど、でもすこぶる爽やかな雰囲気がとてもヨカッタです。お兄ちゃん役の平岡祐太くんも彼のいい持ち味がでてましたよ。

それから意外にもといったら失礼かもしれませんが、小林ヨシコを演じたさくらさんがとても印象的でした。物語上キーパーソンともいえる大切な役で、ちょっと捻くれてるいるようで物事の本質をしっかり見抜いているような難しい役どころを見事に演じきっていたと思います。これまでバラエティ番組でのさくらさんしか印象になかったんですが、女優としてのさくらさんにとても好感を持ちました。

ラストシーン、ミスチルの「くるみ」が流れてこのままエンドロールかなぁと思ったらそうじゃないんですよね。「くるみ」をBGMに河原の土手のようなところを時折振り返りながら歩いていく佐和子の姿がずっと映し出されていきます。ただそれだけの何てことはないシーンなんだけど、その歩く姿と歌詞から佐和子の気持ちがしっかりと伝わってくる印象的な演出でした。でもあれは冒険だよねぇ、だからまた感動ォ。

大浦くんのセリフ「お前の気付かないところで誰かが守っていてくれる」。そうそう、特に家族って案外そういうもんなんだと思います。ヨシコのセリフ「近すぎると見えないこともあるんだよ」うんうん、そうそう、だから他人の言葉って大切なんだよね。切なくも心あたたまる素敵な物語に久々にプログラムを購入してしまいました。