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45a10ad3.jpg2006年11月に他界したロバート・アルトマン監督の遺作となってしまいました。伝説の公開ラジオ歌番組のライブ・ショーの最後の一日を描いたこの作品はある1つの時代の終わりを描いたものでもあり、決して悲しい物語ではなく笑顔あふれる楽しい物語であることは、最後の作品として相応しかったように思います。

出演はその他に、トミー・リー・ジョーンズ、ギャリソン・キーラー、ケヴィン・クライン、リンジー・ローハン、ヴァージニア・マドセン、ジョン・C・ライリー、マーヤ・ルドルフ、メリル・ストリープ、リリー・トムリン、メアリールイーズ・バーク、L・Q・ジョーンズ、ロビン・ウィリアムズ

+++ちょいあらすじ
ミネソタ州セントポールのフィッジジェラルド劇場では全米のリスナーに長年親しまれてきた人気公開ラジオ番組「プレイリー・ホーム・コンパニオン」の最後の放送が始まろうとしていた。司会者のギャリソン・キーラー、姉妹のカントリー歌手ロンダとヨランダら出演者やスタッフたちが舞台裏でそれぞれの思いを抱きながら本番の舞台へ臨もうとしていた・・・
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そもそもは「ヘンダーソン夫人の贈り物」「華麗なる恋の舞台で」といった舞台物、バックステージ物というような流れで観に行ったんですけど、この二作品とはちょっと違う色合いですね。ちょっとじゃないかな?安直に例えるならやっぱり三谷幸喜監督の「ラヂオの時間」かな。比較するようなものではないんですけど、ただなんとなく三谷幸喜さんが好きそうだなって思える映画で、物語はほぼ全編、公開ラジオ番組を行っているフィッツジェラルド劇場を舞台にして描かれていきます。ライブショーやそのバックステージの様子は時間の流れもそのままなんじゃないかと思えるほどライブ感覚で、ある部分を除けば特に大きな仕掛けもなく映画を鑑賞しながらライブの観客にそのままなっているような感覚で展開されていきます。

バックステージ物で群像劇で豪華キャスティング。ワタシ的には楽しめる要素が揃っているんですけど、正直あまりツボにはハマってきませんでしたね。所々笑えはしましたけど、特に高揚感は得られませんでした。ただそれは作品が悪いというよりたんに私との相性の問題と私がまだまだ未熟者だということなんだと思ってます。

中西部、ハードボイルド、カントリー&ウェスタン。ラジオは入浴時にいつも聴いていて好きなメディアなんだけど、それ以外のアメリカの古き良き時代を表すキーワードがあまりピンとこなかったのかもしれませんね。観る人が観ればとても哀愁たっぷり喜劇なヒューマンドラマなんじゃないでしょうか。そんなわけで私の場合、リリー・トムリンとメリル・ストリープが演じた姉妹デュオのカントリーソングやギャリソン・キーラーのトークやリンジー・ローハンの歌をかくし芸大会のように楽しんで観ていたところもなきにしもあらずです(笑)。あのプラダの悪魔の大女優がカントリーソングを熱唱してるんですから、必見ですよ。トミー・リー・ジョーンズはヒール役で登場するんだけど最近コーヒーのCMの印象が強くてどっかでポロっと日本語喋り出すんじゃないかと想像しちゃいます(笑)。

物語が後半に入るとある出来事によってドラマも転がり始めます。前半から登場していたヴァージニア・マドセン演じる謎の女性もキーパーソンとなり、それまで音楽映画的だった流れがヒューマンドラマとして集約されていくのですが、そのある出来事にロバート・アルトマン監督の大事なメッセージが込められているような気がしてなりません。そしてそのある事実を聴衆に伝えるかどうかで言い争うギャリソン・キーラーとヨランの言葉にもロバート・アルトマン監督の思いが伝わってきます。「いつも通りにやる」観衆、聴衆を楽しくさせることを最も重視するギャリソン・キーラーのその思いはまさに一流のエンターテナーの心意気なのでしょう。

「老人の死は悲劇ではない」。ロバート・アルトマン監督が亡くなった今となっては彼の人生そのものとも重なってきて、実際、監督がそこまで意図してたかどうかはわかりませんけど感慨深いものがある作品でした。