ブログネタ
映画鑑賞日記 に参加中!
80554fd5.jpgけっこう話題の大作だと思ってたんだけど上映してるとこは意外と少ないんですよね。私は川崎のチネチッタで観たんだけど小さいキャパの劇場が割り当てられていたせいかかなりの盛況ぶりでしたよ。春休み映画としては他の作品に集客力で劣るのかな?確かに子供向けアニメって親子セットなぶん動員力も収益も大きいらしいんですよね。なんだかんだ言ってもいつも行くシネコンでこうして観れるのだから有り難いのでした。

出演はその他に、トム・ホフマン、セバスチャン・コッホ、デレク・デ・リント、ハリナ・ライン、ワルデマー・コブス、ミヒル・ホイスマン、ドルフ・デ・ヴリーズ、ピーター・ブロック

+++ちょいあらすじ
1944年、ナチス占領下のオランダ。美しいユダヤ人歌手ラヘルはナチスの迫害から逃れようと南部へ逃げる途中でドイツ軍に見つかり家族を殺されてしまう。レジスタンスに加わった彼女はエリスと名を変えその美貌を武器に敵の将校に近づき情報を探る・・・
+++

事実の着想を得て作られたというこの作品。しかし、いわゆる実話モノの雰囲気はあまり感じなかったし、社会派という感じでもなく、どちらかという娯楽作品っぽい雰囲気がするのだけど、史実が背景としてあるだけに画面から伝わってくる説得力はかなりのものです。泣けるとか心が揺さぶられるとかワタシ的な感動のツボにはハマらなかったんだけど、映画としてはかなり見応えがあって面白かったです。150分弱程の尺ながらも途中でダレるようなことは全く無くて最後まで惹き付けられっぱなしでした。

ポール・バーホーベン監督が23年ぶりに母国オランダで制作したオランダ映画ということもあって、見た目の派手さに走ることなくじっくり味合わせてくれて、ストーリー、人物ともにとても丁寧な描写に実直さを感じました。この辺りがハリウッド100%な作品とはちょっと違うとこな気がしますね。ドイツ人もオランダ人も喋ってるのが全部英語ということもありませんしね(笑)。

レジスタンスを描く作品というのはだいたい英雄物語みたいなパターンが多いような気もするんだけど、この物語の主人公であるユダヤ人女性・ラヘル/エリスはそういう人物とはちょっと違うんですよね。ラヘルはナチスに家族を殺され一人生き延びレジスタンスに加わり復讐を誓うのだけど任務のために近づいたドイツ人将校・ムンツェに次第に惹かれてしまいます。家族への愛、同志たちとの絆、ナチスへの憎しみ、復讐心、といった様々な感情の狭間で激しく葛藤し苦しみながらもムンツェへの愛を貫いていくラヘルは大きな時代のうねりに翻弄されながらも波乱の人生を歩んでいきます。これはそんな数奇な運命をたどった一人の女性の物語です。

エリスはいわゆるハニートラップとなってドイツ軍情報部トップのムンツェに接近しまんまとナチス司令部での職を得て潜入に成功しちゃうわけですが、さすがにあれだけの美貌の持ち主だからこそ成せる仕事ですよね。たぶん一番最初はレジスタンスとしてムンツェに抱かれていたと思うんだけど、ムンツェの人柄、人間の器としての大きさなどに惹かれ気付けば二人はユダヤとナチスという大きな壁を愛の力で乗り越えてしまってるんですよね。

オランダを舞台にしたユダヤ人女性の物語といえば確か「アンネの日記」がそうだったように思うけど、同じ時代に生きたもう一人の女性の物語として大変興味深いものがありました。史実を背景に用いたサスペンスなラブストーリーでエンタメ度もなかなか高い作品なんですが、しっかりと心に余韻を残してくれる印象深い作品でした。