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本屋さんでこの映画の原作小説を見かけたとき、ちょっと気になるタイトルではあったんだけど特に手にとることもなく素通りしてしまいました。で、映画化されることになってその内容を聞きかじってちょっとビックリ。だって、青春ドラマだったなんて思わなくて大人のお話だとばかり思ってたんですよォ、思いっきりリサーチ不足でした、もぉトホホ。公開直前になってTVスポットでも流れるようになった予告編の成海璃子ちゃんの語り口と何かを問いかけるような目線がとても印象的でした。

出演はその他に、高岡蒼甫、近藤芳正、奥貫薫、田口トモロヲ、石原真理子、石原良純

+++ちょいあらすじ
小・中学校で同級生だった日南子はクラスの人気者で優等生だったがちょっとしたことをきっかけにある日から突然いじめられる存在になってしまった。高校生になった寿梨は小学校卒業式の日に図書室で日南子と交わした言葉を忘れられずにいた。卒業後は疎遠になっていたが、偶然、日南子のメールアドレスを知った寿梨は日南子に架空の物語を送信し始める・・・
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何だかよくわかんないけど何故か冒頭からウルウルしちゃいました。ちょっと涙腺ゆるすぎかもしれませんけど、小粒ではあるけど爽やかな心地よさが感じられる作品でした。

いじめ問題を題材にしてはいますが、現実が抱えている問題はもっと深刻でこの作品が描いているような生易しいものではないでしょう。そういう意味ではちょっとパンチに欠けるところもあるんだけど、ただこの作品が描こうとしているのは、いじめの陰湿さや実態などとはちょっと違うベクトルなんですよね。物語はごく普通に学校生活を送るごく普通の少女たちが明るく開放的なようで実はとても閉塞した一面も持つコミュニティの中で生活していくことで慢性的に抱え続けている潜在的な不安や葛藤といった心の揺れを少女たちの等身大の目線で描いていきます。

高校生になった寿梨はふとしたきっかけで小・中学校で同級生だった日南子にコトリと名乗って架空の物語を送り始めます。それはイジメられっ子だったヒナという女の子が転校したのきっかけにコトリアドバイスを受けながら楽しい学校生活を過ごしていく「ヒナとコトリの物語」。要するにそれはイジメられないためのHowToマニュアルであり、学校生活を無事に生き抜くための処世術みたいなものなのでしょうか。物語に魅せられた日南子はアドバイス通りに実行していくとかつて小学生時代にも経験したようなクラスメイトたちからも好かれる人気者となりイジメられる事もなく学校生活を送っていました。でも次第に日南子は演じている自分、偽っている自分に息苦しさを感じだし本当の自分との狭間で悩み始めていきます。一方、寿梨も家庭的な問題を抱えながら両親を気遣い良い子を演じてきた自分に違和感を感じ始めていきます。

イジメに遭わないように、ハブかれないように、周りに合わせて決して目立ち過ぎず自己主張し過ぎず、当たり障りの無く好かれるように友達と付き合い、そうやって自分を見えない保護膜で包みながら過ごしていく学校生活。今の子供たちって毎日学校へ行くただそれだけのことに、こんなにも神経を遣わなければならないのかなって疑問に思いながらも、リアリティある主人公たちの繊細な心の機微に説得力を感じずにはいられません。こんな学校生活を続けていたら下手をすれば大人になるまでに心がクタクタになっちゃいそうな気もしますけど、だけど生きる力まで失ったわけじゃない彼女たちの心はそんな経験をしならが少しずつ確かな成長を遂げていきます。

この映画はいわゆるジュブナイルムービーとして受けとめていいんだと思います。でも学校生活の延長上にある社会生活にも同じ様な問題や悩みを多く抱えていると思うし、ここに描かれているメッセージはきっとかつて子供だった大人たちの心にも届くような気がします。「今日は辛くても明日は幸せかもしれない」この言葉は私の心に大切にしまっておきます。

ところで、劇中では小学生時代から高校生まで何年かを描いているんだけど、その過程で成海璃子ちゃん演じる寿梨がとても自然に成長してるんですよね。もちろん演出の力もあるんでしょうけど、彼女の自身の演技力も相当なものですヨ。実年齢より下でも上でも違和感がないって、彼女自身がちょうどいい年齢だということもあるんでしょうけど、大袈裟に言えば奇跡的な巡り合わせなように思えてなりません。ますます目が離せない女優さんですっ。