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4e741a23.jpg初めてこの映画のチラシを目にしたときはもちろん内容なんか全く知らないわけですが、そのタイトルだけで何だかゾクソクっとかなり惹かれちゃいました。いかにもミニシアター向きな雰囲気しません?主演も瑛太くんに関めぐみちゃん、そして最近の活躍が著しい濱田岳くんと私の好きな3人が揃っていてそれだけワタシ的にはかなり楽しみな作品でした。

で、先に感想を言ってしまうととってもヨカッタです。ワタシ好みな小説的な雰囲気がスクリーンに漂ういかにもミニシアター作品って感じの風合い。この物語、原作ファンの方々はともかくとして内容は全く予備知識がないほうが楽しめると思います。いつも核心的ネタバレは避けるようにしてますが、この作品に登場人物のやちょっとした展開すらも何も知らずに観たほうがいいでしょう。劇場予告編も公式のあらすじ紹介も実はその辺り考慮してるのが伺える作りになっていた事を観終えて感じました。

そんなわけで、以下の感想日記はなるべく作品観賞後にお読みになられることをオススメします。

出演はその他に、田村圭生、関暁夫、眞島秀和、野村恵里、平田薫、寺十吾、恩田括、キムラ緑子、なぎら健壱、松田龍平、大塚寧々

+++ちょいあらすじ
大学入学のため仙台に引っ越してきた椎名がボブ・ディランの「風に吹かれて」を口ずさみながら玄関前でダンボールを片づけていると隣人の隣人の河崎に声をかけられる。彼は同じアパートに住む孤独なブータン人留学生に広辞苑を贈るため、二人で本屋を襲おうと奇妙な計画を持ちかけてきた・・・
+++

何で予防線を張ったかというと、私は全然知らなかったんですが、コレってミステリー作品だったんですね。ミステリーといっても謎解き、推理小説って感じともちょっと違うんだけど、でもその独特な雰囲気が新鮮だったしとても見応えがありました。観賞後になってからいろんな事を知ったりしてるんですが監督は「ルート225」の中村義洋監督だったんですね。原作モノなのはなんとなく知ってましたけど、原作者が人気のミステリー作家・・伊坂幸太郎さんだそうでそれも全く知りませんでした。本を読むといっても私の場合、ラブストーリーや青春モノばかり好んで読んでるようじゃダメなんですね(焦)。予告編でもミステリアスな雰囲気あったかかな?今から思えばそれっぽいとこあったけど、あの予告編だけこの内容はちょっと見えてこないでしょ。

確か観終えて振り返ってみれば実に秀逸なミステリーだったなぁと感動ォ。巧妙な伏線、絶妙な辻褄合わせ、いろいろな要素が1本の線で繋がっていく様子にはドキドキ感いっぱいでグイグリ引き込まれちゃいました。前半は奇妙な雰囲気を匂わせつつもユーモアな青春ドラマって感じで展開していくんだけど、それがいつの間にか不穏な雰囲気に変わりだして気が付くと緊張感たっぷりのサスペンスな様相になっていくんです。ミステリーなんだけどミステリアスさを余り感じさせずに展開していくのは、たぶん物語の全てが日常的な風景の中に収まっているから、何となく不思議な印象を持ちつつも主人公・椎名くんと同じように受け止めちゃってるからなのでしょう。

そんなわけだから、椎名くんのちょっとした疑問から生じた行動が辿り着く真実には私自身にもあまりに思いもよらぬことで、もちろん話の流れでわかっていく部分もあるんだけど、表側の爽やかさとは全く相反する裏側に隠されていて悲しさや切なさのコントラストと一体感が絶妙ォなバランス感覚なんですよね。観客に謎解きさせる事を主体とせずに展開し、隠されていた真実をもう一つのドラマとして重層的に描いていくことで、ごく普通の若者たちの日常の風景の中にある深く色濃い人間ドラマが鮮明に浮かび上がってきます。キーアイテムでもあるボブデュランの「風に吹かれて」もとても味わい深い演出に貢献してました。本当は登場人物、出演者についてそれぞれ語りたいとこなんだけど、そこは物語の真相に深く関わってくるので泣く泣く自粛モード(残念)。とりあえず、濱田岳くん、瑛太くん、関めぐみちゃん、松田龍平くん、大塚寧々さん、みなさんいい味だしてました、それぞれ役にハマっててお見事なキャスティングでした、ハイ。

映画館を出て歩き出すと自然にボブデュランの「風に吹かれて」を口ずさんでいることでしょう。実際、私はそうでしたもん(笑)。今日の恵比寿ガーデンシネマは水割デーということもあって平日の日中だというのに何と満席。チネチッタでも急遽7月に上映が決定したみたいなので時間があればもう1回観てみたいカモ。青春とミステリーがお好きな方にはオススメっ。