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5eff95f2.jpgこのキャスティングならとりあえず観とけ、イヤ絶対観とけェ、かな?(笑)。浅野忠信と宮崎あおいちゃんの共演は以前に「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」という何だかサッパリわからないのがあって、あまりに落胆して感想書く気力を失いました(撃沈)。でも、その後どうにか書き上げましたけど。実はそれと同じ青山真治監督の作品なんだけど、「クロエ」や「EUREKA ユリイカ」など好印象なのもあったし、他の作品をそれ程観てるわけじゃないので特に不安は感じてません。それよりも!今回はさらににオダジョーが加わりまさに夢の共演なんですヨ。きっといろんな意味で映画らしい映画なんじゃないかとさほど根拠もなく期待してました。

出演者はその他に、石田えり、宮崎あおい、板谷由夏、中村嘉葎雄、光石研、斉藤陽一郎、辻香緒里、川津祐介、とよた真帆、嶋田久作、豊原功補、山口美也子、高良健吾

+++ちょいあらすじ
中国人密航者の手引きをする健次はふとしたきっかけから身寄りのない中国人密航者の子供アチュンの面倒を見ることになり、幼なじみの安男の妹ユリと共に3人での生活が始まった。しかし中国人マフィアに目をつけられてしまったことから居場所を替え、健次は運転代行業の仕事を始める。そんなある日、仕事を依頼してきた間宮運送の社長を自宅に送り届けるとそこで5歳のときに自分を捨てた母と偶然再会するのだった・・・
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WOWOWドラマ「Helpless」の続編にあたるそうで、それに「ユリイカ」も融合した北九州三部作の最終章的位置付けになる作品なんだそうです。「Helpless」は観たんだっけかな?記憶にないからたぶん観てない。やっぱり「Helpless」を観ておくか予備知識を仕入れておくほうが入り込めやすいし気分的にも盛り上がるとは思うけど、一応、この作品単体でもお話としては成立してるのでたぶん大丈夫カナ。ただ、冒頭にある過去にあった殺人事件(「Helpless」 でのヤクザの安男が殺人事件を起こした事と右腕を失っていることなどが簡単に説明されてました)の説明表示があっという間に消えちゃうので気合い入れて読んだほうがいいカモ。

見応えのある人間ドラマでした。ワタシ的には満足感はあるんだけど、それを感覚的に文章で表現するのにはかなり悩みます。何をどう伝えればいいのかというか、どういう言葉で表現すればいいのかがよくわからなくて、うーん、困った。予想通り映像的には固定カメラの長まわしや引きの画が多用されていて落ち着きがあってヨカッタです。そして出演者たちが放つ個性的な存在感は抜群でしたね。

冒頭、健次が中国人の密航手引きを手伝う場面から物語は始まります。唐突に始まり何の説明もない密航シーン。青山監督らしい抽象的な表現にもしかして、早くもコレが青山真治作品を受容出来るかどうかのターニングポイントかも?などと一抹の不安を感じちゃいましたけど、何とか無事に乗り切りました。この仕事で健次が中国人の少年アチュンと出会い彼を引き取り面倒を見始めたことが、その後の大きなドラマへとつながるきっかけだったのです。

物語は浅野忠信演じる主人公・健次を軸にしてはいるけど、本当に描こうとしているのは健次の周囲にいる女たちで、これは彼女たちの物語と言えるのかもしれません。健次が面倒を見ている安男の妹で知的障害を持つユリ。健次を小さい頃に捨てて家を出ていった母親・千代子。かつてバスジャック事件の被害にあった家出少女の梢。健次が運転代行の仕事で知り合ったホステスの冴子。健次にとってユリは守るべき存在。梢は似たような境遇を持つ共感出来る存在。冴子は唯一心を許せる愛し愛される存在。そして母の千代子は復讐したい存在。そんな彼女たちに傷つけられたり、慰められたり、突き動かされたりと、健次の人生は翻弄されながらも、その一方で未来へと導かれていきます。

ワケアリな人々が集まり安住の地とする間宮運送という小さな運送会社。そこではお互いになるべく干渉せずに一定の距離を保つことが暗黙のルールでした。でもそれは平穏に生き延びるための処世術みたいなもので、本心では皆どこか寂しくてきっと誰かとつながっていたいと思っていたに違いありません。

資格を剥奪された元お医者さんが言ってたのは「出会いたい人とは出会うべくして出会う」だったっけかな?確かそんな感じのセリフだったと思うんだけど、それとユリがケアを受けていて療養施設に掲げてあった「We are not alone」というメッセージがとても意味深に感じられるのでした。オダジョー演じる後藤が健次を連れて行った山でのエピソードも印象的でしたね。後藤が梢に深く関わらないように助言しながらも、結局自分も他人との関わりを欲していたんですよね。過去の辛い人生から逃げ出すこと、乗り越えること。この物語を観ていると男性のほうがとても感傷的で女性のほうが潔くしたたかな存在なのかなぁと思えてきちゃいますね。女性のほうがいわゆりリセットしちゃう感覚が強いものなのかもしれません。

こんな文章じゃ全然作品のことが伝わらないと思うけど、実際にはもっと感慨深いものがある作品でした。ボキャブラリー無くてスミマセン。