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2df36a2d.jpg以前ユーロスペースに来たときに予告編を観てコレ観たいからレイトじゃないといいなァと思っていた作品なんです。ユーロスペースはけっこうそういうのが多くて見逃してるからレイトじゃなくて良かったです。この映画、公開間近にして評価の高い映画評をちら見しちゃいました。観る気満々な私はネタバレするのがイヤだったから詳しくは読まなかったけど、鑑賞モチベーションはかなり上がってしまったのは間違いありません。

出演はその他に、豊川悦司、仲村トオル、篠田三郎

+++ちょいあらすじ
閑静な住宅街で起きた一家惨殺事件。犯人の坂口秋生は警察やマスコミを挑発し逮捕前に自らカメラに姿をさらした。坂口が報道陣のカメラに向かって微笑む姿をTVで見ていたOLの遠藤京子はその時、坂口と自分は同じ種類の人間であると確信し、事件や坂口自身について無我夢中で調べ始めるのだった・・・
+++

その映画評などで小池栄子さんの演技が絶賛されてたんだけど、ホントに凄かったですよ。彼女にあれほどの迫真の演技をする女優さんとは思ってなかったです。

殺人犯の坂口に共感し異常なまでに感情移入していく京子。病的にも感じられる京子の様子は演じる小池栄子さんによって次第にモンスター化していくように迫力を増していきます。もともと小池栄子さん自身に京子のような素質があったんじゃないかと思うくらいに感じられました。トヨエツと仲村トオルというベテラン俳優を相手に全く引けを取らないどころか堂々とした存在感で物語を魅了する牽引力にはグイグイと呑み込まれていきました。

物語は陰惨な一家殺人事件を発端にして始まっていくんだけどいわゆるサスペンスドラマとはちょっと違う感じなんですよ。まず殺人事件そのものは描かれてません。映像で見せるのは殺人犯である坂口が凶器を手に一軒家に侵入するところまでで、家の中で行われたであろう具体的な行為について観る者の想像させるのみ。それでも間違いなくそこで身の毛のよだつような陰惨な殺戮が行われたであろうことがストレートに想像出来てしまうもんだからスゴイっ。殺人犯の坂口をトヨエツが演じているというだけで犯罪の異常性が勝手に際立ってしまうというトヨエツの演じるキャラクターもまたスゴイんですよねぇ。

ドラマは序盤から異様なまでの緊張感を纏いながら展開されていくんだけど、この物語が描こうとしているのは殺人事件の真相などではなく、殺人犯の坂口と彼の国選弁護人である長谷川、そして坂口に共感し惹かれていくOLの京子という殺人事件をきっかけにして運命を交錯させることになった3人の男女の姿とその中で生まれたある数奇な愛の形なのです。

正直なところ京子の坂口への一途な思いや愛情の注ぎ方には共感どころか理解するのもなかなか難しいです。坂口の犯行の動機にしても劇中でそれとなく描かれてはいるけど、精神の深い闇の中を手探りで彷徨っているような感覚でしかなく確かに実感出来るというものがないんですよね。それでも、京子が孤独と絶望の中で生きてきたという告白から彼女が坂口に執着する理由が垣間見えてくると、この作品が間違いなくラブストーリーなんだという事は心に伝わってくるようになるんですよね。

複雑なまでに絡み合いながら揺れに揺れる彼らの心。彼らの思いはおそらく理屈などはるかに越えたところで共鳴しあっていたのでしょう。彼らの、特に京子の愛に説明を求めようとすること自体が無意味なことなのかもしれません。こちらから感情移入はしにくいのにスクリーンから突きつけられてくるのもは鋭くて重くて、なんとなくプレシャーを感じながら観ているようなそんな映画でした。


愛劇度★★★★