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ae8d83c3.jpg「アフターウェディング」を監督したデンマークの俊英、スサンネ・ビア監督作品です。といっても「アフターウェディング」は迷ったあげく、行きつけてない劇場での公開だったこともあって観てないんです。後々に評判が良かったのを知って後悔しました。という事で今度は後悔しないように優先順位をあげて観に行っちゃいました。

出演はその他に、ベニチオ・デル・トロ、デヴィッド・ドゥカヴニー、アリソン・ローマン、オマー・ベンソン・ミラー、ジョン・キャロル・リンチ、アレクシス・リュウェリン、マイカ・ベリー、ロビン・ワイガート、ポーラ・ニューサム、サラ・ドゥブロフスキー、モーリーン・トーマス、パトリシア・ハラス、V・J・フォスター、キャロライン・フィールド

+++ちょいあらすじ
オードリーは夫のブライアンと二人の子供たちと共に幸せな日々を送っていたが、ある日のこと、夫が些細な事件に巻き込まれて帰らぬ人となってしまった。そして葬儀の日、夫の幼馴染みで親友であるジェリーの事を思い出したオードリーは弟に彼に連絡して連れてくるように頼んだ。ジェリーはかつて弁護士だったが薬物中毒となり堕落した生活を送っていた・・・
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物語全体が重苦しい雰囲気に支配されていく中で、観客の心は無意識のうちにこの物語が主人公たちに僅かでも希望の光を与えてくれる事を願う事でしょう。そしてスクリーンからその光がこぼれてきた瞬間、物語は見事に昇華して私の頬を涙が伝っていたのでした。

最愛の夫ブライアンを失った喪失感から立ち直れない妻オードリーとヘロイン中毒を断ち切れない男ジェリーの再生の物語。ブライアンは親友で弁護士だったジェリーがヘロインに溺れ堕落していっても、疎遠になることなくむしろ逆に彼を気遣い支えていました。その夫が亡くなった後、妻のオードリーは夫からその役目を引き継ぐことで自分の心の中に生じた虚無感を埋めようとしていたのかもしれないし、戸惑いながらその申し出を受けたジェリーもそんな彼女の気持ちを察して支えてあげたいと思ったのかもしれません。

この物語で傷ついてるのは決して二人だけじゃないんですよね。大好きなパパを失った二人の子供はもちろん、オードリーの弟も優しい隣家のオジサンも、ジェリーと同じ麻薬中毒患者の集いに参加していたケリーも皆何かしら傷ついた部分を持っていて、だからこそ人の痛みをわかってあげられて優しくなれるのかもしれません。その優しさの源にあるのはたぶん共感することで、共感するためには、自分の思いを素直に伝える勇気と、相手の気持ちにちょっとだけ踏み込んでみる双方の勇気と歩み出そうとする一歩が大事なのかもしれません。

「善は受け入れろ」

この物語の重要な台詞は私自身がとても共感し感銘を受ける言葉でした。誰もが誰かに助けられ支えられて生きているんです。誰も一人では生きていけないし助けを求めず生き抜くことが即ち偉いわけでもありません。余力がある人が困ってる人に救いの手を差し延べるのは、たぶん人間が人間であるがゆえの営みで、幸せの分配、おすそわけなんじゃないかと思います。困ってる人が親しい友だったり大好きな人だったら何かしてあげたいと思う感情はごく自然な事であって人間界の摂理なんじゃないかと思います。

登場人物は少ないけれど主人公である二人を中心にそれぞれの心の機微が繊細に捉えられ、儚くも美しい人間愛を刻々と描いていくとても見応えのある作品でした。あまりよくは知らないんだけどジェリーを演じたベニチオ・デル・トロさんの怪演は素晴らしかったデス。

ラストでジェリーがハーパーに送った手紙はどんな事が書いてあったんでしょうね?とっても気になって仕方ありません。


感動度★★★★