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4b66db66.jpg「プライドと偏見」のジョー・ライト監督が再びキーラをヒロインに起用しイギリスのイアン・マキューアンのベストセラー小説「贖罪」を映画化した作品です。「シルク」はハズレな予感があってスルーしちゃったから私にとっては久しぶりのキーラ・ナイトレイ作品です。

出演はその他に、ジェームズ・マカヴォイ、シアーシャ・ローナン、ロモーラ・ガライ、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、ブレンダ・ブレシン、パトリック・ケネディ、ベネディクト・カンバーバッチ、ジュノー・テンプル、ピーター・ワイト、ハリエット・ウォルター、ミシェル・ダンカン、ジーナ・マッキー、ダニエル・メイズ、ノンソー・アノジー、アンソニー・ミンゲラ

+++ちょいあらすじ
1930年代、第二次世界大戦を目前にしたイギリス。政府高官の娘で小説好きの13歳の少女ブライオニーは兄妹のように育てられた幼馴染みでもある使用人の息子ロビーに想いを寄せていた。しかし姉のセシーリアとロビーの関係に普通じゃない何かを感じ始めたのを機にブライオニーの心は激しく揺れ始め、そしてある事件をきっかけにロビーを貶める大きな嘘を彼女はついてしまうのだった・・・
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キーラ・ナイトレイが久々ならこういう文学的な作品も久々な感じで物語の世界に浸りっぱなしの123分を過ごす事ができました。冒頭から響き渡るタイプライターの音は早々に何かが起こりそうな不穏な空気をいきなり漂わせます。けっこうお気楽モードだった私もすぐにスイッチを切り替え身構えちゃいました。

物語の舞台は第二次大戦が目前に迫るイギリス。政府高官の次女で文学好きの少女ブライオニーが繊細なほど多感で無垢ゆえについてしまったある嘘を引き金にして、姉のセシーリア、想いを寄せていた使用人の息子ロビー、そしてブライオニー自身をも運命の濁流に翻弄されていく姿をさらに戦争という過酷な社会を背景にしながら綴っていきます。

ブライオニーが少女らしい純粋な淡い恋心を寄せていた年上の青年ロビーが姉セシーリアに好意を持っていることを知った時、少女の恋心は瞬く間に嫉妬心へと変わり、そして二人のある光景を見てしまったことから憎しみの炎を燃え上がらせてしまいます。それはとても多感でナイーブな少女らしい心の揺れであり、ある事件を機に彼女がついた嘘も彼女にとっては些細な事だったかもしれません。しかし、この時代では身分の低かったロビーにとってはそれは些細な嘘では済むはずがなく彼の人生そのものを大きく揺るがすということまでには少女の思いは至らなかったのでしょう。そして5年後、ヨーロッパ全土を揺るがす大きな戦争が多くの人々の人生を呑み込んでいく中で良心の呵責に苛まれるブライオニーはあの日の嘘を後悔し続けるのですが、過酷な戦争は彼女から罪を償う機会すらも奪い続けいっそうブライオニーを苦しめ続けるのです。

物語はブライオニーの少女時代に起きたある事件を機にして大きく展開し戦争を背景にしながら混迷を深めていきます。第二部とも言える5年後の物語では、まずフランス北部へと派兵されたロビーを中心に描かれていきます。序盤からサスペンスタッチなやや重い雰囲気ではあったけど、戦争という舞台によってまたガラリと変わったように感じられるくらいに重苦しさ増していきました。無実の罪を着せられ、愛を引き裂かれ、将来への希望を絶たれ、過酷な戦場で命懸けで生き続けようとするロビー。少女時代についたたった1つの嘘がロビーをこれほど苦しめることになろうとは、あの時のブライオニーには想像すら出来なかったことでしょう。ナースとして働き始めたブライオニーは運ばれてくる傷兵の姿にロビーを重ね合わせていくことで、自分の犯した罪の重さを痛感し、償いの気持ちをさらに強くしていきます。

この物語の結末はワタシ的にはかなり意外なものでした。そうか、こういう結末もアリなんだァという感じです。ただ、全体的に文学的な空気感にずっと包まれていたこともあって、突然、最後にきて現実的な世界に引き戻されてしまったかのような感覚が、エンドロールで何とも言えない微妙な余韻になってしまったような気もします。どことなく楽屋オチにも思えるようなこの結末はワタシ的には好みではありませんでした。でも映画そのものは観てヨカッタなぁと思える作品でした。


文学度★★★☆