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b4c01769.jpgスウェーデンの巨匠ロイ・アンダーソン監督の作品。と、言われても「それって誰?」状態なんですが、予告編を観てビビッときたのとスウェーデン映画というところにちょっと惹かれたのでした。別にスウェーデン映画に詳しいわけでもいっぱい観ているわけでもないんだけど、私の大好きな映画で「Fimpen」というスウェーデンの作品があるです。「ロッタちゃん はじめてのおつかい」「長くつ下のピッピ」のワルデマル・ベルゲンダール制作で6歳のサッカー少年がスウェーデン代表としてW杯に出場するというお話で当時の代表選手や監督らも登場する、サッカー映画では私のイチオシで、スウェーデン映画と言われるとこの作品をすぐに思い出しちゃうのでした。

出演はその他に、エリック・ベックマン、エリザベート・ヘランダー、ビヨルン・エングルンド

+++ちょいあらすじ
北欧のとある町とそこに住む様々な人たち。ロックスターとの結婚を夢見る少女、世界で一番ついてない夫婦、泣き叫び歌いだす女、電気椅子の夢に怯える男、困窮した家計を静かに嘆く精神科医。そんな彼らが集うバーでは1日の終わりにバーテンダーが鐘を鳴らしてこう言います。「ラストオーダー、また明日があるよ!」・・・
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これといったストーリーも主人公も存在せず、ただ北欧のとある街で暮らす普通の人々の日常ね風景を切り取って繋ぎ合わせただけのような作品なんだけど、何故か飽きることなく観入ってしまいました。登場人物がいっぱいの群像劇で次から次へと脈絡もなくエピソードが数珠繋ぎに描かれていくのだけど、どれもこれも特にオチがないのに不思議と面白いんですよね。私にはたいした知識もないし見たまんまの感覚的なことしか言えないんだけど評論家系な方々には腕の見せ所となる作品かもしれませんね。

私がこの魅力はいったい何だろうと考えた時に真っ先に思いたるのは、どこかちょっとイタイ、だけど愛おしくも思える市井の登場人物たちの魅力なんじゃないかなと思います。子供たちが待っている教室に女性教師が入って来たかと思ったらすぐに廊下に飛び出し泣き崩れます。子供たちが「どうしたの?」と声を掛けると先生は「朝、夫にクソばばあと言われたの」と泣くのです。文章にすると何てことなく思えるだろうけど、スクリーンの中ではこれが何故か面白くてツボにハマるんですよね。そんなクスっと笑ってしまう瞬間が随所に散りばめられているんです。他にも面白いエピソードはいろいろあるんだけど、それらはどちらかの映画紹介記事をぜひ参考にしてみてください。私が読んだのでは松尾貴史さんのコラムが面白かったですよ。

映画のもう一つの魅力は全編に渡っての固定カメラによるロングショットでしょう。個人的にこれが大好きというのもあるけど、どれも構図が見事にバッチリ決まっているからこれも観ていて飽きない理由かもしれません。美術館で鑑賞している絵画がフレームの中で動きすかのようなそんな独特の雰囲気を醸し出します。この統一された構図がバラバラで曖昧なエピソードの集まりに一体感を与えて、さらに落ち着きのある構図によってフレームの中に登場するキャラクターと彼らの行動がとても際立ったように思ったんだけど、その効果が一番印象的だなぁと思えたのはやっぱりカフェのスリ。きっとほとんどの人はオジサンが電話で喋ってる事なんてほとんど頭に入ってなくてその後ろのスリの挙動に大集中してたことでしょう(笑)。

それぞれのエピソードはまるで1枚1枚の切れ端のようなそれだけでは何の役にも立たなさそうものなんだけど、それぞれに不思議な魅力があって、それらが繋ぎ合わさっていった作品はまるでパッチワークのような鮮やかな輝きを放つのでした。


庶民度★★★★