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f36f6492.jpgこれもヒトラーの実話を描いた作品なのかと思ってたら、全くのフィクションなのだそうです。でもヒトラーに演説指導を行った人物は実在するそうで、それをモチーフにユダヤ人監督ダニー・レヴィが第二次世界大戦末期、敗戦直前のヒトラーとナチスの姿を皮肉を交えて描くヒューマンドラマです。

出演はその他に、ヘルゲ・シュナイダー、シルヴェスター・グロート、アドリアーナ・アルタラス、シュテファン・クルト、ウルリッヒ・ノエテン、ウド・クロシュヴァルト

+++ちょいあらすじ
1944年の12月。戦況は連合軍の進攻によって劣勢に陥ってるナチスドイツは宣伝大臣ゲッペルスの発案により新年のヒトラー総統の演説を成功させることで国民の戦意を高揚させようと、演劇俳優だったユダヤ人教授アドルフ・グリュンバウムを収容所から呼び寄せ総統に演説スピーチの指導をするように命じた・・・
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「私が見たのは、狂気の独裁者ではない、ひとりの孤独な人間だった」

という宣伝コピーを読むと重厚でシリアス映画を想像しちゃいますよね。確かに間違ってはいないんです。真偽はともかく今までに観たことないようなヒトラーの人間くさい一面に焦点が当てられています。

でもコレ、人情劇ですよね。しかもシニカルな喜劇。まさかこんなに笑える映画とは予想してませんでした。序盤から、何度も「ハイル」の敬礼を繰り返したり、肩書や役職のの呼称が細か過ぎたり、命令書類がないだけで潤滑に動けなかったりと、国家主義のナチス独裁体制を嘲笑するような場面が続きます。当時の社会体制に洗脳されてる軍人たちはそれが当たり前で実直に規律に従い行動するから余計に滑稽なんですよね。内容をよく知らずに観に来てそうなご年配の方々は笑っていいのか戸惑ってたみたいで、時間が経つにつれ笑い声が多くなっていったような感じでしたね。

戦況が思わしくないナチスドイツの幹部は国威発揚のためにヒトラー総統の演説を行おうと考え、その指導役を演劇俳優だったユダヤ人教授のアドルフ・グリュンバウムにやらせます。ところが鬱で心を病んでいたヒトラーはグリュンバウムとの交流によって癒され彼の前では自分の辛い生い立ちなどを語り始め人間らしい一面を見せるのでした。

こんな感じの始まりで物語はアドルフ・グリュンバウムを主人公に彼の視点でヒトラーとナチスの姿を描いていきます。グリュンバウムにとってはナチスの総統ヒトラーを暗殺する絶好の機会が訪れたわけです。大量虐殺される同胞ユダヤ人たちのことを思えばそれは神が与えた彼の使命だといえるでしょう。しかしヒトラーの本当の姿を知ったことで彼の心は迷い揺れ続けるのです。これはフィクションだとわかって観ているつもりなんだけど、私のイメージするヒトラーとはかなり違うヒトラーの姿に引き込まれてしまいました。冒頭のテロップでで「これは真実過ぎて本には載せられなかった」なんて粋な演出もあって、最後まで観ていると意外とこの物語はホントのことかもしれないと真実味を感じてしまうような楽しい作品でした。


人間度★★★☆