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沈まぬ太陽公開直前まで途中休憩の入る202分もの作品だったとは全く知りませんでした。私が劇場鑑賞した邦画での最長は今年観た園子温監督の『愛のむきだし』の237分ではありますけどあれはちょっと特殊な作品でもあるし、これは作品規模でいえば邦画では異例の超大作スケールですよね。期待も大きいんですけど同時に不安も抱きつつ観にいってきちゃいました。

出演はその他に、鈴木京香、石坂浩二、香川照之、木村多江、清水美沙、鶴田真由、柏原崇、戸田恵梨香、大杉漣、西村雅彦、柴俊夫、風間トオル、山田辰夫、菅田俊、神山繁、草笛光子、小野武彦、矢島健一、品川徹、田中健、松下奈緒、宇津井健、小林稔侍、加藤剛

+++ちょいあらすじ
昭和30年代の日本。国民航空の労働組合委員長・恩地元は労働環境改善のための交渉活動の先頭に立ち、その結果10年にもおよぶ僻地での海外勤務を命じられてしまう。その一方、共に闘った同期の行天四郎は労組活動から抜け出し出世コースを着々と歩んでいた。そして恩地はようやく本社復帰を果たすのだがジャンボ機が墜落事故を起こしてしまう・・・
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これだけの長尺で中だるみもしないし集中力も切れさせないのですから、堂々たる大作と言ってもいいのではないでしょうか。これはフィクションだというのは頭ではわかっていても、あの日航機墜落事故での実際のエピソードと類似したものがこれだけ盛り込まれ、さらにそうそうたる名優たちに素晴らしい迫真の演技を見せつけられてしまうと、さもこれが全て実話かのような錯覚に陥ってしまったり真に受けて感化されてしまっても仕方ないかもしれませんね。とりあえずマズイCGとか多少の粗には目をつむるとして、重厚な人間ドラマに魅せられっぱなしの作品でした。

時系列に沿って描かれていくのかと思ったら序盤から墜落事故の話でこれにはいきなりガツンとやられました。羽田空港のシーンから「彼らの乗る飛行機って・・・」と思い始めたらとても辛かったです。実際の事故にかなり衝撃を受けて飛行機嫌いになった私は当時の記憶も鮮明に蘇ってしまってとても心が痛むのでした。

物語はこの墜落事故を時間軸にしながら、その一方で1960年代へと遡り、主人公の恩地が労組代表として会社と戦い、その後何度も異国の僻地に左遷され苦難の人生を歩んみながら今日に至る姿をドラマチックに描いていきます。

山崎豊子さんの作品らしい社会派のドラマですね(といっても原作小説は読んだことがなくドラマ化されたの観てるだけなんですけど)。政府も官僚も親方日の丸の企業もまさに文字通りの伏魔殿。そんな大企業の暗部に切り込んでいくと共にそこに蠢く人間たちの姿を大胆かつ繊細に浮き彫りにしていきます。こういうお話ではヒール役の存在こそがとても重要だと思うんだけど、ライバルの行天を演じた三浦友一さんの演技がとても良かったですね。ストーリー的には深く描かれてはいるわけではないのですが、恩地とは対象的にあらうる手段を用いて裏で暗躍しながら出世街道を成り上がっていく姿や存在感はとても印象的でした。

労使交渉に尽力した結果、会社から睨まれ報復人事で異国の僻地に飛ばされ続け家族まで犠牲にしながらもそれでも逃げることなく会社のために働き続ける恩地。恩地も行天もどちらも会社のために必死だったのは同じでも考え方や方向性は全く違う相容れないものなんですよね。何となく日本の中枢というのは行天のような人間たちに上手く牛耳られてきたようなイメージがあったりするんですけど、あんな欺瞞に満ちた組織は必ず綻びが生じて崩壊していくのもこの世の常なのかもしれません。


社会度★★★★