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第9地区劇場予告編の映像からは全くそんな風には思いませんでしたけど、これってローバジェットの作品なんだそうですね。といってもいったいいくらからがハイバジェットになるのかよくわからないんですけど、先日のアカデミー賞でもノミネートされてたこともあって期待の話題作と言えるでしょう。エンターテイメントなSF映画でありながら現実社会における人種問題などを内包する社会的メッセージもこめられた作品だそうです。制作はピーター・ジャクソン。監督は南アフリカ出身の新人監督ニール・ブロンカンプです。

出演はその他に、ジェイソン・コープ、ヴァネッサ・ハイウッド、ナタリー・ボルト、シルヴァン・ストライク、ジョン・サムナー、ウィリアム・アレン・ヤング、グレッグ・メルヴィル=スミス、ニック・ブレイク、ケネス・ンコースィ
監督:ニール・ブロンカンプ

+++ちょいあらすじ
ある日、突如として南アフリカ・ヨハネスブルグ上空に突如現れた巨大な宇宙船。その船内ではたくさんのエイリアンが体調に異変を起こし苦しんでいた。南アフリカ政府は彼らを難民として受け入れ第9地区に住わせたがそれから20年の月日が経ち第9地区はスラム化。国民の不満も高まったことから超国家機関MNUはエイリアンの強制移住を決行する・・・
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もしかしてモンスターエンジンさんのネタのパクリだったりして?(笑) もちろんそんなことはないでしょうけど、評判通りの面白さでしたね。アイデアの勝利とも言えそうな作品ですね。

物語の出発点、着想そのものはとてもシンプルなんですよね。地球に突如現れた巨大宇宙船とエイリアンたち。彼ら難民として20年もの間、南アフリカに居住し続け現在に至り治安の悪化から国民たちも苛立ちと不満を募らせ政府は対策としてエイリアンを第9地区から第10地区へと移動させる事にし、その任務をMNU局エイリアン課のヴィカスに担当を指示します。

エイリアンといえども人権問題もあり立ち退きには同意書へのサインが必要という事で一軒ずつ訪ねて彼らのサインをもらうのですが、実際にはかなりいい加減なやり方でほぼ強制的に形式が整っていればいいといういわゆるお役所仕事をしていくのです。

そんな感じで前半はまるでSFパロディをドキュメンタリーのように描いていくのですが、任務中にヴィカスが謎の液体を浴び病院に担ぎ込まれてからその後事態は一変します。物語はヴィカスの逃走劇へと転換し手に汗握るサスペンスフルなドラマへと突入していくのです。そこから展開はほとんど予測不可能、とにもかくにも物語は面白いようにかつ激しく転がりだし目が一時も離せなくなるのです。主人公といえるヴィカスにとってはこれは悲劇以外のなにものでもないんでしょうけど、どこか因果応報のようにも感じられてしまうのが何とも皮肉めいて感じられるんですよね。

スラム化した第9地区で暮らす難民のエイリアンたちは白人たちに迫害され黒人たちから搾取される最下層のマイノリティとして存在してます。おそらくそれはいろいろなメタファーに置き換えられるんじゃないかと思うのですが、人間たちよりも高度な文明と技術を有し高い能力を誇るエイリアンたちが醜い生物として社会から虐げられているという状況も舞台となった南アフリカの歴史と無関係ではないのでしょう。

SF作品はその世界観を構築するための土台のロジックってけっこう大事だと思うんですけど、この作品はそこんとこばっさり省きながらもしっかりと世界観を見せつけてくれちゃうとこがスゴイんですよね。物語の冒頭では既にエイリアンたちが地球上に来ていてそこから20年過ぎて彼らは難民として定住している。何て大胆な設定なのでしょう(笑)。彼らがどこから何のためにやってきたかなんて事には全く触れないんですけど、エイリアンが存在しているという事実だけは強烈に印象づけられてしまいます。さらにアメリカのTV番組などがよく用いる関係者の証言を挟んで事件を振り返るようなドキュメンタリー手法によってリアリティさもグーンと高まってくるんですよね。

この手のSF作品は未来もしくは近未来というのが定番ですけど、この作品は少し過去から現在進行形のとても身近に感じられるのがこの映画の魅力なのかもしれません。ifの世界を描いた物語としては本当にこういう事が起こりえるのかもしれないと思わせてくれるところにとてもドキドキさせられて楽しめました。

この映画、一応PG-12指定になってますけど人間がバラバラに吹っ飛ばされたりとけっこう残虐なシーン多かったですよね。そういえば予告編に使われていたエイリアンの取り調べのシーンって本編にもありました?


娯楽度★★★★