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借りぐらしのアリエッティスタジオジブリの待望の最新作です。メアリー・ノートンの児童文学「床下の小人たち」を原案にした物語の舞台を1950年代の英国から日本へとアレンジして描いたファンタジー・ムービーです。監督はこれが劇場長編デビュー作となる米林宏昌さん。スタジオジブリの次世代を担う希望の星となれるのか?当然ながら期待の作品です。

出演はその他に、大竹しのぶ、竹下景子、藤原竜也、三浦友和、樹木希林
監督:米林宏昌

+++ちょいあらすじ
とある郊外の古い屋敷に翔という少年が祖母の運転する車でやってきた。この屋敷は母の実家で病気療養中の彼は母の海外出張中の1週間だけここで生活するのだった。そしてその屋敷には翔と祖母の他にもう一つの家族が暮らしていた。その家族は床下で自分たちの暮らしに必要なモノを必要なだけ人間の世界から借りて生活する借りぐらしの小人たちだった・・・
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とても素敵なファンタジー映画でした。それもたんなるお伽話ではなくて人間たちと主人公である小人たちとの密接な関わり合いを物語の軸とすることで不思議な現実味を与えてくれるのです。最初から最後まですっかり引き込まれちゃいました。小人のお話といえばTVアニメ『冒険コロボックル』とその原案小説の佐藤さとるさんの『だれも知らない小さな国』という作品が大好きなんですが、この『借りぐらしのアリエッティ』もめちゃめちゃツボにハマりました。私の家にも食器だなのコップの影にアリエッティが居そういそうな、という居てほしい、そんな気分にさせられちゃう素敵なお話でした。

人間たちの暮らす家の床下で人間たちの使う道具を借りながら暮らし続けてきた小人たち。今ではその小人たちの数もすっかり少なくなってしまいましたが、14歳になったアリエッティと彼女の両親は元気に楽しく暮らしていました。ところがアリエッティたちが暮らす人間の家に一人の少年がやってきてアリエッティが彼に決して見られてはいけない姿を見られてしまった事から彼女たちの生活が変わり始めてしまうのでした。

冷静に考えれば翔がやって来なければアリエッティたちの生活も平和なままだったわけですけど、それを言ってしまうとこのお話は成立しないので思考から削除しちゃいましょう。この物語は言わば人間と自然界との共生を小人の存在をメタファーに描いているんですよね。アリエッティたちは人間たちの暮らす場所でその軒先を借りてさらに生活道具や電気なども拝借して文明的な生活を営んでいるのです。これは古くからドールハウスがポピュラーな英国ならではの着想なのかもしれませんね。しかしその一方、人間たちの生活の変化に伴って小人たちは居場所を失いつつあったのでしょう。

人間と小人たちが一緒に仲良く暮らせればとても楽しそうに思うのだけど、あくまでもそこに一線を引く事がこの物語における不文律であり自然の摂理なのかもしれません。滅びゆく運命。たしかにアリエッティたちの未来は楽観出来るものではないでしょう。しかし翔にそう言われたアリエッティは私たちは絶対に生き抜くんだと強く反論し心臓病を患い生きることに悲観的だった翔はその言葉に勇気付けられるのです。

しだいに心を通わせあっていく翔とアリエッティ。しかし、女中のハルさんのとんでもない行動からアリエッティたち家族は窮地に立たされてしまい翔はアリエッティたちを守ろうと懸命に行動するのです。ハルの声を担当したのは樹木希林さんなんですけどキャラとの一体化がスゴイのなんの。アリエッティたちの生活を脅かすハルには本気で敵意を抱きながら観ちゃいましたもんね(笑)。

何か物凄く大きな仕掛けが施されているわけじゃありませんが、お家の床下に小人たちが住んでいるというだけで十分ファンタジックな世界が広がっていくなんですよね。マチ針のサイズから推測するとアリエッティの身長は15センチくらいかな?安全ピンやクリップに釣り針かな?人間界の様々なアイテムを工夫している彼女たちの借りぐらしは観ているだけでも何だか楽しくなってきますね。

ジブリ作品としては比較的ミディアムテンポで進むストーリーでしたね。そういえばジブリにしては珍しく主人公が空を飛ばなかったし。派手なドラマやスピード感溢れるような展開こそありませんけど、そのぶん色彩豊かな美しい自然に囲まれた情緒ある屋敷を舞台に繰り広げられこの小人たちの世界の神秘的な物語にじっくりと浸ることが出来たんだと思います。


寓話度★★★★★


<2010.11.26 追記>
『借りぐらしのアリエッティ (再)』2010.7.26再鑑賞