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ちょんまげぷりんジェイ・ストームの製作の作品としてはこれまでの中で一番期待度の高い作品です。少なくとも予告編は好印象でした。ベスト作品は岡田准一くん主演の『おと・な・り』でそれ以外はどうもイマイチな印象があるんですけど、今作は何と言っても『ゴールデンスランバー』の中村義洋監督がメガホンを取ってるだけに期待出来ますよね?錦戸くんの出演ドラマもけっこう観ているほうなので相性も悪くないはずでかなり楽しみにしてました。

出演はその他に、今野浩喜、佐藤仁美、鈴木福、忽那汐里、堀部圭亮、中村有志、井上順
監督:中村義洋

+++ちょいあらすじ
シングルマザーの遊佐ひろ子は息子の友也と二人暮らし。友也の迎えのために残業が出来ないひろ子は忙しい日々を過ごしていた。そんなある日、二人は自宅マンションの前で侍の恰好をした不審な男と出会う。その男の振る舞いや言動がとても不思議だったひろ子は不安ながらも彼を自宅に招いて話を聞くと、その男は木島安兵衛という直参だと名乗るのだった・・・
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幸せな笑いと涙に包まれっぱなしの素敵な映画でした。かなり期待して観に行ったんですけど、そのかなりの期待を見事に越えてくれて気分もホッカホカ。さすがは中村義洋監督ですね。アイドル映画とかジャニーズ映画といった香りはまったくしてきません。これはまさしく中村義洋監督の映画なのです。江戸時代からお侍さんがタイムスリップしてくるという現実にはありえないお話なのに冒頭から何の違和感もなくすぅっと自然に入り込んでいけちゃうのだからスゴイですよ。これって簡単そうで難しい演出だと思うんですよね。

二年前に夫と離婚した遊佐ひろ子は幼い息子の友也と二人で暮らすシングルマザー。ある日二人の前にお侍の恰好をした木島安兵衛と名乗る若者が現れます。その不自然な姿から撮影か何かかと思っていたものの彼の話しぶりからどうやら江戸時代からタイムスリップしてきた本物のお侍さんらしいことがわかり行き掛かり上ひろ子の家で暫く世話をすることに。

文政時代の江戸からやってきただけあって木島安兵衛の考え方はとても保守的。「男は外向きの仕事、女は奥向きの仕事」。それがあたり前だと思っていた安兵衛にとってひろ子の生き方は衝撃的だったことでしょう。しかしこの平成の時代にタイムスリップしてしまった彼は生きていくために自ら奥向きの仕事、つまり家事を自分が担うことでひろ子と友也を支えていこうとするのですが、それが安兵衛がお菓子作りに目覚めていくきっかけとなり同時にひろ子と友也と安兵衛は親子のような絆を築き始めていきます。しかし安兵衛がケーキ作りのコンテストに出場し有名パティシエにその才能を買われたことから幸せだった3人の生活に狂いが生じてしまいます。

最初に宣伝写真などで錦戸くんの髷姿を見たときは彼には絶対似合わないでしょうと思ったんですけど、本編での木島安兵衛役に成りきって振る舞いや所作やセリフまわしは堂々としたものでホントに過去から来たお侍さんというリアリティが感じられるものでした。この物語のキモは江戸時代から来たお侍さんの現代における感覚のズレ方の珍妙さとそのお侍さんがお菓子作りに非凡な才能を開花させていくギャップだと思うのですが、それも錦戸くんの演じる木島安兵衛の完成度が高いほど絶妙な味わいをもたらしていくんですよね。

そのズレやギャップはもちろんひろ子と友也との関係性においても絶妙な空気感を生み出していくわけですが、ここで面白いのはズレやギャップからさらに踏み込んでいって古き良き時代の文化や礼節の再認識へと繋がっていったり木島安兵衛の視点によって働く女性、シングルマザー、母子家庭が抱える悩みや問題など現代社会の側面が浮き彫りになっていくところなのです。

安兵衛の体験するカルチャーギャップがとてもユーモアいっぱいに描かれていく一方で現代社会を真摯に見つめる視線が現代人の忘れかけている大切なことを訴えかけてきます。ここから結末のネタバレになってしまいますけど、実は安兵衛自身も江戸時代の格差社会の中で仕事に就けず苦悩していた若者だったというオチはとても心にグっときました。安兵衛がお菓子作りに心酔し生き甲斐を見いだしていった真の理由がそういう事だったとは思いもしませんでした。

人生もお菓子も甘いだけが全てじゃありません。苦みが甘さを引き立てるように人生も時には悲しみや辛さを味わう必要があるのでしょう。そしてそんな時、大切な人がそばにいてくれればどんなに心強いことでしょう。義理人情に厚く純粋な心がひろ子と友也の心に届きお互いがお互いを必要な存在だと確信したとき、あの3人は本当の家族以上に強い絆で結ばれていたのだと思います。

映画初出演で初主演の錦戸くんは最初にして誇れる代表作を手にすることが出来たんじゃないでしょうか。良い作品に巡り逢えて本当に良かったと思います。何でも役作りのためにはお侍さんの所作とケーキ作りをみっちり勉強したそうですけど、その努力が報われ映画の成功にも大きく貢献したと言えるでしょうね。そして映画プロモーションでも大活躍だった友也くん役の鈴木福くんが子供ながらも好演でしたね、笑いのツボも泣きのツボもその多くは鈴木福くんだったような気がします。

江戸阜凛ってどんな味なんでしょうね?豆乳のプリンって言ってましたけど私も時翔庵で食べてみたいな。でもそれはかなわぬ夢だから映画をもう一度観に行こうかな?


家族度★★★★★


<2010.11.26 追記>
『ちょんまげぷりん (再)』2010.8.19再鑑賞