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瞳の奥の秘密本国アルゼンチンでは大ヒットを記録し第82回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した作品です。70年代の軍事政権下のアルゼンチン社会を背景に過去の記憶に支配され苦悩する男の姿を描くサスペンス・ドラマ。

出演はその他に、パブロ・ラゴ、ハビエル・ゴディーノ、カルラ・ケベド、ギレルモ・フランセーヤ
監督:フアン・ホセ・カンパネラ

+++ちょいあらすじ
刑事裁判所で働いていたベンハミン定年を迎え退職し25年前に起きたある事件に基づいた小説を執筆にとりかかっていた。それは1974年に起きた結婚したばかりの若い妻が何者かに殺されるという凄惨な殺人事件で間もなく逮捕された二人は犯人ではないと見抜いたベンハミンが自ら捜査に乗り出した彼にとって忘れ難い出来事だった・・・
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渋い作品でしたねェ。円熟した職人技ならではの味わいとでも言いますか、いわゆる大人の映画ですね。

物語の舞台は現代のアルゼンチン。長年勤めていた刑事裁判所を定年退職した主人公ベンハミンは25年前に自身が担当した殺人事件に基づいて小説に執筆していました。それはチビルコイで起きたモラレスの妻リリアナが暴行され殺害されるという残虐な殺人事件。犯人だという二人の容疑者がすぐに逮捕されますがベンハミンは不審に思い自白を強要した冤罪だと見抜き助手のパブロと共に真犯人と思われるゴメスの行方を追います。

行方をくらましているゴメスになかなかたどり着けないベンハミンとパブロ。しかもパブロは妻に愛想をつかされているほどのアルコール依存症で何かとベンハミンは振り回されるのですが、そんなパブロの意外な閃きによってベンハミンはついにゴメスの姿を捕らえるのです。しかし、ゴメスを確保したものの決定的な証拠はありません。逮捕するにはゴメスに自白させるしかないのですが狡猾なゴメスはなかなか口を割りません。ところが尋問直前でのベンハミンと女性上司イレーネの間で起きたちょっとした出来事がゴメスがほころびを見せることになり逮捕にこぎつけるのです。

正直、退屈に感じるところもけっこうあるんです。でもそれは面白くなかったというわけじゃなくて現在と過去を行ったり来たりする独特なテンポとなかなか進展しないストーリー展開に集中力が続かなくなっていくんですよね。その流れが変わるのはやはりフットボールスタジアムでのシーンからでしょう。何だか観たこともないような荒々しいカメラワークと長まわしでゴメスを追うシーンは臨場感たっぷりでここから物語も加速的に転がり始めていきます

ゴメスを確保しこれで殺人事件は万事解決。と誰もが思ったはずなのですが、しかしその後何故か終身刑だったはずのゴメスがある政治家の護衛をしている姿がTVに映し出され、それを見たモラレス、ベンハミンは驚きます。ゴメスは反社会組織に関する有力な情報を持っていたことから釈放され政治的に利用されていたのです。

一時はこれでオスカー受賞作品なの?と思ったりもしたんですけど、それでも頑張って観続けていた甲斐もあってか終盤でのサスペンスフルな展開には引き込まれちゃいました。ドラマとしては派手さこそありませんが次第に張りつめていくその緊張感に思わず身体にも力が入ってしまいます。

ベンハミンが小説を読んでもらうために訪れたモラレスの家でジワジワと不穏な空気に包まれていったかと思えば、予想もしない衝撃の事実を目の当たりにしてそこで一気に鳥肌がゾワゾワァっとくるんですよね。まさかとは思いましたけどそういう事実が隠されていたなんて。これこそタイトルにもなっているこの映画の秘密なのでしょう。

実はこの物語には25年前の殺人事件の真相と絡めつつベンハミンとイレーネの恋愛エピソードも描かれていくのですが、観ている最中はこの恋愛要素は必要なのかな?と疑問に感じていました。冒頭にあった駅での愛するイレーネとの別れのシーンなんてベンハミンの妄想かと思うくらいベタだったし(笑)。でもね、「A」の壊れたタイプライターを伏線にしたラストのあの結末が良かったので恋愛要素もアリに心変わりしちゃった。

で、自宅に帰って真っ先に(しかも久々に)スペイン語の辞書を手にとって調べてみました。
temor→恐れ
te amor→君を愛する

ウムム、なるほどでした。


堪能度★★★☆