完全なる報復殺人事件の被害者遺族の男が司法取引によって犯人が極刑を免れてしまったことから自ら法を破って社会に復讐を果たしていくというクライム・サスペンスです。予告編の印象だとジェラルド・バトラー演じる復讐者は逮捕された状況でありながら次々と復讐を果たしていくみたいなんですけど?いったいどんなお話しなのでしょうか?

出演はその他に、レスリー・ビブ、ブルース・マッギル、コルム・ミーニイ、ヴィオラ・デイヴィ、マイケル・アービー、レジーナ・ホール、グレゴリー・イッツェン、エメラルド・エンジェル・ヤング、クリスチャン・ストールティ、アニー・コーレイ、リチャード・ポートナウ、マイケル・ケリー、ジョシュ・スチュワート、ロジャー・バート
監督: F・ゲイリー・グレイ

+++ちょいあらすじ
北米の都市フィラデルフィア。妻と一人娘と三人で幸せな日々を暮らしていたクライドはある日悪夢のような出来事に襲われる。突如押し入ってきた二人組の強盗に目の前で妻と娘を殺されてしまう。やがて犯人は捕まり裁判にかけられるものの上昇志向が強く有罪率のアップに拘る担当検事ニックによって司法取引が行われ殺人を犯した主犯格ダービーが極刑を免れてしまいクライドは怒りに震えた・・・
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始まっていきなり主人公クライドと家族が強盗に妻と娘が殺されてしまうというこのストーリーの発端となる事件が描かれるのですが、これはハリウッドのサスペンスドラマの定石みたいなもので、何かを考える暇も与えず物語に引きずりこまれてしまうんですよね。

その後容疑者として捕まった二人組ダービーとエイミスは裁判にかけられますが、物的証拠が不十分なことから上昇思考の強いニック・ライス検事は自身の有罪率を落とさないために司法取引で主犯で残虐なダービーに有利な自白をさせて罪を大幅に軽減させ実際に殺人は犯していないエイミスを極刑にすることで手をうってしまいます。しかし全ての真実を知るクライドは彼らの理不尽で打算的なそのやり方に烈しく怒りを覚えるのです。そしてそれから10年後のある日、エイミスの死刑執行の場で不可解な事件が起きるのです。

何だかまるで『SAW』のアウトドア版を観ているような復讐劇でしたね。そして物語の根底には『DEATH NOTE』と通ずるところもあるような。クライドはこれは復讐ではなく司法への挑戦だと言ってましたけど、やっている事はテロ行為と一緒で残虐極まりません。しかし、それでもそんな主人公に彼なりの正当性が見いだされ共感や同情の余地が感じられるように、ニック検事や法制度、この社会の不条理さを描くことで上手くバランスをとっているんですよ。

ずば抜けた知能で主人公クライドは投獄されながらも次々と報復計画を実行しニックらを震え上がらせていきます。それが現実的かどうかはともかくとして人物設定にて裏付けされているので一応筋は通っていますし、何より演じているのがジェラルド・バトラーですからこの人ならやりかねない雰囲気がプンプン漂っていて圧倒されちゃうんです。さすが『スパルタ』のオッサンじゃなくて王だけのことはありますね。またその一方で主人公と対峙する検事ニックが鼻につくちょっとイヤな奴なもんだから、ついついクライドを応援したくなってしまうのです。

それにしてもクライドの素性がまさかそんな人だったとは日本人の私にはいくなんでも思いつきません。それなら実は『アイアンマン』でしたといっても通用しそうだし(笑)。

ニック側はまるでいいとこ無しでやられっぱなしで分も悪いので肩入れする気持ちにもならなかったんですけど、それだけにオチは物足りないです。むしろクライドが完遂するところを観たかったですし、さすがにあの最後はクライドらしからぬ失敗だったような?何かの時のために解除機能も用意しておくべきだし、無関係な人を巻き込むのは彼の信念とは違うように思うのでした。

せめて最後に自分のかつての行為をニックが反省して終われば良かったのにね。あの発表会が彼の改心を表していたのかな?けっこうドキドキさせられたし面白かったんですけど、特に魅力的な活躍もしてこなかったニックがさも主人公だったようなあの終わり方は尻すぼみな印象になってしまいました。


報復度★★★☆