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八日目の蝉直木賞作家の角田光代さんの同名小説を映画化したサスペンス・ヒューマンドラマです。NHKでドラマ化されたときにうっかり観逃してしまったんですよね。やっぱり最初から観てないとスッキリしなさそうで途中参加せずに諦めちゃいました。それなら原作を読んでしまおうかなとも考えていたら、映画が公開されると知って楽しみにしてました。監督は『孤高のメス』の成島出さんです。

出演はその他に、森口瑤子、田中哲司、市川実和子、平田満、劇団ひとり、余貴美子、田中泯、風吹ジュン
監督: 成島出

+++ちょいあらすじ
東京地裁で秋山丈博・恵津子夫妻の間に生まれた生後6カ月の恵理菜を誘拐し4年間逃亡した野々宮希和子への論告求刑が行われていた。検察による求刑が読み上げられた後、裁判官にうながされて希和子はその胸の内を吐露し始める。彼女は淡々と思いを語りそして最後にこう述べるのだった。「四年間、子育ての喜びを味わわせてもらったことを感謝します」と・・・
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上映終了後、軽く放心状態です。とんでもなく骨太な作品でしたね。ホントはこれ全部実話なんじゃないかと思ってしまうくらいの圧倒的なリアリティで迫ってくる壮絶な人間ドラマでした。

先ず、冒頭の法廷シーンからして凄いんですよね。生後6ヶ月の娘を誘拐された母・秋山恵津子が裁判官に怒りを露にして訴える姿。そして続く誘拐犯・野々宮希和子が淡々と切々と語る言葉。私はこの数分間のシーンだけでこの映画はとんでもなく凄いことになってるんじゃないかと予感してしまうほどでした。

不倫関係にあった秋山丈博に騙され中絶をした野々宮希和子は子供を産めない身体になった上、丈博の妻・恵津子から激しく罵られ追い詰められていき、衝動的に二人の産まれたばかりの赤ん坊・恵里菜を連れ去りそれから4年間の逃亡生活を続け逮捕されます。しかし希和子に育てられた恵里菜には丈博と恵津子が両親だという実感が得られないまま葛藤を抱えながら成長し大学生となった今では両親と距離をおくように一人暮らしをしていました。そんなある日、フリーライターが恵里菜を訪ねてきたことから彼女の中で長らく止まっていた時間が動き始めていきます。

現在と過去、恵里菜と希和子。二つの時間軸で二人の主人公を描いていく物語は交じり合うことなく誘拐犯の女とかつて誘拐された女の視点で綴られていきます。二人の間を隔てる大きな溝。しかし恵里菜が毛嫌いし遠ざけてきた自分の過去に向き合いだし見つめ直していくことで物語は強い絆をもつ親子の姿を浮かび上がらせ大きな愛に包まれながら昇華していくのです。

とにかく登場人物たちの心の動きを激しく繊細に描く巧みさに圧倒される映画です。永作博美さんも井上真央さんも森口瑤子さんも素晴らしい怪演でしたね。全ての出演者が見事な演技でバッチリ役にハマっていたのがまた凄いのなんの。田中哲司さんは決して不誠実に見えるわけじゃないのに不倫男が何故かいつも似合うし、劇団ひとりさんはいろんな意味で美味しい役だったんじゃないでしょうか。また演出では長回しと長ゼリフを多用が永作博美さん井上真央さんの怪演を引き出していたとも言えますけど、きっと原作もさぞかし秀逸なんでしょうね。その全てが合わさってのこの怪物級の仕上がりにになったように思います。心が震えるような作品でした。


葛藤度★★★★☆