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ブラック・スワン最初の頃に劇場でながれていた予告編は『ガラスの仮面』のバレエ版のようなヒューマン・サスペンス・ドラマ風の印象だったんですけど、ここ一ヶ月くらいの映像は何だかホラータッチで「これって怖い映画なの?」と思うようになりました。どうやら心理スリラー作品らしいのですが、ナタリー・ポートマンが演じるバレリーナが黒い羽根だらけになるのは現実なのか幻想なのかどっちなんでしょうね?監督は『レスラー』のダーレン・アロノフスキー。

出演はその他に、ヴァンサン・カッセル、ミラ・クニス、バーバラ・ハーシー、ウィノナ・ライダー、バンジャマン・ミルピエ、クセニア・ソロ、クリスティーナ・アナパウ、ジャネット・モンゴメリー、セバスチャン・スタン、トビー・ヘミングウェイ
監督:ダーレン・アロノフスキー

+++ちょいあらすじ
ニューヨーク・シティ・バレエ団に所属するニナ・セイヤーズは元バレリーナでもある母親に厳格に指導されその人生の全てをバレエに投じてきた。そんな彼女に次期公演の新作「白鳥の湖」のプリマを演じるチャンスがついに巡ってきた。しかし真面目なニナは白鳥を演じるには申し分ないものの、官能的な黒鳥を演じるには物足りないと監督のトマに指摘され彼女の苦悩の日々がはじまる・・・
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素ン晴らしい渾身の力作ッ。私なら『英国王のスピーチ』より断然こっちですね。ある意味これは芸術系青春スポ根サイコ・スリラー作品と言えるかも?

ニューヨークのバレエ団に所属するニナ・セイヤーズは次期公演の新作「白鳥の湖」でついに念願のプリマの座、スワンクィーンの役を手にしますが芸術監督のトーマス・ルロイからは「君の白鳥はとても素晴らしいが黒鳥はダメだ」と言われてしまいます。優秀なニナは清楚で可憐な白鳥は完璧に演じるものの、奔放に男を誘惑する黒鳥を表現出来ず念願のプリマに選ばれながらも精大きな神的プレッシャーに苛まれてもがき苦しみ始めるのです。

憧れのプリマだったベスがその座から降ろされボロボロになっていく姿を目の当たりにしたことも拍車をかけたのかもしれませんが、ニナの重圧はそれ以上に母に起因していたのかもしれません。というのもニナの母エリカも元バレリーナで幼い頃から厳しく育てられてきたニナは母の過大な期待という重圧も潜在的に抱えてきたのでしょう。母に厳格に育てられ真面目にバレエに取り組んできた彼女は技術的に優秀な反面、自由な演技、感情を露にするような表現力に欠けていたのです。

そして精神的に追いつめられていくニナにさらに追い打ちをかけるように新たにバレエ団に加入したリリーがトマの求める黒鳥のイメージを見事に表現してみせる魅力の持ち主だったことからニナは主役を奪われる恐怖感にも襲われだし焦燥感を募らせさらなるプレッシャーから彼女は精神的な倒錯状態へと陥っていくことに。

バレエ「白鳥の湖」はプリマが白鳥のオデットと黒鳥のオディールという全く正反対の役柄を二役を演じ分けさらに高い技術を求められるとても難易度の高い作品だと聞いたことがありますが、主人公ニナは自分の中には存在しない黒鳥の姿を生み出そうと苦悩するあまりに精神的に錯綜。まるでもう一人の別人格が現れるかのようにニナの心は迷走していき、物語はそんな彼女の姿を現実と幻覚を交錯させながら不気味にそしてスリリングに描いていくのです。

主演のナタリー・ポートマンはオスカーを獲得しただけのことはある素晴らしい渾身の演技でしたね。スタントを使わず自身がバレエに真摯に取り組んでニナを演じきっただけのことはありますよ。私はバレエに詳しいわけじゃないので専門的なことはわかりませんけど、映画的にはウソの感じられない迫真の演技で最初から最後まで魅了されっぱなしでした。あの『レオン』の小さな女の子がこんな大女優に成長するなんていちファンとして観てきた私も嬉しいです。おめでとうございました。

それからリリー役のミラ・クニスもとてもヨカッタです。決してリリーは悪役ではなかったのですが、不安に陥るニナが彼女によって勝手に追いつめられてしまうだけの存在感と魅力があったからこそのニナだったとも言えそうで見事な助演でした。また出番は多くはありませんでしたが没落していく旧プリマのベスを演じたウィノナ・ライダーも役へのハマリ具合が見事だったと思います。

『ガラスの仮面』とは全く違うお話ですけど、たった一つの主役の座を巡る人間ドラマというのはバレエもオペラも演劇にしてもドロ沼劇とも言えるような似たような光景があるんものなんですね。でもこのナタリー・ポートマンならきっと紅天女が演じられるでしょう(笑)。


倒錯度★★★★☆