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コクリコ坂から一番最初に目にした映画チラシに宮崎駿さんの寄稿が載っていたのでてっきり宮崎駿監督作品なんだとばかり思っていたら、その息子の宮崎吾朗監督の『ゲド戦記』以来5年ぶりの作品なんですね。『ゲド戦記』の期待ハズレ感はあまりに大きく宮崎吾朗監督には全くいい印象がないのですが、原作は1980年頃に「なかよし」に連載されていたコミックで1963年の横浜を舞台に高校生の男女の恋と友情を描いた青春ストーリーということで宮崎駿さんの脚本力を期待したいと思います。魔法やファンタジー系じゃないジブリ作品は『ホーホケキョ となりの山田くん』以来に十数年ぶりになりますね。

声の出演はその他に、竹下景子、石田ゆり子、風吹ジュン、内藤剛志、風間俊介、大森南朋、香川照之
監督: 宮崎吾朗

+++ちょいあらすじ
東京オリンピックの開催を目前に控えた1964年の日本。横浜の港町にある港南高校では生徒たちがカルチェラタンと呼ぶ明治時代に建てられた由緒ある建物の存続、取り壊しを巡ってちょっとした紛争が巻き起こっていた。高校二年生の松崎海はひょんなことから存続運動の中心人物である先輩の風間俊と出会い彼の活動を手伝うことになり次第に想いを寄せていくのだが・・・
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偏見を持つつもりは全くないんですけど、宮崎吾郎監督はリズム感が悪いのかな?何となくテンポが変というか気持ち良くなれそうでなれない序盤の展開。それともセンスがイマイチなのかな?(苦)。ただそれでも物語はヨカッタですよ。敗戦も過去となり高度経済成長を迎え東京オリンピック開催も目前に控えた夢ある未来へと躍動する昭和30年代の日本を背景に高校生の姿を生き生きと描いた爽やかに端々しい青春物語でした。終盤は涙腺が緩みだして最後には気持ち良く泣けちゃいました。

主人公は海という名前だと覚えたら学校では友達からメルと呼ばれていったいどっちなんだろうと思っていたら、次にカルチェラタンなるものが出てきて軽くイラっとしちゃいました。せめてこの二つの重要ワードの意味くらい劇中で描いておいてほしいですよね。今頃になってふと思ったんですけど「メル」はもしかして「海」のフランス語訳の洒落なのかな?それともう一つタイトルのコクリコ坂はいったどこに?たぶん二人が自転車で疾走したあの坂なのかなと思いますけど、言葉として劇中に出てきましたっけ?

父を亡くし母は仕事で渡米し不在の中で、祖母と妹の空、弟の陸と下宿を営み暮らしている高校二年生の松崎海。彼女は毎日早起きをして家族や下宿人たちの食事をつくり、そして海を行き来する船に向かって信号旗を揚げるのを日課にしていた。そんなある日、うみは学校で校内新聞「週刊カルチェラタン」を発行する一年先輩の風間俊と出会います。風間はカルチェラタンと呼ぶ明治に建てられた伝統あるクラブハウスの建替えに反対する抗議運動を仲間たちと繰り広げており、ひょんなことから海もその活動を手伝うことになるのですが、何となく風間に関心を抱いていた海は彼の快活で魅力的な人柄に惹かれていき、そして風間の思いを寄せていくのです。しかしある時ふとしたことからとても残酷な二人の運命を二人は知ってしまうのです。

「まるで安っぽいメロドラマだ」。予告編でも使われた風間のセリフです。これを予告編でだしてしまうということはそれをひっくり返す何かがあるかもと予想出来るわけで、あまり上手くないトレイラーのようにも思えます。出生の秘密なんてそれこそ『冬のソナタ』がそうだったように韓ドラの十八番のネタですが、そもそも日本のメロドラマの十八番だったわけで母いわく昔の少女小説にはよくある話なんだそうです。そういう意味ではこれを当時の時代性を反映した作品と言えるのかもしれませんね。

話がそれてしまいましたが、海と俊がお互い意識しはじめいい雰囲気になってきた矢先に二人が異母兄妹であることが発覚します。海の淡い恋は一瞬にして打ち砕かれ失意のどん底に。でも海はたくましく強い女の子でした。海はその数奇な運命を受け入れると俊と共にカルチェラタン存続に向け立ち上がるのです。そしてそんな彼女の勇気ある決意に神様が応えてくれたかのようにある真実が帰国した母親の口から告げられるのでした。

序盤からやたら使われていたあのJAZZ調の曲ってあの頃の時代性を象徴するものなのでしょうか?それにしては現代風な気もしたし、私は坂本九さんの「上を向いて歩こう」のほうがずっとしっくりきました。全編昭和歌謡でも良かったんじゃないかなと。でもどことなく『おもひでぽろぽろ』と似たような空気感でしたね。たぶん時代もだいたい同じ頃のはず。主人公の松崎海は私の母とほぼ同世代なんですよね。

俊の父親が朝鮮戦争の最中に亡くなっていたり、横浜に路面電車が走っていたり、挙げればキリがないほどノスタルジーに溢れる作品でしたけど、これはジブリ作品としてはお子様にはかなり難しい内容なのではないでしょうか?高校生、大学生でも予備知識が多少ないとピンとこないかも。私にしても高校生のあんな学園生活はちょっとイメージしにくいくらいでしたから。感覚的にはあれは大学生のライフスタイルなんですよね。

で、「カルチェラタン」が気になってwikipediaで調べてみたらフランスで学生運動の拠点となった地区でカルチエは「地区」、ラタンとは「ラテン語」のことで「ラテン語を話す(=教養のある)学生が集まる地区」という意味が語源だそうです。劇中の舞台設定からしてたぶんそういう類いの言葉なんだろうなとは思ってましたけど勉強になりました。

そのカルチェラタン存続のキーマンとなる徳丸会長の声を演じていたのは香川照之さんですけど香川照之さんがやるほどの役だったのかな?その徳丸会長ってどうやら出版社の社長みたいでしたけど、つまりそれって徳間書店のモジリですか?(笑)。それと風間俊の親友の水沼史郎くんの声を演じているのが風間俊介さんというのはたんなる偶然なのかな?岡田准一さんと同じくジャニーズでしたよね?

正直に言うと思いのほかいい映画でした。終盤で上手く帳尻合わせされたような気もしますけど、それもちゃんと心にグっときて感動しちゃいましたから。もしかすると結局は『ゲド戦記』の宮崎吾朗監督という先入観がいいほうに作用したのかも(笑)。素直に感動出来るノスタルジックな青春ラブストーリーでした。


青春度★★★★

<2011.7.31追記>
『コクリコ坂から』再鑑賞2011.7.30