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神様のカルテ本屋大賞でも話題となった夏川草介の同名小説を『60歳のラブレター』の深川栄洋監督が映画化した作品です。原作小説が発売された時にTVで毎日のようにCMがながれていたんですよ。CMを作ってまで売ろうなんてよっぽど自信作なのかな?と思ったし小説本のCM自体が珍しかったこともあって印象的でした。でも私の好きそうな題材でしたけど毎日ながれるそのCMがかえって押し付けがましく感じられて購入意欲は起きまなかったんですよね。その後の評判も良いみたいでもしかしたら映画化されるかな?と思っていたらやっぱり映画になっちゃいましたね。

出演はその他に、要潤、吉瀬美智子、岡田義徳、朝倉あき、原田泰造、西岡徳馬、池脇千鶴、加賀まりこ、柄本明
監督:深川栄洋

+++ちょいあらすじ
長野・松本にある中規模クラスの本庄病院で内科医として働きだして5年の栗原一止は人手の少ないなか365日24時間体制という病院の激務の日々をこなし続けていた。ある時、栗原は先輩医師の紹介で信濃医大で研修を受けることになるがそこで本庄病院との設備や人員面での大きな差を実感することになる。さらに権威のある高山教授が自身の優れた能力を認められ信濃医大での勤務を勧められるが、栗原は自分を頼って来院した末期癌患者の安曇のことを心配し悩むのだった・・・
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ウウウ、泣けてしまいました。いかにも泣けそうな作品でしたから逆に最初は一歩引いた感じで観ていたんですけど、次第にグイグイと引き込まれてしまいました。加賀まりこさんはさすがに巧かったですね。間違いなくこの映画の重しとなる存在で物語をしっかりと引き締めていたのも加賀さんだったと思います。

医療ドラマによくありがちな学閥間の権力闘争や大学病院は拝金主義で小さな町の病院は貧乏だけど善良みたいなステレオタイプな構図はこの作品からは見受けられません。いわゆる大きな医療問題やビジネスとしての医療の暗部を暴くものでもありません。この物語の主題となっているのは真の医療とは何か?そして病と闘い生きることの意味を問うことなのです。そして余命僅かを宣告された末期の癌患者と出会った主人公の青年医師が悩み葛藤しながらもその事を自問自答し成長していく姿を真摯な眼差しで映し出していく物語なのです。

命を救うだけが医療ではないんですね。安からに看取るための医療というのも現代社会においては大切なことなのかもしれません。安曇さんの誕生日に穂高の山々をみせてあげようと医療スタッフらが屋上に集まるのですが、ただそれだけのシーンなのにとても胸がしめつけられて涙ぐんでしまいました。

この物語は派手なところってほんとんどみられないほど素朴なんですよね。天才的な外科医によって奇跡的に命が救われるようなこともなければライバルの医師によって主人公が罠に陥られるようなこともありません。でもそれだけに主人公の不器用ながらも誠実な思いに心揺さぶられるのでしょう。泣かせるための演出じゃなく主人公の思いを伝えようとする演出が作品に好感度をもたらしているのかもしれません。

その派手さがないことで東宝映画なのに東映や松竹っぽく感じたりもするんですけど、でもそれはこの作品には合ったタッチで良かったと思います。ただその副作用なのか、主演の櫻井翔くんと宮あおいさんはこの役柄に合っていたのかどうかが微妙な印象なんですよね。ある意味この二人が東宝映画らしい派手さだったかも?実年齢的には役と合ってるんでしょうけど顔立ちは研修医くらいにも映りますし、そもそもアイドルのイメージが強いのでしょうね。予告編の時から思っていましたが昭和チックな髪型が全く似合ってないし私は70年代が舞台のお話かと思っていたくらいです。

そもそもやたら昭和の香りを強調するようなあの演出にはどういう意図があったのでしょう?主人公が夏目漱石ファンで元旅館で同居人たちとアパート暮らしをする生活と医療現場でのドラマがアンバランスに思えてなりませんでした。

最後に一言。辻井伸行さん作曲のピアノ曲はとても素敵でした。


人間度★★★★

シリーズ作品
神様のカルテ』2011.8.29
神様のカルテ2』2014.4.3