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カウントダウンZERO核兵器が世界に広がりテロリストらが核兵器を手にする可能性を危惧し核兵器廃絶を訴える社会派ドキュメンタリー作品です。アカデミー賞受賞作『不都合な真実』のプロデューサーのローレンス・ベンダーと『ブラインドサイト〜小さな登山者たち〜』のルーシー・ウォーカー監督が各国の首脳を務めた政治家らの証言を基に核兵器の脅威を訴えていきます。

+++ちょいあらすじ
2010年現在、核兵器保有国は9か国、核兵器開発の技術を持つ国は40か国に上る。今や核兵器は元となる濃縮ウランを作るには高い技術とお金や労力を必要とするが、ある水準の科学技術があれば製造は実現可能だという。そのためテロ集団が入手し使用する危険性が現実に迫りつつあるのだという・・・
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世界で唯一の被爆国の人間としては世界で唯一の核兵器使用国に偉そうなことを言われたくないという気もしなくはないですけど、本当にこの地球上から核兵器が廃絶出来るのであればとても素晴らしいことだと思います。

核兵器開発に高度な科学力と多額の資金を必要としていた時代であれば、核保有国に課せられた重い責任がある種の抑止力となっていたかもしれませんが、今や小規模のテロリスト組織でも核を持てる時代となり、危険性は冷戦時代よりも増大してると言えるのかもしれません。

核兵器の開発ノウハウはン十年前に既に確立されており技術としては古いものだそうですね。現代ではその技術力もお金で手に入れることが可能でありパキスタンで「核開発の父」と呼ばれるカーン氏は核兵器ビジネスに手を染め核を拡散させたと言われているそうです。つまり開発力などなくても資金さえあれば国家レベルじゃなくても核兵器の保有は実現可能な状態にあるわけです。

この作品では核兵器の危険性を「事故」「誤算」「狂気」の3つに分類していて「事故」では核兵器を搭載した戦闘機の墜落事故や核施設への侵入事件などを実例で紹介。「誤算」ではいわゆるヒューマンエラーの類いやノルウェーでアメリカがオーロラ観測のために打ち上げたロケットがソ連に核ミサイルと誤解され核戦争勃発の危機に直面した出来事などが報告されていました。最後の「狂気」は悪意を持った人間たちが核兵器を手にした時の恐怖です。あのオウム真理教も核兵器に触手を伸ば購入を企みソ連と接触していたことがレポートされていましたね。日本人としてはオウム真理教の例は極めてわかりやすく実感もしやすいと言えるのではないでしょうか。あんな集団に実際に核兵器を所有されていたらこの世界は悪夢に陥っていたことでしょう。そしてその危険性は今現実として存在しうることはこの作品は強く訴えていくのです。

ケネディ大統領は核兵器の危険性を「糸に吊るされた剣」に例えて演説していたそうですね。いかに危ういものかという例えでは間違ってませんけど、一発で何百万人も虐殺出来る破壊力なのですからその危険性は剣の比ではありません。

作品中では広島、長崎という言葉も何度か出てきましたが核兵器がいかに非人道的なものでそれを使用したことに体する自戒の念も何らかの形で表現されていればほぼベストと言える作品になっていたと思います。それでもラストに核兵器をこの地球上からゼロにすべきだという強いメッセージで終えるこの作品には賛同と共感の拍手を送りたいと思います。


賛同度★★★★☆