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海洋天堂ハリウッドでも活躍するアクション映画の大スター、ジェット・リーが脚本に惚れ込みアクション無しで自閉症の息子を持つ余命わずかな父親を演じたことで話題になった父子の再生の物語です。制作費捻出のためにジェット・リーはノーギャラで出演しているのも話題になってましたよね。脚本・監督は名作『北京ヴァイオリン』の脚本で知られるシュエ・シャオルーです。

出演はその他に、グイ・ルンメイ、ジュー・ユアンユアン、カオ・ユアンユアン、ドン・ヨン
監督:シュエ・シャオルー

+++ちょいあらすじ
中国山東省の港湾都市青島。妻に先立たれ男手ひとつで自閉症の息子ターフーを育てるワン・シンチョンは自身が余命僅かの癌を宣告される。息子ターフーの将来を心配して悩むワンは心中を決行するも泳ぎの得意なターフーは足縄をほどいて水面へと戻ってしまい・・・
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涙腺決壊しちゃいました。素晴らしい社会派の感涙ヒューマンドラマでした。ジェット・リーが脚本に惚れ込んだだけのことはありますね。おそらく彼には自分がこの作品を成し遂げなければならない使命感みたいなものを抱いたんでしょう。いまさらなのかもしれませんがアクションシーンが無くても素晴らしい演技力で魅せてくれる一流の俳優さんなんだとあらてめて思わさされる熱演でした。

水族館で技術者として勤める主人公のワン・シンチョンは妻に先立たれ21歳になる自閉症の息子ターフーを育てていました。ところがワンは自分が末期癌であることがわかると息子の将来を案じて心中を決行するのです。物語は心中をしようとするまさに直前から始まるのですが、何も知らないターフーの天真爛漫さと青く輝く海が印象的で心中を匂わすような深刻さもなく失敗して帰宅した後になって状況が少しずつわかってくるのです。

ワンは心中を諦めターフーを受け入れてくれる施設を捜し始めるとともにターフーに一人で生活していく術を教えていきます。しかしそれも容易なことではありませんでした。それでも地道な努力は少しずつ実を結びターフーもまた心の成長を遂げていくのです。

こういう現代モノでの障害者ドラマって中国系の映画では珍しいのではないでしょうか?初ではないんでしょうけど、ちょっと記憶にありません。それほどたくさん鑑賞しているわけじゃないので知らないだけかもしれませんけど。

この作品をジェット・リーという大スターが主演した意義はとても大きいと思います。劇中の描写を鵜呑みにすれば自閉症患者の受け入れ先を捜すのにワンがあれだけ苦労するということは社会体制として受け皿が整ってないということですよね。つまりそれは政府の問題意識の低さであり国民にも周知されていないことを意味するんだと思います。そういえば脚本も担当しているシュエ・シャオルー監督は実際に自閉症施設に関わりを持ったことで少しでも多くの人に知ってもらいたいと本を書かれたそうですね。その思いはこの作品の隅々まで張り巡らされていたように感じました。

もっともこの作品が素晴らしいのは自閉症を丁寧に描いているからだけではありません。物語の大きな幹となっているのはあくまでも父と息子のドラマであり、父と息子の深い愛情と強い絆で結ばれた姿がとても瑞々しく躍動感いっぱいに描かれ、さらにその二人を見つめる周囲の人々の優しい思いが伝わってくるからこそ心揺さぶられる作品なんだと思います。ワンに想いを寄せ自分がターフーの世話をしてもいいと言ってくれた隣人のチャイ。大道芸の一座の一人として水族館を訪れターフーと心の交流を築いたピエロの女の子リンリン。二つの小さな恋模様にも胸が締め付けられてしまいました。

自閉症の青年ターフーを演じたウェン・ジャンは初めて観ましたけど、本当に自閉症の青年が演じてるんじゃないかと思うほどの素晴らしい好演だったと思います。

エンドロールのクレジットを観ていて気付いたんですけど音楽担当は久石譲さんだったんですね。音楽も良かったです。


父子度★★★★☆