ブログネタ
映画鑑賞日記3 に参加中!
ラビット・ホールピューリッツァー賞に輝いたデヴィッド・リンゼイ=アベアーの戯曲を基に劇作家のデヴィッド・リンゼイ=アベアーが脚本を手がけ『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』のジョン・キャメロン・ミッチェル監督が映画化した作品なんだそうですが、いずれの名前も私の知識にはない未体験ゾーンの映画です。しかし主演はニコール・キッドマンにアーロン・エッカートとビッグネームが顔を揃えニコールは本作で2011年アカデミー賞主演女優賞にノミネートされているそうですね。幼い息子を失った夫婦の喪失感と再生を描くヒューマン・ドラマです。

出演はその他に、ダイアン・ウィースト、タミー・ブランチャード、マイルズ・テラー、ジャンカルロ・エスポジート、ジョン・テニー、パトリシア・カレンバー、ジュリー・ローレン、サンドラ・オー
監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル

+++ちょいあらすじ
郊外の住宅街で幸せに暮らしていた妻ベッカと夫ハウイーの生活は8ヶ月前のある出来事で一変していた。4歳の息子ダニーが飼い犬を追いかけて家の前で交通事故に遭い亡くなったのだ。深い喪失感に苛まれる二人は必死にその苦しみから立ち上がろうとするが、考え方の違いから時おり衝突し夫婦関係に歪みが生じ始めていた・・・
+++


映画の表面的にははそうでもないんですけど、描いているテーマにズシリとした重さが感じられる物語でした。冒頭からラスト直前まで何だか得体の知れない閉塞感に包まれっぱなしで観終えたあとにどっと疲労感に襲われると心がとても凝りに凝っていたことに気付くのでした。

「ラビットホール」と言えば「不思議の国のアリス」に出てくるアリスが迷い込む不思議な世界。心の迷宮を意味するものです。主人公の妻ベッカと夫ハウイーの夫婦は8ヶ月前に最愛の息子ダニーを交通事故で亡くし悲しみと喪失感に苛まれ続けていました。

死との向き合い方って人それぞれだと思うし、正解が一つだけということもないでしょう。しかしそれゆえに、悲しみから逃げるようにダニーの思い出を処分するベッカと逆にいつまでも思い出に浸ることで悲しみを癒そうとするハウイーは衝突してしまうのです。やがてベッカは偶然出会った交通事故の相手である少年ジェイソンとの交流で過去と向き合い始め、ハウイーは遺族会の仲間のギャビーと共にマリファナで空虚な心を満たそうとしていきます。

二人は決して後ろ向きに生きていたわけではありません。グループセラピーなどにも参加し立ち直ろうと努力していたのです。しかし、息子を死なせてしまった罪悪感にも苛まれていた二人は気付かぬうちに心に蓋をして閉塞感の中で出口を探して彷徨いもがき続けていたのです。特にベッカは周囲の優しさや思いやりにも気付く事が出来ず、逆に悪意に受け取ってもしまったのでしょう。そんな二人が他人の痛みや心の傷にも目を向け気遣うことが出来たとき、二人の心の闇にようやく光が射し込むのです。そのきっかけを作ってくれたのはベッカにとってのジェイソンでハウイーにとってのギャビーだったのでしょう。

「悲しみはいつまでも消えることはないの。でも変化していくの。ずしりと重かったのがいつの間にか小石のように軽くなっている。それは時々忘れてしまうくらいで、ふとポケットに手を入れるとそこにあるのよ。」ベッカのお母さんのこのセリフは名言でしたね。もちろん誰もがことの言葉を簡単に受けいれられるわけじゃないですけど、しっかりと心に留め置きたいと思いました。

ニコール・キッドマンは評判通りの熱演でしたね。でも私の中ではもともと評価の高い女優さんなので、これくらいは彼女ならあたりまえという感じもしなくはないです。とにかく素晴らしい演技でした。


喪失度★★★★