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ファミリー・ツリーサイドウェイ』のアレクサンダー・ペイン監督がハリウッドの名優ジョージ・クルーニーとタッグを組んだ7年ぶりとなる作品です。第84回アカデミー賞ではジョージ・クルーニーがオスカーを狙いに行った作品という風にコメントされてましたが惜しくも受賞はなりませんでした。でもクールな二枚目役が基本線のジョージ・クルーニーが初めて等身大の父親役に挑んだということで注目の話題作なのは間違いないでしょう。家族崩壊の危機に直面した父親が人生を見つめ直し一家を再生していく姿をユーモア交じりに映し出すハワイを舞台にしたホームドラマです。第84回アカデミー賞脚色賞受賞作品です。

出演はその他に、シェイリーン・ウッドリー、アマラ・ミラー
監督:アレクサンダー・ペイン

+++ちょいあらすじ
ハワイ・オアフ島で生まれ育った弁護士のマットは妻エリザベスとアレックス、スコッティの二人娘と4人家族。しかし妻エリザベスはボート事故に遭い昏睡状態のまま間もなく一ヶ月が経とうとしており、医者から生前の本人の意思を尊重して尊厳死を進言される。またカメハメハ大王の末裔として祖先から広大な土地を受け継ぐマットは財産分与を親族たちが期待する中で土地を売却するどうかという問題を抱えていた・・・
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ほろ苦さでいっぱいのお話ですけど、次第に優しく温かい気持ちにも包まれていく素敵な家族の物語でした。これは前評判通りいい映画でしたね。

先ずは何はともあれ主演のジョージ・クルーニーですよね。日頃、クールなジョージ・クルーニーを観慣れているだけに、この娘たちの扱いに困惑しているファミリアなお父さん役はとても新鮮でしたね。全く恰好よくないオジサン走りが可愛かったし(笑)。

ハワイで弁護士をしながら家族と暮らすマット・キングは妻エリザベスがボートレース中の事故で意識不明の昏睡状態となって一ヶ月近くが経ち生前の本人の希望から尊厳死を医者から進言されます。しかし10歳の次女スコッティは最近情緒不安定で17歳の長女アレックスは反抗気味で全寮制の学校に。妻の尊厳死について二人にどう伝えるか悩んでいたマットは逆にアレックスからは妻が浮気をしていたこと教えられ激しく動揺します。さらにマットは自分が全権を持つ一族の広大な土地の処遇にも苦心しており心掻き乱されてしまいます。

スクリーンからハワイの空気感が溢れてきてなんとも心地良い気分になるんですよね。ハワイに行ったことある人ならきっとわかる感覚です。マットはハワイ暮らしといってもそんな優雅なもんじゃないよ、とぼやいてましたけど、私からすれば毎日がリゾートです。なんとも羨ましい限りですって。しかし、物語に土地の売却問題、リゾート地開発、財産分与を期待する親族たちとの関係など都会的な視点がもたらされていくことで決して優雅なだけではないという楽園の現実が加味されてもいくのです。

妻が事故に遭ったことで仕事に忙しいあまりに家庭を顧みず娘たちもかまってなかったことに気付いたマット。アレックスが荒れた原因はマットにあって、そしてエリザベスの浮気が拍車をかけたのかもしれませんね。妻の不倫に憤り娘たちとの接し方に戸惑うマットですが、その原因の一端が自分にもあるだけに怒るにも怒れないわけです。自分が今、家族崩壊の危機に直面しているという現実を思い知ったマットはようやく妻や娘たちと向き合い始めるのです。そしてそれはカメハメハ大王の血を受け継ぐ自身を見つめ直し先祖たちへ想いを馳せていくことにもなり、悩み続けた土地問題にも一つの答えを見出してもいくのです。

土地問題についてマットがだした結論にはスピアーが遠縁だったこともおそらく関係していたのでしょうね。これもまたハワイという土地柄ならではの因果なのでしょうか。スピアーがある目論みでエリザベスに近づいたかもしれないことはマットにとって僅かでも救いになったのかもしれません。でもそれよりはやはりマット自身は自分の身体に流れる由緒ある血脈に自分が何をすべきかを悟ったことが決定的だったように思います。家族を見つめ直したマットは自分自身を深く深く見つめ直していたのです。

妻の浮気相手スピアーに会って間もなく死を迎える妻を見舞うよう伝える決心をしたマット。その決意に至るまでには大きな葛藤や苦痛があったことでしょう。しかしその苦難を娘たちと一緒に乗り越えていくことで二人との絆を取り戻し家族として再生することが出来たんだと思います。

最後の最後で巻き添えとなってしまった不倫騒動の純粋な被害者であるスピアーの妻ジュリーはとても気の毒でしたし土地問題も先送りしただけなのでスッキリ解決とはいきませんが、マットがアレックスとスコッティとともに海で散骨する姿を観ていてあの瞬間エリザベスへの蟠りは全て浄化され、この家族が無事に再生したことは3人で仲良くカウチしているラストシーンでもわかってとても穏やかな心地よい気分で劇場後にすることが出来ました。


家族度★★★★