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任侠ヘルパーTVドラマが始まるときには極道者が介護ヘルパーだなんて漫画みたいなふざけたドラマでしょと思ったのですが、いざ観始めるとこれが意外にも面白くてすっかりハマってしまいました。高齢者介護や介護ビジネスなど実際にも存在する社会的テーマがきちんと背景になっていて、様々な問題を主人公・翼彦一が任侠道で乗り越えていくドラマがなかなか魅力的でした。しかし、だからといってそれを映画化するとは思いもしませんでした(笑)。

出演はその他に、夏帆、風間俊介、黒木メイサ、堺正章、杉本哲太、宇崎竜童、香川照之、草村礼子、大森絢音、りりィ、品川徹、信太真妃
監督:西谷弘

+++ちょいあらすじ
指定暴力団の隼会を抜けた翼彦一堅気になろうとコンビニで細々と働いていた。そのコンビニにある日強盗が現れ同僚のバイト店員・山際を人質にしレジにいた彦一に金銭を要求する。しかし彦一はその強盗を難なくあっさりと退けてしまうが、彦一に吹っ飛ばされた強盗のフルフェイスのヘルメットが脱げると現したのはみすぼらしい老人の姿だった。すると彦一はレジの金を強盗に渡して逃がしてしまい、店長には自分が弁償すると言う。しかし、彦一が元ヤクザだと知った店長は応じることなく彦一は警察に逮捕されてしまった・・・
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TVドラマの時よりも俄然シリアス度をアップして映画らしいスケール観のストーリーはなかなか観応えがあって面白かったです。

決して細部にまでリアリティある演出ではないんですよね。当然ながら本格的な任侠映画を期待して観に行けば全く物足りないでしょうし、社会派ヒューマン・ドラマとしても特に秀逸なわけではありません。でもその二つの要素がいい感じに合わさって、さらに子供でも楽しめるくらいにわかりやすく間口が広く敷居が低いところがこの作品の魅力なんじゃないかと思うのです。

実際のところ、主人公の翼彦一が大海(どうやらロケ地は熱海らしいです)の極鵬会を訪ねて、今作の物語の舞台を整えるまでのくだりは、ちょっと雑で強引だったりするんですけど、そもそも本格派の作品ではないので、特に気にせず受け入れてしまうのです。そして彦一が極鵬会の親分に認められて、シノギの場として介護宿泊施設のうみねこの家を任されると、ここからが『任侠ヘルパー』の真骨頂。いわゆる貧困ビジネスですぐに実績をあげていった彦一は、あまりに劣悪な施設の環境が看過出来なくなり、自ら環境改善を実行していくと、以前はゴミ溜めのような場所で朽ち果てていた入居者たちも見違えるように生き生きとしていくのです。しかし、組織が必要とするのはお金であって慈善ではなく、やがて彦一は極鵬会と対立することになってしまいます。

TVドラマを観ていない人にはわかりにくいですが、彦一は任侠を重んじる古いタイプのヤクザ者でそのスキルも高い人物でした。所属する隼会の親分が後継者を選ぶにあたって介護施設で研修名目で働くことを命じたのが、TVドラマのそもそもの始まりです。

極道一筋だった彦一は介護施設で直面する様々な問題を時には荒っぽい方法を用いながらも持ち前の任侠道の心意気で乗り越えていきました。その経験は彦一を人間的に成長させていったわけですが、介護の知識やスキルも高いレベルで身につけていったというのが今作の大前提としてあるわけでして、うみねこの家を改善して入居者たちと触れ合う彦一の姿には当たり前のように自然と惹かれてしまうのです。

弱きを助け強きをくじく任侠道に生きるヤクザ者。そんな主人公が弱者のために巨悪と対峙するという構図は古典的ヒーロー物の王道パターンとも言えますけど、これが実に気持ちいいんですよね。彦一は決して正義の味方ではありません。決して陽の当たる道を堂々とは歩けないならず者、犯罪者、渡世人なのです。でもそんな男が社会の理不尽さに直面し対峙していくことで、現実社会が抱える問題が鋭くえぐられていくとともに理屈ではない人ととして大切なことを映し出していくのです。

基本的にはエンタメ。だけど大きな社会的テーマに基づいているところがこのドラマの大きな魅力なんですよね。TVドラマのファンであれば十分楽しめる出来映えだったと思います。

しかし、それにしても夏帆さん、あなたいったいどこへ向かってるの?(笑)


任侠度★★★★