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旅立ちの島唄グッモーエビアン!』でのハツキ役がとても瑞々しく好印象だった三吉彩花さんが初主演を務めた作品です。沖縄本島からおよそ360キロ離れた絶海の孤島南大東島を舞台に少女の成長と家族の絆を島唄のメロディーにのせて描いたヒューマン・ストーリーです。


出演はその他に、大竹しのぶ、小林薫、早織、立石涼子、ひーぷー、普久原明、上原宗司、日向丈、松浦祐也、若葉竜也
監督:吉田康弘

+++ちょいあらすじ
南大東島にすむ14歳の中学生・仲里優奈はさとうきび農家を営む父と二人で暮らしている。母親はだいぶ前に姉の進学の折りに本島へ行ったきり戻ってこず長い間別居状態が続いていた。島には高校がないため優奈もやがて進学のため島を離れなければならないが、一人残ることになる父が気がかりだった・・・
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島んちゅの少女の旅立ちを描く青春ストーリーは南大東島とこの島に生きる人々の心を紡ぐ物語でもあるんですよね。ぶっちゃけ華美なところも派手な展開もない素朴な映画なんですけど、揺れる少女の心の繊細な機微が綴られジワジワと心に染みてくるいいお話でした。

物語の舞台は沖縄本島からおよそ360キロ離れた絶海の孤島南大東島です。この島には高校がなく子どもたちの多くは進学を機に島を離れなければならないのです。そして主人公である14歳の少女・仲里優奈もそんな中学生の一人。1年後には高校進学を控えていました。この「やがて島を離れなければならない」というのが今作のとても重要なテーマでストーリーの主軸として素朴ながらも観る者を引き込んでいくのです。

そして映画は主人公・優奈が島を旅立つまでの1年間の出来事、恋や家族の問題に悩み葛藤しほろ苦い経験を経て成長していく姿を瑞々しい躍動感とともにリリカルに映し出していくのです。

今作は南大東島の全面協力によるご当地映画なわけですが、とても好感持てたのが主要キャスト以外はほぼ無名もしくはローカルな俳優さんたちでしかもその多くが沖縄系と思われる方々なこと。作品への思い入れや気概が強く感じられるそのこだわりによってこの作品は自然と沖縄の空気感で客席を満たしていくのです。

また劇中でもちょこっと触れてましたが、南大東島は明治の頃に八丈島の開拓者たちによってその礎が築かれた独特の文化を育んできた地でもあるそうです。ポスターに「島4800年人100年」ってコピーがありましたね。また「笑っていいとも」に出演された小林薫さんが語られてましたが、特殊な地形で島の中央が窪み海岸付近の標高が高くさらに周囲海域の水深がとても深く断崖絶壁状態。それゆえに劇中の描写にあったように桟橋などの建設が不可能で船が接岸出来ないためにクレーンで吊ったケージで乗り降りをするのだそうです。そんな交通の便の悪さは他地域との交流の少なさの要因となるわけですが、それもまた島民たちがみな家族のような気質をもたらしてきたと言えるのかもしれませんね。

そんな風に随所にさりげなく南大東島ならではの特色、文化、人間性が盛り込まれていて、紡がれていく島への想いやこの地に住う人々の優しさや温かさに心温まる作品でした。泣けるまでには至りませんでしたけど、登場人物たちの想い、島への愛情が丁寧に描かれた素敵な物語だったと思います。これは南大東島のソウル・ムービーなんですよね。


家族度★★★☆