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風立ちぬ02崖の上のポニョ』以来5年ぶりとなる宮崎駿監督の最新作です。公開前から既に超話題作って感じですが、宣伝手腕も巧みでTOHOシネマズに映画を観に行くとほぼ必ず目にする4分間の特別映像に私はすっかり魅了されていて毎日のように荒井由実さんの「ひこうき雲」を聴きながら期待値MAXで公開を楽しみにしていました。


出演はその他に、西島秀俊、西村雅彦、スティーブン・アルパート、風間杜夫、竹下景子、志田未来、國村隼、大竹しのぶ、野村萬斎
監督:宮崎駿

+++ちょいあらすじ
大正から昭和にかけての日本は不景気や貧困、震災など困難に直面し日本中が閉塞感に包まれていた。そんな中で堀越二郎は幼い頃から飛行機に憧れイタリア人飛行機製作者カプローニを尊敬しいつかは自分も美しい飛行機を作りたいと夢に描いていた。やがて大人になった堀越二郎は航空機の設計技師となりその夢を実現しようとしていた・・・
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風立ちぬ、いざ生きめやも。

風立ちぬ03なるべくいい環境で観たいなと思ってはやる気持ちをおさえて最初の土日は避けることにして、スクリーンの大きなとこへ行きましたけど、お子さんたちも少なめで静かな環境でじっくり映画の世界に浸って観ることが出来ました。

もう、感動ぅ感動ぅ大感動ゥ。メチャメチャ泣けてツボにハマりましたァ。これは大人のジブリですね。宮崎駿監督が自分の大好きな趣味とその強い思いをとことん渾身で描いた作品。自分が好きなものを自分のために自分が満足出するように描く。それはまさに芸術と言えるでしょう。

あえて子どもには媚びない鈴木プロデューサーの選択は大正解だったと思います。いいじゃないですか、たまにはこういう作品があっても。宮崎駿監督があとどれだけ手掛けられるのかは全くわからないのですから、仮に興行的にうまくなかったとしても、時には自分の作りたいものを思いっきり作ることも必要だと思うんですよね。試写を観て初めてご自分の映画で泣いたという宮崎駿監督のお気持ちがすごくわかる気がしました。監督の人生観みたいなものがこの物語に凝縮されているのでしょう。

私もデザイン畑の人なので飛行機の美しさに魅せられる二郎には深く共感しちゃいます。工業デザインのことはよくは知りませんけど、機能的、技術的に優れた物は、見た目も美しいし美しくなければならないというのはアパレルや他の分野でも一緒なんですよね。私も誰に教わるでもなく学生時代に全く同じことを考え理念として拘ってました。それから以前にも何度か書いてるんですけど「ヒコーキ野郎」なお話って何故か惹かれてしまうのですが、その点でもすっかり魅せられてしまいました。マニアックさは全くゼロで単純に大空を翔ぶことに惹かれてしまうのですが、そういう意味でも宮崎駿監督のシンクロ度が極めて高かったと言えるのかも。

これはジブリが初めて実在の人物を手がけた作品です。物語そのものは宮崎駿監督によるオリジナルのフィクションですが、零戦こと零式艦上戦闘機の設計者・堀越二郎さんと同時代に生きた文学者・堀辰雄さんという二人の実在の人物をモチーフに両者それぞれのエピソードを織り交ぜた物語となっています。宮崎駿監督の飛行機好きは有名で造詣もかなり深いそうで、鈴木プロデューサーの発案で宮崎駿監督の好きな事を題材にしようということから、子供たちにとってはちょっと難しいかなと思えるこれまでの宮崎駿作品とは異なるテーマ、あえて明確な答えを求めず社会の矛盾をそのまま映し出すような内容にしたんだとか。

二郎が全身全霊を注いで開発した飛行機は世界的な飛行史にも刻まれる名機とされていますが、戦争兵器としての零戦はとても悲しい宿命を背負わされてしまいます。でも、この映画で宮崎駿監督が描いたのはそんな安っぽい感傷ごとではなく、矛盾を抱えつつも幼い頃からの夢である飛行機作りの夢を実現させようとした人物の純粋なロマンなんですよね。この現代社会でも矛盾を感じることはいくらでもあって白黒ハッキリさせるほうが少ないのかもしれませんけど、その矛盾に折り合いをつけながらも懸命に夢に向かって生きることの素晴らしさを痛感しました。二郎と菜穂子の恋物語にしてもそうですけど、あの純愛と儚さも宮崎駿監督らしいロマンチズムですよね。少年時代の宮崎駿監督が思いを馳せ心に描き続けてきたがぎっしりと詰まった作品だと思いました。

風立ちぬ堀辰雄さんの小説「風立ちぬ」は最初の予告編が流れ始めた頃に本屋さんで平積みになっていたので思わず購入して読みましたが、読んでいるとすぐに宮崎駿監督が描く情景が浮かんできました。「風立ちぬ」は主人公の"私"と結核を患った婚約者の節子の物語です。節子のモデルは堀辰雄さんの実在の婚約者でサナトリウムで二人で過ごした日々が叙情的に綴られていきます。つまり"私"は堀辰雄さん自身であり、この『風立ちぬ』では主人公・堀越二郎に"私"の姿を重ねながら描いていくのです。そしてその主人公・堀越二郎にはきっと宮崎駿監督が自分自身を投影されていたのではないでしょうか?もしかして菜穂子は宮崎駿監督の理想の女性像なんてことも思ったりしましたが、それにしても菜穂子のラストシーンは号泣モノでした(感)。

その菜穂子の声を演じた瀧本美織さん、思いのほか上手で素敵でしたね。声にほどよい情感がこもっていてとても自然に菜穂子に感情移入していくことが出来ました。そして、CMにも登場する監督の愛弟子の庵野秀明さん。まぁたしかに技術的には微妙でしたけど、とても味わいのある声でそれが堀越二郎という人物像に立体的なリアルさを与え心に強く印象づけた気がします。

コレ、絶対もう一度観に行きたいですッ。

ところで、シベリアなんてお菓子があったんですね。いったい何だろうと思ってググってみたら同じこと思った人も多いらしくすぐにヒット(笑)。wikipediaにしっかり解説が載ってて羊羹もしくは小豆餡子をカステラでサンドしたもので「発祥地から考案者、名称由来、食品分類に至るまで未だ正式な解明がなされていない謎の菓子」なんだそうです。

コレもぜひ食べてみたいッ(笑)。


感動度★★★★★



風立ちぬ 』2013.7.23 (初見)
風立ちぬ (再鑑賞)』2013.7.31 (再鑑賞)