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そして父になる奇跡』の是枝裕和監督が福山雅治さんを主演に6年間育ててきた愛する息子が実は病院で取り違えられた他人の子どもだったという事実をつきつけられた二組の家族の姿を家族の愛と絆を描いた作品です。実際に自分が同じ立場だったらどう行動しどう決断するのか深く考えさせられそうで、とても興味深く期待していた作品です。

出演はその他に、尾野真千子、真木よう子、リリー・フランキー、二宮慶多、横升、中村ゆり、高橋和也、田中哲司、井浦新、風吹ジュン、國村隼、樹木希林、夏八木勲

監督:是枝裕和

+++ちょいあらすじ
大手建設会社のエリート社員の野々宮良多は妻のみどりと6歳になる息子・慶多と都会の高層マンションで何不自由ない生活を送っていた。そんなある日、みどりが慶多を出産した群馬の病院から大切な話があるとの連絡が。慶多は病院で取り違えられた他人の子だというのだ・・・
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是枝節全開のお見事な作品でした。本編前にカンヌ映画祭での様子が上映されまして、何だか感動を押し売りされてるみたいで若干イラっとしましたけど(笑)、本編に入ったらそんなことすっかり忘れて物語に引き込まれてしまいました。いい作品なんですからそんな余計なことしなくてもいいのにね。

物語のあらましは大量の宣伝によって説明不要かと思いますが、病院で子供を取り違えられてしまった二組の家族に纏わるお話です。昭和のはじめならともかく、今時分に何故?と思ったらまたとんでもない事実が判明してビックリ仰天。しかも私がお気に入りの中村ゆりさんがその当事者を演じてるなんて、是枝さんのセンスがまた素晴らしいのなんの。ピエール滝さんがその後ろにいたのはちょっと笑ってしまいましたけど。

この取り違えられた両家が絵に描いたように真逆な家庭環境であることが物語を一層興味深くしていくわけですが、福山雅治さんと尾野真千子さん演じる良多とみどりの夫婦は都会の高層マンションで暮らすいわゆるホワイトカラー。息子の慶多は教育パパな良多の意向でお受験で私立の小学校へ進学。一方の斎木家は父親の雄大が群馬で小さな電気屋さんを営み家族6人で暮らすがさつだけど大らかな家庭で母親のゆかりはさながら肝っ玉母さんといった感じです。

取り違えが判明した両家族は子供を交換する前提での準備として交流を重ねていくのですが、子供の遊び相手が得意な雄大に慶多がすぐに馴染むのに対して、良多と琉晴の関係はなかなか心が通いません。斎木家では三兄妹だったのに野々宮家では一人っ子になってしまうのですから淋しいのは当然ですよね。しかしその最たる原因はブライドが高くエリート人生を歩んできた良多自身にあるのは明らかで、良多は生まれて初めてとも言える大きな壁にぶち当たり苦悩葛藤していくのです。

サスペンス・ドラマとは全く異なる緊張感、息苦しさ、重苦しさに、時に押しつぶされそうになりながらも、きっと明るい光が射してくるはずと信じて疑わず最後まで見届けることが出来ました。それにしてもとても深くて重い悩ましいテーマでしたね。きっとこれが絶対に正しいなんて答えはなくてその時その時でベターだと思える判断を下していくしかないのでしょうね。6年間育ててきた愛する子供が実は病院での取り違えで他人の子供だったなんて親としては相当のショックでしょうけど、子供はその親よりももっと深く傷つき戸惑い苦しむことでしょう。この物語は野々宮家、それも福山雅治さん演じる父親・良多を中心に描かれていきますが、慶多と琉晴の胸中を思うととてもいたたまれない気持ちになってしまいました。

この映画を観てああすればこうすればと言うのは容易いことですけど現実に当事者となったらそんなのみんな綺麗事でしかないのかもしれませんよね。血の繋がりなんかないペットだって家族同然となるのですから、それが人の子となればなおさら深い絆で結ばれて当然ですよね。家族というのは決して書類によって繋がっているわけではないのですから。

どうやら良多自身があまり父親からの愛情を受けずに育ったことが終盤になってわかってきます。愛情を時間をかけてかけてじっくりと育てていくこと。そのことにようやく気づいた良多は本当の意味での父親としての一歩を踏み出し始めたのかもしれませんね。

その後、両家族がどんな人生を歩んでいくことになるのかわかりませんが、慶多と琉晴がそれぞれ自分には楽しい幸せな家族が二つもあるって思えるようになってくれたら幸せかもしれませんね。

ところでラストの良多が慶多に語りかけるシーンって予告編で使わないでおいたほうがもっと感動出来たように思うんですけど?


父親度★★★★☆

<TOHO CINEMAS One Month Free Passport 14>

そして父になる』2013.9.24(初見)
そして父になる』2013. 10.3(再鑑賞)