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プンサンケ01劇場公開時は観そびれてしまい、録画しておいたものをようやく鑑賞することができました。鬼才キム・ギドクが製作と脚本を担当しキム・ギドク作品で助監督を務めた経験のあるチョン・ジェホンが監督を務めたこの作品は韓国と北朝鮮が抱え続ける深い問題を背景に軍事境界線を行き来して物資を運ぶある男の姿を描いていく物語です。主演は『ビースティ・ボーイズ』のユン・ゲサンと『美人図』のキム・ミンソン改めキム・ギュリです。

出演はその他に、キム・ギュリ、キム・ジョンス、ハン・ギジュン、チェ・ムソン、ユ・ハボク、ペ・ヨングン、キム・ジョンソク、チョ・ジェリョン、イ・ナクチュン、キム・ヨンフン
監督:チョン・ジェホン

+++ちょいあらすじ
朝鮮半島を南北に分断する軍事境界線を行き来して物資を運ぶ謎の男がいた。男はあらゆるものを3時間以内に配達する。ある時、男は韓国に亡命した北朝鮮元高官の恋人であるイノクを連れてきてほしいという依頼を受け、すぐに北朝鮮へと向かった・・・
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プンサンケ02ユン・ゲサンの寡黙でワイルドタフガイなキャラクターはこれまでの作品とは大きなギャップでかなり衝撃を受けてしまいました。とても観応えがあって面白かったです。

いわゆる南北モノで脱北者というこれまたお馴染みの要素で描く作品ですが、キム・ギドクが製作と脚本を担当していているだけはあって、物語の視点や切り口はこれまでのものとはちょっと異質な感じがしました。作風は違いますが所々でキム・ギドクのスピリットが感じられますよね。特にクライマックスでの主人公の復讐手段はキム・ギドクワールドと言っていいんじゃないでしょうか。実際には一人であの人数をあの短時間で拉致してくるのは不可能じゃないかと思うのですが、そこはキム・ギドクファンタジーってことでヨシとしておきましょう。なんて都合のいい解釈(笑)。

物語の主人公は軍事境界線を行き来して物資や人を運ぶ謎の男です。ホントにいったいあなた何者なんですか?というくらいに超人的な仕事をやってのけてしまうのですが、劇中では南の人間なのか北の人間なのか一切明かされることなくその正体はベールに包まれたままでした。

男は主に離散家族の手紙や遺品、時には人も運び、依頼から3時間ほどで配達してしまうという凄腕の持ち主。ある日、韓国に亡命した北朝鮮元高官の恋人であるイノクを連れて来てほしいと依頼された男はすぐに北朝鮮に潜入しイノクを連れ戻ってきます。その道中で命の危険をくぐり抜けて来た二人はお互いに少し特別な感情を抱くに至るのでした。しかし、その依頼をしたのは元高官から重要情報を引き出したい韓国の国家情報院の人間で男はその場で逮捕されてしまいます。

愛する恋人と再会した喜びも束の間、資本主義社会に染まり堕落したように横柄で高慢になってしまった元高官に幻滅したイノクはすぐに北への帰国を願います。そこで国家情報院は男に北朝鮮に捕らえられた情報員を救出してくれればイノクと共に第三国へ出国させるというのです。男は取引に応じてすぐに情報員救出するのですが、またしても国家情報院に諮られることに。その一方で北朝鮮の工作員たちが反動分子である元高官の命を狙って行動を開始していくのです。

これはある意味、スパイ映画と言っても良さそうな感じでしたね。実際、主人公はスパイではないと思うんですけど映画史に名立たる超一流のスパイに匹敵するスキルの持ち主です。でもスパイ映画としては決して洗練されてなくて泥臭く人間くさいところがこの作品の魅力と言えるでしょうね。もちろん、魅力はそれだけじゃなくて主人公とイノクの恋模様も純朴で素敵なんですよね。それだけにイノクの最後はやるせなくて憤ることマックスに。

南とか北とアメリカとアカとか思想なんてものは人間の尊厳に比べたらどうでもいいことで、比べること自体が間違っているのかもしれません。主人公が全く喋らない理由はわかりませんが、南か北かの質問に答えなかったのはそれが全く無意味だということなんじゃないでしょうか。クライマックスで国家情報院と北の工作員たちを対決させるシークエンスはブラックユーモア的でちょっと笑ってしまいましたけど、このセンス好きですよ。そしてこの場面にこそ男の答えが託されていたように思うし、同じ民族同士がいがみ合い争うことのバカバカしさを風刺していたようにも感じるのでした。


堪能度★★★★