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愛の渦第50回岸田國士戯曲賞に輝いた三浦大輔さんによる舞台劇を三浦大輔さんが自らメガホンをとって映画化した作品です。このキャスティングにも惹かれましたが何より劇場予告編のインパクトにこれは観てみたいと思ったんですよね。

出演はその他に、新井浩文、滝藤賢一、三津谷葉子、中村映里子、駒木根隆介、赤澤セリ、柄本時生、信江勇、窪塚洋介、田中哲司
監督:三浦大輔

+++ちょいあらすじ
都心のマンションの一室に集まった8人の男女。そこではこれからとある風俗店が開催する乱交パーティが始まろうとしていた。店長が一通りの説明を終えて退室すると、その場にはしばらくぎこちない空気が漂うがやがて少しずつ会話が交わされていき・・・
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若者よ、青春とは切なくてほろ苦いものなのよ、

淫靡な雰囲気を放ちながらも所々で笑いが巻き起こるというR18+指定にしては不思議な味わいのする作品でしたね。なかなか面白かったです。

物語はとあるマンションの一室を舞台に乱交パーティを楽しむために集まった8人の男女の姿をえがいていきます。乱交は風俗店が営業として行なっているもので、8人の男女は見ず知らずの他人同士。よって誰とするかしないかは個人の意思に任されており、最初はみな不安と緊張と警戒心でいっぱいですが、一組みのカップルが成立し口火を切ると他の男女もあとに続き、身体を重ねていくと心も打ち解けていくのです。

いかにも元は舞台劇って感じのするワンシチュエーションとセリフのテンポや間合い、そして手持ちカメラの揺れ具合が微妙な緊張感がこのなんとも奇妙な空気感を作り出していくのでしょうね。登場人物たちのそれぞれの素性は後半に簡単に触れてきますが、それぞれの名前は一切明かされないままで、具体的な人物像というのは演じる役者さんたちによって形作られているといっていいでしょう。そこで、この個性的なキャストの魅力がこの物語の中で異彩を放っていくのです。

全員がセックスがしたいという欲望を抱いてこの場に集ったものの、苦しみや葛藤を抱えその捌け口や救いを求めている者もいたりして、たんなる性行為に感情が伴っていくことで6人の男女の間に様々な思いが交錯しだし、彼らの本質が浮き彫りになっていくのです。

主要キャストたちがちゃんとした服を着ていない時間がこんなにも長い作品も珍しいでしょうね(笑)。R18+といってもスゴク官能的だったり、過激だったりするわけじゃありません。欲望を満たすだけのセックスはとても動物的にも映るのですが、それゆえにニート青年が地味な女子大生へ抱き始める感情というのがリアルに感じられるのかもしれません。だからこそあのオチは秀逸だと思うのです。人生はそんな甘くないよってね(笑)。

予想外に後味にほろ苦さが残るブラックジョーク混じりな青春ムービーでした。


裸族度★★★★