バリックの音楽ひとりごと

クラシック音楽の音楽鑑賞をメインにした、音楽なんでも日記です

なんと下書きに残ったままアップしていませんでした・・・下書きのままなので「本日」になってます。実は9月1日です。

本日の演奏者
指揮:ヤツェク・カスプシク
ヴァイオリン:ギドン・クレーメル
チェロ:ギードレ・ディルヴァナウスカイテ

本日の曲目
ヴァインベルク:ポーランドのメロディ
フィリップ・グラス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 (日本初演)
ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」

本日の座席
東京芸術劇場 1階センター


今日の目玉は当然クレーメルという事でしたが、申し訳ありませんが「もう終わった人」という感じがしました。読響は微妙な演奏が求められる曲は苦手なのです。加えて独奏者2名の間でもそうでしたし、独奏者とオケのピッチの違いが気になりました。「まともな演奏だと違う曲だろうなあ」と思いつつ、訳の分からないまま終わりました。

ヴァインベルクの曲は短い曲でしたがかわいらしいきれいなメロディの曲で好きでした。その後の訳の分からないフィリップ・グラスとは対照的でした。訳がわからないというほどすごい音楽でもなかったでしたが・・・

今日の展覧会の絵は、オーソドクスと言えばそうですが、きわめて輝かしく鳴り響いた演奏でした。前回ここで聞いた演奏はヤルヴィとN響との演奏でした。その時の演奏は「爆演」であったと書きましたが、今日の演奏に比較するとやはり箱の中の爆演でした。今日の演奏は箱からはみ出した演奏であった事は間違いありません。あの曲においては、やはりトランペットが輝かしく鳴り響かないといけないのでしょう。N響も東フィルもトランペットは上手ですが、割と同じ音質で、硬く引き締まった音色を聞かせる人たちです。読響には辻本さんという東フィルから移ってきた人がトップを吹くこともあります。ソリッドで音程と音色の方向性が決まる人です。しかし読響の長谷川さんというのは音質が違っていて、非常に倍音の多いピーク感のない光る音色です。

N響の菊本さんの場合、カネが響くようなポイントからの音の立ち上がりとストレートな指向性ですが、長谷川さんの場合、どこから響いたかわからない立ち上がりと、ホールを包みこんでしまうそんな音です。長谷川さんの場合は、楽に音が出てしまうので、ピアノだとビブラートがかかったかかからないかわからない音になり、音の指向性があまりないです。ところがこれがフォルテシモになると、圧倒的な輝きと音量でオケ全部を包んでしまうのでした。

しかし、全体のアンサンブルはというと、N響の方が乱れが少なかったのだろうと思います。読響の場合、最後にジグゾーパズルを仕上げると額からはみ出して大きくあまりきれいに仕上がった感じはない。一方N響の場合は、きれいなジグゾーパズルで仕上がりがちゃんと小さな四角の額の中に納まる。という感じで、同じ曲を同じホールで、しかもほぼ同じ席で両方を聞いたのでよくわかりました。どちらがいいかは多分曲によりますねー。

指揮者のカスプシクの名前は初めて聞きました・・・と思います。が非常に一生懸命に、若い指揮者のような振り方で、運動能力の高い棒でした。結構うまく読響を統率していたのではないでしょうか。このような訳の分からないプログラムではなく古典のプログラムを聞きたいです。

次回の読響は・・・11月に「アッシジのフランチェスコ」ですか・・・。それより10月の新国立での「神々の黄昏」の方が興味が高いんですよねー。フランチェスコのチケットを処分してそっちに行くかもしれません。だいたい今月9月は3回も海外出張があって、10月以降もチケットを入手しても行けるとは限らないんですよねー。

本日の演奏者
指揮:チョン・ミョンフン
ピアノ:イム・ジュヒ

本日の演目
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番
  JシュトラウスII(ジョルジュ・シフラ編曲):トリッチ・トラッチ・ポルカ
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」

本日の座席
オーチャードホール、3階最前列

ベートーベンのソロを弾いたイム・ジュヒは、若干17歳という若さです。自分の席からはピアノの音がかなり聞こえるので、というか全体がかなりうるさく聞こえます。がそのせいか、あんまりニュアンスとか表情は感じられなかったのですが、すごく可能性のある人だと思いました。ミュンフンは、最終版の掛け合いになるところはジュヒの手の動きを観察しながら棒を振っていたのがわかりました。オケは非常に上手に伴奏していて、全体としてはかなりレベルの高い、よい演奏だと思いました。

ベートーベンのピアノ協奏曲というと、最近は3番しか聞かないですね。適度な長さと交響曲的な多彩さがあって受けるという事なんでしょうね。最近「皇帝」は全く聞かないですね。

アンコールのトリッチ・トラッチ・ポルカは「これなんだっけ?」というほどシュトラウスの曲とは違う局で、テーマだけ持ってきてピアノ演奏者のウルトラC度がわかるように変奏曲に仕立てたものでした。編曲したシフラという人はウィキるとハンガリーのピアニストらしいですね。面白く聞かせていただきました。若きピアニストの早引き能力の高さもよくわかりました。

さて「英雄」ですが、この「英雄」も最近よく演奏されます。
本日の演奏、正直うるさい演奏でした。ホルンがうるさい。座席は去年の5階席から変わりましたが、高橋氏のブラバンの様なトロンボーンフォルテのうるささは変わりませんでした。

ハルサイの時は確かにあの音色でいいのですが、古典はあれでは聞いていられない感じがします。ソロが「このやろー」的な暴力的な音質と音量です。2楽章と4楽章のホルン3本の雄叫びはあれでもよいでしょうし「英雄のホルンがガンガンに鳴らないと困る」という聴衆はいらっしゃるでしょうが、自分にはちょっといただけない感じで・・・熟成が必要な渋いボルドーが飲みたい時に、アルコール度数の高すぎる新世界の濃厚なカベルネ・ソーヴィニョンを味あわされた感じで、何とも後味が悪いというか、余韻のない感じでした。

東フィルは、特にミュンフンの時は、テンポとアタックがはっきりした硬質なデジタルの様な音が響きます。ミュンフンの演奏は全く感情の入る余地のないまさにCD音源の様な音ですね。2楽章は残念なほどあっさりしていました。演奏者がだいたいにして若く元気が良いのでそうなるのでしょうか。マーラーとかはいいのでしょう。マーラーと言えば、15日の「復活」は海外出張中でまたしても聞き逃しました。こればっかりは残念でしょうがないです。

次回の東フィルあプレトニョフのロシアプログラムですが、マティアス・ゲルネと重なっているので、どっちに行くかわかりません。

本日の演奏者
指揮: ファビオ・ルイージ
コンマス: 長原幸太

本日の曲目
R・シュトラウス: ドンファン
ハイドン: 交響曲 第82番
R・シュトラウス: 英雄の生涯

本日の座席:
東京芸術劇場一階後方左

ルイージが読響に登場するのは初めてで、それはそれは非常に高い興味をもっていきました。

ルイージ素晴らしい!
ほとんど国内オケしか行かない自分はN響とか小澤オケの演奏しか知りませんでしたが、こんなに情熱的な棒だったとは知りませんでした。フォルテシモは激情にあふれ、かと言ってピアノで歌わせるところは十分に一つ一つの楽器の音を際立させるような音楽で、絵画の小さな部分を殊更にしっかりとした描かせることで、曲全体を引き締まった絵として描き上げたかのようでした。ドンファンがあんなに「美しい歌だ」と思った事はありませんでした。やはりイタリア人指揮者です。

曲目の構成ですが、やはりシュトラウスはさすがに「交響詩」と呼ぶにふさわしい情景の音楽です。一方のハイドンは、音の組み合わせのための音楽でした。特に82番は、リピートを徹底的に繰り返すと、2楽章の変奏が長いうえに、3楽章のメヌエットはトリオもつまらないし長いのです。ドンファンの後だっただけに、メロディも割と単調なので、82番は情景ゼロの音楽というのを感じてしまいました。

ドンファンに関しては、最初から最後まで20分弱歌えるほどよく知っている曲です。演奏に関しては音の大きな室内楽的な響きがしました。ぎゃんぎゃんと鳴っているのにも関わらず何となくこじんまりと、透明感を重視した音楽でした。美しかったです。

英雄の生涯は何だかエンディングが「あれこんなだったっけ」とは思いつつも― オケのトゥッティの箇所がなく、ホルンとバイオリンの掛け合いからそのまま終わってしまいます― 何かしら、いろんな事があった、波乱万丈だった人生が「伴侶と共に」自然に閉じられました。演奏は勿論、この初版版の採用にもブラボーでした。

前回の読響の「英雄の生涯」は、3年かそこら前に、ホルンの山岸博さんの引退公演という事?で、ベートーベンの「英雄」とこの「英雄の生涯」の組み合わせだったのではないでしょうかね?まさに山岸さんの引退を飾るにふさわしい曲目が二つ並んでたわけでしたが・・・その時の英雄の生涯とは全く異なる演奏でした。演奏者の違いを並べてみます。あとの皆さんはほぼ同じです。
 指揮:  カンブルラン x ルイージ
 コンマス:  日下紗矢子 x 長原幸太
 ホルン:  山岸博 x 松坂隼
 トランペット;  長谷川潤 x 辻本憲一
 ホール:  サントリー x 東京芸術劇場

どちらも素晴らしいものでした。が、ここまで演奏者が異なると、最後の長い「英雄の完成と引退」の部分の表現が全く異なります。

前回の演奏の方が男性的でした。日下さんと山岸さんのソロ演奏は、堂々として逞しく一つ一つの音符が豊かで、フレーズも長く・・・カンブルランにも関わらす、音楽を聞かせる非常にドイツ的なものでした。一方本日の演奏は、より情景重視で、英雄と伴侶の「静かな」語りを見せたしなやかで繊細な演奏でした。この静かに終わる「英雄の生涯」を締めくくる演奏としては、ひょっとしてこちらが良いかな・・・と自分としては、非常に満足しました。

これにはルイージの統率も重要ですが、オールマイティなオケ演奏家がいなければ達成できなかった金字塔ではないかと思います。フォルテシモ、あまり統率が効かないでうるさいのは読響の特徴で、それはそれでよいとして・・・いやー、満足満足。

ルイージまた聞きたいです。


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