曲目
リーム:Ins Offene...(第2稿/日本初演)
ブルックナー:交響曲 第7番 ホ長調

演奏者
指揮:ローター・ツァグロゼク
コンマス:日下 紗矢子

ホール
サントリーホール(座席は1階中央ほど)


リームは初めて聴く曲です。 こういう曲は、定期会員にでもなっていない限りは絶対に聞かない曲です。特に現代曲ファンでもないので、、、ましかし現代曲ならではというか、編成と楽器配置が独特。バイオリンはステージ上にいないのですよ、まず。

サントリーホールにはステージ後方に客席とオルガンがありますが、その客席の一番奥の左右に1名づつ、日下さんと伝田さんが弾いているだけ。つまりバイオリンは2台のみ。ステージ上はというと・・・中央には誰も座らず、左右に分かれて、右側はビオラ、チェロ、ピッコロ(フルートなし)、クラリネット、ホルン、トロンボーン、打楽器の「カタマリその1」がおり、左にはベース、ハープ、ピアノ、チューバ、コントラファゴット、バスクラリネットそして打楽器の「カタマリその2」の配置。

トランペットは客席後方に配置されていて、打楽器が多分客席の左右と後方に配置されていました。
読響パンフレットには「3群に分けられた」と書いていますが、3群どころではない配置です。まあ配置からして意味不明の現代曲。しかしこういうあちこちから音が出てくる音楽なので当然音響効果を考えてはいます。「お、こっちからきた。今度はあっちからきた」と思いながら聞いておりました。

オケ向きの現代音楽は必ずと言っていいほどいろんな打楽器が入っていますが、この曲もそうでした。現代曲は打楽器を見ているに限ります。音楽そのものははっきり言ってメロディーなどない環境音楽なので・・・マラカス?ギロっていうのですかね、ギーギーやっていたりしました。

それから高音で半音も違わない音程でキーキーという弦楽器でもない音が鳴り響いていたので・・・はい、結構嫌な響き・・・何なのか気になりましたが、パンフレットには「アンティーク・シンバル」と書いてありますが、シンバルって何だよ?ってな感じ。かなり自分の位置からは見えづらかったですが、あれは打楽器奏者が何かを弦楽器用の弓でこすっていたと思います。左右両サイドにいた打楽器奏者がそれらしき事をやっていました。あれがアンティーク・シンバルだったかも知れません。客席の打楽器奏者もそれをやっていたんだと思います。

ウィキペディアを見ると、アンティーク・シンバルというのは小さいシンバルが並んでいて音程があるそうです・・・上に「半音も違わない」と書きましたが、その時は半音違いだったかもわかりません。この楽器は「春の祭典」とか「牧神・・・」「ラヴァルス」にも使われているそうです。知らなかった。

現代音楽では、楽器を元々意図された通りに使わないということもままありますが、チェロが弦ではなく何だか別のところを擦っていました。しかもソロで!吹き出しそうになりました。
ごちゃごちゃと書きましたが・・・まあいいや、という感じの後には何も残らない現代音楽でした。


さてブルックナー7番。
前回聞いた時はカンブルランの指揮で「金返せ!」と書いたのです。ことさらに透明感を出そうとして、かつアダージョのテンポが速すぎてブルックナーとは言い難い音楽でしたから、、、

ツァグロゼクの7番は、月とスッポン。無骨で偉大なブルックナーでした。スクロバチェフスキというブルックナー指揮者がいましたが、スクロバと比較してもより偉大なブルックナーでした。スクロバはもっとバランスを作っていました。ツァグロゼクの指揮では7番がとてつもない音楽になっていました。

いやあ嬉しかった。
40年前に初めてブロムシュテット指揮のドレスデンでこの曲を聞いて以来、今日のこの日まで感動した7番はなかったのです。

ブルックナーは大抵そういうものですが、この7番は特に1楽章と4楽章は楽章の中で音楽がことさらに分断されて散文的で無意味に不規則に軽いテーマが登場し、4楽章はコーダが短く突然終わるので欲求不満が溜まる曲です。しかし、遠慮ない飾らない、小細工しない無骨さで「コーダは元々ないんだこの曲は!綺麗でなくてもいいんだ!ホルンのスケールは聞こえなくてもいい!全員で燃えて!、バイオリンはもっと燃えて!」と、ガンガンと推しまくった7番は圧巻で終わりました。1楽章から3楽章までもその終楽章を期待させる演奏でした。ある意味読響にあった演奏でした。

ベスト演奏者は、読響に正式入団したばかりのホルン、ワグナー・チューバの矢野さん。彼は半年ぐらい前からステージに乗っていたのは知っていました。日橋さんに似ていたので最初は「あれ?日橋さんが3番を吹いてるのか?」と思った事もありましたが・・・今日はリームのホルンのトップと、ブルックナーではワグナーチューバのトップを吹いていました。リームも難曲で、それを吹きこなし、そして何よりワグナーチューバをあそこまで吹けている人は今までいなかったです。あの楽器は音が悪い上に音程が取りにくのですが、2楽章の葬送と4楽章のテーマのフレージングとハーモニーが素晴らしかった。ツァグロゼクが真っ先に彼を立たせたのは当然だったでしょう。金管だけでなく木管やベースからも彼のパフォーマンスを賞賛していたのがわかりました。ホルンはステージ左に、ワグナーチューバはステージ右に配置されていました。

ツァグロゼクに別のブルックナーもお願いしたい。