2018年4月20日
演奏者
指揮:カンブルラン
オケ:読響
コンマス:小森さん
曲目
アイヴス:ニューイングランドの3つの場所
マーラー:交響曲第9番
場所
サントリーホール(一階中央)
アイヴスはライブでは初めて聞く曲です。アメリカは身近ですが、アメリカの作曲家の音楽ってあまり聞く機会がないですね。まだ古典というかクラシックではないのか、あるいは演奏するには何かが足りない音楽なのか、、、アイヴスってかなり前に交響曲第3番を聞いて「まだ自分には早すぎ」と思って以来しばらく近づかなかった作曲家でした。
ニューイングランドというのは、どうでもいい事ではありますがアメリカの東北6州の事です。全体で自分が良く言っているミネソタ州と同じ大きさです。
この曲が作曲された1910年ごろのアメリカは「進歩主義時代」という時代に入っていて、腐敗の浄化とそれと一体化して進んだ禁酒法への前哨的な、一方で工業化の推進など激動の時代でした。この曲の作曲は、ニューイングランドが近代化まで推進したアメリカ建国に対して、コネチカット生まれのアイヴスが古き良き時代を懐かしむオマージュだったと思います。
そう思ってこの曲を聞くとこの曲の内容は良くわかります。懐かしみを感じさせる俗謡が多くあらわれてくる中で、工業化を表すような元気のよいマーチが現れ、かと思うとちぐはぐなスネアが奇妙なリズムを刻んで社会の混乱を映し出している、、、という曲の構成が良くわかります。アイヴスは結構世相を表す音楽が多いです。
スポティファイでも聞けますので、この読響の演奏を聞き逃した方はそちらを、、、
いやその読響が問題。というかカンブルランが問題。予め勉強していくと割とすんなり聞ける音楽ですが、前回も書いた通り、カンブルランは全部の音符を聞かせようとするので、難解な曲(さすがにアイヴスの初体験からx0年も経つとさほどでもないですが)は初めて聞く人にはやはり難解にしか響かないと思います。パンフレットに書いてあるような俗謡の音楽はどこに出てきたの?という事で終わったでしょう。
第2曲の「コネティカット州レディングのパトナム将軍の兵営」のマーチのノリの悪さは気に入りませんでした。打楽器は「社会の混乱」の模様なのですが、音楽が混乱していて「社会の混乱」までわからなかった。スネアは実は「シュッシュッポッポ」とかもやるんですが、、、、オルガンは第3曲の「ストックブリッジのフーサトニック川」で使われます。ベースやチューバと同じようにロングトーンだけじゃないところはちゃんと出てほしかったし。読響は現代曲はすっきりできないです。カンブルランのせいかな。
マーラーが当然メインです。9番というと若い頃何度も何度も聞いたものです。カラヤン/ベルリン・フィルでした。「箱」に入ったLPを買い、あ、まだ持っていると思いますね。いやはや何度も聞きました。9番に関しては、その演奏が染みついているので結構厳しく聞いてしまう癖があります。
しかし演奏全体は素晴らしかったです。
前回の読響の演奏は6年前で、指揮は尾高忠明でした。その時の演奏も良かった記憶がありますが、今回も良かったです。弦主体になる第4楽章は本当に素晴らしかった。
とは言っても通り言いたいことは結構あって、、、
マーラーはこの曲の演奏を聞かないで死んだようですが、彼の頭の中ではこの曲が鳴り続けていたのだと思います。変な比喩ですが、もし死の床でこの曲を最後まで聞いてしまうと死なないわけにはいかない感じはあります、この4楽章のエンディング。今日の演奏は最後はそんな風に締めくくってくれましたので、すべて「よし」でした。
ちなみに自分はラ・ヴァルスを聞きながら昇天したいです。楽しんで踊りまくった後に「コテ」っと。
サントリーホールの音響ですが、やはり1階と2階では下の方が低音が響くと思います。あと先週2階で気になった金属音がしませんでした。
演奏者
指揮:カンブルラン
オケ:読響
コンマス:小森さん
曲目
アイヴス:ニューイングランドの3つの場所
マーラー:交響曲第9番
場所
サントリーホール(一階中央)
アイヴスはライブでは初めて聞く曲です。アメリカは身近ですが、アメリカの作曲家の音楽ってあまり聞く機会がないですね。まだ古典というかクラシックではないのか、あるいは演奏するには何かが足りない音楽なのか、、、アイヴスってかなり前に交響曲第3番を聞いて「まだ自分には早すぎ」と思って以来しばらく近づかなかった作曲家でした。
ニューイングランドというのは、どうでもいい事ではありますがアメリカの東北6州の事です。全体で自分が良く言っているミネソタ州と同じ大きさです。
この曲が作曲された1910年ごろのアメリカは「進歩主義時代」という時代に入っていて、腐敗の浄化とそれと一体化して進んだ禁酒法への前哨的な、一方で工業化の推進など激動の時代でした。この曲の作曲は、ニューイングランドが近代化まで推進したアメリカ建国に対して、コネチカット生まれのアイヴスが古き良き時代を懐かしむオマージュだったと思います。
そう思ってこの曲を聞くとこの曲の内容は良くわかります。懐かしみを感じさせる俗謡が多くあらわれてくる中で、工業化を表すような元気のよいマーチが現れ、かと思うとちぐはぐなスネアが奇妙なリズムを刻んで社会の混乱を映し出している、、、という曲の構成が良くわかります。アイヴスは結構世相を表す音楽が多いです。
スポティファイでも聞けますので、この読響の演奏を聞き逃した方はそちらを、、、
いやその読響が問題。というかカンブルランが問題。予め勉強していくと割とすんなり聞ける音楽ですが、前回も書いた通り、カンブルランは全部の音符を聞かせようとするので、難解な曲(さすがにアイヴスの初体験からx0年も経つとさほどでもないですが)は初めて聞く人にはやはり難解にしか響かないと思います。パンフレットに書いてあるような俗謡の音楽はどこに出てきたの?という事で終わったでしょう。
第2曲の「コネティカット州レディングのパトナム将軍の兵営」のマーチのノリの悪さは気に入りませんでした。打楽器は「社会の混乱」の模様なのですが、音楽が混乱していて「社会の混乱」までわからなかった。スネアは実は「シュッシュッポッポ」とかもやるんですが、、、、オルガンは第3曲の「ストックブリッジのフーサトニック川」で使われます。ベースやチューバと同じようにロングトーンだけじゃないところはちゃんと出てほしかったし。読響は現代曲はすっきりできないです。カンブルランのせいかな。
マーラーが当然メインです。9番というと若い頃何度も何度も聞いたものです。カラヤン/ベルリン・フィルでした。「箱」に入ったLPを買い、あ、まだ持っていると思いますね。いやはや何度も聞きました。9番に関しては、その演奏が染みついているので結構厳しく聞いてしまう癖があります。
しかし演奏全体は素晴らしかったです。
前回の読響の演奏は6年前で、指揮は尾高忠明でした。その時の演奏も良かった記憶がありますが、今回も良かったです。弦主体になる第4楽章は本当に素晴らしかった。
とは言っても通り言いたいことは結構あって、、、
- 1楽章と4楽章のテンポは良かったです。しかし2楽章と3楽章はあんなに停滞する音楽では困る。3楽章のスケルツオ?ブルレスケ?に関しては、あのテンポで伝えたかった意図はわかるのです。4楽章のアダージョの第1テーマが3楽章に濃縮されて入っているというのを殊更聞かせたかったかな、と。かなり明確に聞かせてました。しかし後ろのめりのテンポじゃあ3楽章の快活さがなくてつまらない。
- 2楽章はテンポと関係ありますが、あんな重い音楽にしちゃって。もっと軽くやっていただきたかった。音をいちいち立てて聞いてると疲れますよね。それは4楽章まで取っておきたいのです。4楽章は音を全部聞いて体にしみこませたい。という音楽なんですから2楽章でやらないで。
- ホルンのゲシュトップの練習やり直してください。ゲシュトップとはビービーとやる演奏法の事です。「1楽章にはあんなにゲシュトップがたくさんあったんですね」って思わせちゃダメでしょ。緊張で音が上ずる件に関しては、はい、プロでもありますよね。それはいいのです。一方、松坂さんがトップでしたが、ほぼパーフェクトで素晴らしかったです。「それスラーでお願いします」って箇所は何かありましたがブラボーも結構でしましたし、たしかにそれに値する演奏でした。彼、最近太ってきているのが気になりますが。
マーラーはこの曲の演奏を聞かないで死んだようですが、彼の頭の中ではこの曲が鳴り続けていたのだと思います。変な比喩ですが、もし死の床でこの曲を最後まで聞いてしまうと死なないわけにはいかない感じはあります、この4楽章のエンディング。今日の演奏は最後はそんな風に締めくくってくれましたので、すべて「よし」でした。
ちなみに自分はラ・ヴァルスを聞きながら昇天したいです。楽しんで踊りまくった後に「コテ」っと。
サントリーホールの音響ですが、やはり1階と2階では下の方が低音が響くと思います。あと先週2階で気になった金属音がしませんでした。