2005年05月12日

遅くなりましたが

更新停止ということで。察してください。  
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2005年04月28日

QED 式の密室/高田崇史

QED式の密室
高田 崇史

講談社 2005-03
売り上げランキング : 18,069


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軽く読めるものを、と思って手に取った。文章とか量は薄かったが中身は薄くなかったな。歴史の謎と現代の殺人が融合、というよりは歴史の謎の添え物として現代の殺人がある感じ。どうしても気になる小説的な無茶さ(関係者のもとに、かれこれの友人という肩書きで突然現れて謎解きをおっぱじめたりするところとか)に眼をつぶればまあそれなり、かな。完成度はかなり高いんじゃないかと思う。  
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2005年04月24日

ファントムの夜明け/浦賀和宏

ファントムの夜明け
浦賀 和宏

幻冬舎 2005-03
売り上げランキング : 74,851


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浦賀久しぶりだなー。もうあんま記憶ないけど、同じ幻冬舎の「彼女は存在しない」と似た感触は、たしかに、した、と思う。サイコメトリーネタが開陳されるのが結構あとになってからなので、それまではもやのなかを延々とあるくような読書感でちょっとイラついたかもしれない。伏線などはきちんと過不足なくできていて上出来上出来、といった感じなのだが、むしろ切迫したような心理描写が本領なのだろうとは思う。あと文章が異様に読みやすかった。改行も多いし。  
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2005年04月23日

西城秀樹のおかげです/森奈津子

西城秀樹のおかげです
森 奈津子

早川書房 2004-11-09
売り上げランキング : 38,375

おすすめ平均
表紙に注目
硬派なSFファンからは一蹴されるだろう

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うははははは、きがくるっていて(ほめことば)おもしろすぎる何これ! 噂には聞いていたわけだがまさかここまでキていたとは! みたいな! いやみたいなって! ハイテンションで繰り出されるギャグとエロに翻弄されているあいだに計算ずくなのか超投げやりなのかぜーんぜーんわからないオチが眼前に! ぎゃあー。好きなのは会話で笑わせる「哀愁の女主人、情熱の女奴隷」とか「エロチカ79」あたり。文庫化で追加された「タタミ・マットとゲイシャ・ガール」はオチが陳腐で一段落ちる感じ。  
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2005年04月21日

食卓にビールを/小林めぐみ

食卓にビールを
小林 めぐみ

富士見書房 2004-08
売り上げランキング : 19,513

おすすめ平均
小林めぐみ調の軽〜いドタバタSF
暴走して、暴走して・・・

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女子高生で主婦な作家(これだけほとんど話に絡まない)が日常およびSFを謳歌する連作短篇集。いいよいいよー! おもしろい! すっとぼけた文体(「やあ」は口癖になりそうだ)と唐突に炸裂するSFガジェットの意味不明ぶりが楽しい。おもしろかったのは「ぱちぱち篇」と「メビウスの輪篇」、「宇宙ハウス篇」あたり。次巻以降はもうちょっと平和な話がいいなとか思わないでもない。ところで、ミステリじゃないミステリじゃないと云われているわけだが、「花嫁篇」の叙述トリックに普通にひっかったのはオレだけですかそうですか。  
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2005年04月19日

「回廊 第四号」


公式。恵久地健一「シーメール・クローニング」うむ。スマートなSFでよく出来ているとも思う。でも、個人的には対性クローンを作り出すことで性同一性障害を治療するするというのがいまいち納得できないのと、一部の固有名詞に違和感があった(「宇宙通貨」って適当すぎないか?)。秋山真琴「ULTIMATE TRUTH」何? ももんがさんレギュラー化? 遥彼方「午前二時の使者」「壁の向こう」に設定が似て……いやなんでもない! 上手ーい。上手すぎー。もうオレから何も云うことはない……わけではないのだー! すいませんこれ書いてるの午前三時四十二分。遥さんは擬態語の使い方が奇跡的に上手い。作品全体のイメージ喚起力の強さはこの辺に由来するのかなと思った。気になったところ。ところどころ言葉の使い方がゆるい。この作品では「セブンイレブン」のような固有名詞は使わずに抽象名詞に固定した方がいい。あと主人公が興味のないジャンルの評論を書いているという状況がよくわからないのでなんらかのエクスキューズはあったほうがいいと思った。断れよ。言村律広「THE BOOK」よくわからないんですけど、こういうのは禁じ手じゃないんですか? 丼原ザ★ボン「春を愛する人」個人的には「絵空」が好きかな。というか他に好きになれるのがない。全体的にJ-POPの詞の影響が強いのかなと感じる(違ってたらすいません)けど、どうにも単語の選択がゆるいというか、統一された言葉に対する美意識というのが感じられない。オレには。というか何箇所かギャグかと思った。橘紫陽「I LOVED HER」「彼女」の描写はもっとしつこくやってもよかった。たぶん意図的に淡白に書いていると思うのだけれど、こういう話なら執拗に書いたほうがいいと思う。ていこく「ゲーム製作講座 第四回」おお、実践的な話になってきましたね。質と同等に量を重視するというのはていこくさんが云うと説得力がある気が。ただ、フリーなんだから飾り付けを派手に、エキセントリックにやるのも一手だとは思う。最近のフリーゲームにはあまり詳しくないのだけれど、アンディー・メンテの一部作品やポーンさんの「海と必然のサイコロ」なんかはゲーム性と飾りつけがさっぱり関連してない例だと思うけど。あれー? もしかしてそんな話じゃないのか? 六門イサイ「覚醒する世界」これはどういう話なのか、何が云いたいのか(という類の話だと思うけど)よくわからない。すいません。 札斬蒼龍「USE YOUR ILLUSION II」まあ、そうですねえ。という同意。新庄四割は楽天百勝よりありえない気がするけど。 寝る。星野慎吾「川のほとりのパーバーション」え、あ、オチわかんねー……とりあえず「一応、彼女だよね……」という台詞が誤解されたっていう伏線はわかったけど……挿絵の伏線ってなんだろ……超自然とか妄想オチじゃないよな……。うあー。ミステリ者として決定的に終了orz。「聞いて、聞いて!」原案とありますが、まあ半分くらい元さんの文章です、これ。恵久地健一「天才論」ああいい、オレこれ結構好きだ。クトゥルーネタはわかんねーけど。一歩間違えればりゅーすいだなとかそんなことは思わないですよ!霧生康平「GRAND FINALE」今回の超短編ではこれが一番好きかな。恵久地健一「出版業界におけるDTPのアレ」へえ、という感心。こういうマメ知識的なエッセイというのもアリですな。星野慎吾「春はなんの季節でしょう。」内容はまあ、普通にいい感じだと思うんですが、これ、どうみても2度繰り返されてますよね?秋山真琴「TRAIN X TRAIN」秋山さん標準。ただなー、普通に小説できることをコンパクトにまとめただけの超短編に意味はあるのかな、と思わないでもない。六門イサイ「死線上の星」うーん、こういう話はよくわからない。地の文で「1.8m」は萎えるので括弧で囲うとかしたほうがいいと思った。「・」の使用も気になる。遥彼方「旧式ラジオ Vol.1」オレみたいに音楽の趣味の偏りがひどい人間にはいいコラムだと思いますよ。しかしよく沢田研二なんて知ってるね。六門イサイ「SOUL RECIPE」これは良く出来ていると思う。ただなんとなく質感が合わないな、という感じは漠然とするのだけど……。世界観にファンタジーを用いず、パラレルっぽい感じにしたのはどういう意図があるのだろう。踝祐吾「積読にいたる病」今回のオトナ担当。うむうむ、前どっかで云ったけどとにかく回廊は「若い」んですよ。こういう成熟は必要です。恵久地健一「CHEAP TRICK」(w。恵久地さんとは波長があうなー(勝手な思い込み)。六門イサイ「LIKE SCHRODINGER」あ、これはいい。訂正訂正、今回の超短編ベストはこっちだ。六門イサイ「SUNSET SONG」こっちはいまいちかな、ていうか、いちいち英題付ける必要あるのかわからない。霧生康平「はじまりのエトランジェ」ああうん、語り口は賛否両論ありそうだけど、最後まで読んでみるとまあこれはこれでいいんじゃないかという気がする。松本雅美「LONG COLOR」続きものなのでパス。……よーし!終わったぜ!

  
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積木の塔/鮎川哲也

積木の塔
鮎川 哲也

青樹社 1999-04
売り上げランキング : 349,034


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アリバイ崩しー。時刻表ー。とりあえず食わず嫌いは良くないと思ってぎっちり読んだですよ! 時刻表を見つめておきましたよ! おかげでトリックが理解できました! 革命だ! 妻を使った替え玉トリックあたりは結構良く出来ていて、その辺からいろいろな伏線が解かれていく手腕はさすがだなと思った。  
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2005年04月18日

撲殺天使ドクロちゃん(1)/桜瀬みつな・おかゆまさき

撲殺天使ドクロちゃん 1 (1)
おかゆ まさき

角川(メディアワークス) 2005-03-26
売り上げランキング : 360

おすすめ平均
グロテスクな描写を含みますが、怖くもなんともありません(笑)

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うがあ下手だ、確かに下手だ。だ が 俺 は 許 す 。
  
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工学部・水柿助教授の日常/森博嗣

工学部・水柿助教授の日常
森 博嗣

幻冬舎 2004-12
売り上げランキング : 9,402

おすすめ平均
実質はエッセイ?

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オレは森と友達になれないなというかそもそも向こうがなってくれませんの巻。読んでて確かに吹き出すところも結構あるんだけどさ、確かに。けど、なんというか、いろいろな事象にケチを付けすぎー。何度も続くといちいちうるさいな、という感じになってくる。「〜〜〜〜だと思う水柿君だ」っていうのはもういいんだ! 須摩子さんとのどうでもいい話がいちばん面白いのでそういうのがもっと読みたいと思った。
  
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2005年04月17日

ダブルオー・バック/稲見一良


ダブルオー・バック
稲見 一良

新潮社 1992-01
売り上げランキング :


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「斧」! それに尽きる。オレは基本的にへたれなのでほかの三作品で提示される「格好良い男」像にはいまいち共感できない(特に「アーリィタイムス・ドリーム」には引いた。いや途中までは良かったんだよ。けどさー)わけだが「斧」だけは別。格好良いよ親父さん!
  
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地獄変・偸盗/芥川龍之介

地獄変・偸盗
芥川 龍之介

新潮社 1968-11
売り上げランキング : 26,609

おすすめ平均
脱帽。
代表作を含む王朝ものの短編集
エゴイズムを多面的な視点で描く作品集

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大学の授業でなんとかかんとかとかいう理由で「藪の中」を読むために買って一応全部読んだわけだが「藪の中」よりも「偸盗」が面白くてわーいこれ面白いよ龍之介さん!とか思いながら解説とか読んだら芥川自身は自分の一番の悪作だと自嘲していたとか書いてあってがっかりだよ龍之介さん!まあそんなところに着地するのかよとは思ったが。「地獄変」はクライマックスの色彩の烈しいイメージに集約される。あとはまあいいや。「六の宮の姫君」読んだので北村でも読み直しますうむ。
  
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2005年04月14日

記憶/西谷史

記憶
西谷 史

角川書店 1999-12
売り上げランキング : 820,996


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あーどうしたもんかね、これ。とりあえずオレにはチープなB級オカルトホラーとしか思えなかった。まあこの分野にはあまりというかまったく詳しくないのでほんとうはどうかはわからんが。あとは特に書くこともないな……。インカと信長の関係が!とか云われても!  
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2005年04月11日

夏のロケット/川端裕人

夏のロケット
川端 裕人

文芸春秋 2002-05
売り上げランキング : 29,686

おすすめ平均
ロケットは火星へ
夢を忘れない大人たち
わたしを火星に連れて行って!

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まあ面白い。面白いけどさー……。お前ら他人に迷惑かけすぎだー。夢のせいにするなー。もう途中から完全に周りが見えなくなってるよな、この人たち。「夢を追いかける人たち>>>(越えられない壁)>>>現実を優先する人たち」という脳内図式が読んでて鼻につくようになってきた。例えば、タヌキ部長の扱いをもうちょっと良くする(エピローグでちょっと良いことを云う、とかさ)とか、もうちょっとなんとかなかったの。  
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家族の行方/矢口敦子

家族の行方
矢口 敦子

東京創元社 2002-06
売り上げランキング : 497,729


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ホモが嫌いな女子なんていません、ということですか……。でまー、鮎川賞にたまにあるサスペンスタイプのミステリ。なんだか急に主人公が関係者と寝たり前述みたいな展開になったりとかどうも女性作家特有の臭みがあって面食らうが、それさえ乗り越えればそこそこ緊張感のある話なので面白く読める。家族っていうのはベタだけど普遍的なテーマだし。真相はどうも伏線が足りない感じだけど意外性がそれなりにあっていい、と思ったけど、エピローグ……これ、どの関係も上手く続くとはとても思えないのだが……。実はバッドエンドなんじゃねえの、これ……。
  
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2005年04月08日

シャーロック・ホームズの冒険/コナン・ドイル

シャーロック・ホームズの冒険
コナン・ドイル

新潮社 1953-03
売り上げランキング : 29,200

おすすめ平均
ホームズシリーズ定番の一冊
シャーロック・ホームズ入門書
訳が

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言い訳しない。読まずにミステリサイトとかやってました。でもあれだねー、今こうやって読んでみると狭義のミステリというか本格ではない作品も多いね。アンフェアというか、手 がかりがきちんと提示されてないとか。だからこれはやはりホームズの機知とか会話であるとかを愉しむという意味でキャラ小説ということになるのかもしれんね。いや、面白かったよ。  
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2005年04月04日

インディヴィジュアル・プロジェクション/阿部和重

インディヴィジュアル・プロジェクション
阿部 和重

新潮社 2000-06
売り上げランキング : 18,984

おすすめ平均
インディヴィジュアル・プロジェクション
阿部小説に関心ある人必読
情報、暴力、そして内省

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なんだか凄いドンパチがあるのかと思って身構えながら読んでいたので肩透かし食らったような気がしたぜ! 読みながらまたこの手の話かと思いうんざりしながら読み終えたのだが、解説を読むとそんなに単純な話でもないらしい。まあ知るか。今日は調子悪いのでこの程度の文章で。  
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岬/中上健次

中上 健次

文藝春秋 1978-01
売り上げランキング : 23,915

おすすめ平均
岬の孕む力
知性の力
どうして苦労して読まなくてはいけないの

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いやー読みづらかった。疲れた。全然違うジャンルだけど、なんとなくエルロイを想起した。情念で書かれた小説というか。えーと……あとはもう特に書くことないや。とりあえずこの人たちに共感することはないだろうな、と。
  
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2005年03月30日

闇匣/黒田研二


闇匣
黒田 研二

講談社 2002-12
売り上げランキング : 522,424

おすすめ平均
ファーストシーンが良い小説

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けったくそ気分わりーなんだこれ。というので済ましてしまいたいが、そういうことはしないと決めたのでしない。冷静になって振り返ってみるとミステリとしてはかなり上等な出来で、最小限の描写でよく練っているのがわかる。限られた(密室本だからね)枚数でとにかく騙しにかかってるという姿勢自体は嫌いじゃなかった。昔は。なんで気分が優れないというのに(それは個人的な事情では?)こんなチープな悪意パレードに付き合わなくてはいけないのか。ああ気分悪い。  
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前後不覚殺人事件/都筑道夫

前後不覚殺人事件
都筑 道夫

光文社 1989-09
売り上げランキング :


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なんとなく捕獲して読んだ。紅子(森博嗣じゃねーぞ)シリーズの三作目で、これまでのシリーズの語り部であるところの紅子がいないので、ほかのレギュラーが交替で代わりに事件を記している、という趣向(ちゃんと文体を変えている)なのだけれど、なにしろほかのシリーズを読んでないので別になんとも思えない。そういうのを抜かしてミステリとして読むと、なんだか犯人がえらく唐突な印象が残る。伏線はあるけど論理がなーい、みたいな。まあ文庫書き下ろしだし、軽く読むことを目的にしてるのかもしれんね。キャラは上手いこと立たせてるし(その割にはおっさん臭いエロ味があったりするけど)。まあ、面白かったと云っていいんじゃない。
  
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2005年03月28日

「ヘリオテロリズム Vol.2」

内容に触れている部分ダルビッシュ有。先入観なしで読みたい場合は読まないのが無難かも。ここ三澤未来「MESSAGE」今回のベスト。「20」もそうだったし、トップバッターと相性が良いのかね、オレ。一点の曇りもない「いい話」で、かつ今回のミステリ特集でもっとも謎解き色が強い。とかく「いい話」を書くというのは大変で、どっかで「ひっかかるところ」があればそれは一転して後味の悪い話となりかねない。そういう意味で、完璧。小田牧央「アブラクサスの狭間」初読ではなんだか全然わからなくてちょうどその時来た作者の人に訊いてやっと話の仕組みがわかった。で……それを踏まえて読み直すと……やっぱりわかりづらい。粗筋のところに「語りの省略」って書いてあるのけど省略しすぎーってそういう話じゃないですかそうですか。「OUTSIDERS」くどいようですが実在の人物とは何の関係も(略)ていうか変なHNだよなー。もうそろそろ変えようか、これ。近田鳶迩「きゃべたまたんてい はらぺこライオンじけん」そもそもオリジナルを読んでいないのでなんともいえないことこのうえないのだけれど、ミステリとしては結構良い出来。まあ途中である程度ネタが割れるのは仕方がないかもしれない。いづる「愛なき世界」えらそうだけど――大分小説を書くことに慣れてきた感じがする。荒削り、というと一面的な書き方だけど、「ドラウナーズ」で透けて見えかねなかった「小説を書いている作者の姿」が、見えなくなってきた、というか。ある種異様な描写でしつこく構築されてきた作品世界が、最後の仕掛けの開陳でもって人工的に見え、魅力を失ってしまうような気がするのは仕方のないところだろうか。結局「ああ、そういうことだったのね」ということになってしまう。根子「密閉教室考・改」「密閉教室」読んだのもう2年半くらい前かな。ちょっとひっかかったのは予備校にも寮はあるということだけど、まあ別にたいした問題ではないし、あとは作品への熱意が伝わる良い論考だったと思う。松本楽志「宇宙探偵ザイザー7の事件簿 セピアブルー過去発掘場第三ゲート 第一回」まだ導入部なのでなんともいえないけれど、キャラ立ちもしてるし、読んでて楽しい。引きも巧いしね。丼原ザ★ボン「君は僕に語りかける(上)」おもしろーい! 巧くなってきたー!(失礼ですよ)いやでも本当巧くなってきた。#2から読み続けてきた甲斐があったというものですよ! これは期待できるよ! 期待できる! 粛々と(下)を待ちたいと思いますなんか変なテンションだな!秋山真琴「メタ探偵の溜息 前篇」前篇なのでなんともー。これはあれですか、ループ話?曽良圭「輪唱ラブソング(二)」なんだか雲行きが怪しくなってきた。期待と不安を脳内でぐちゃぐちゃしながら続きを待ちたいと思うしだい。あれかな、ここにいたって(一)のラストがじわじわと効いてきた感じ。結局ああなるんだからなあ……。高橋百三「春・土手」ほのぼのとした短めのいい話。ああだからこういうのが好きなんだよオレはー。書くのは違うけど。ダメじゃん。素晴城路安「07082045 [性愛の発見]」うあー、なんだこれ……書きようによってはいくらでも普通に切ないすれ違いになりそうなプロットにわけのわからないガジェットを突っ込んだおかげですごく奇妙な感触の小説になってるように感じられた。なんというか、すげーシュール……。とりあえず誰かそこでこう突っ込めよという。読んでるこっちもなんだかうろたえてる間にいい感じで終わってしまうという。うへー。鈴木知友「みつけ鳥」今回の裏ベスト。うー。あー。もう小説なんか書くの止めてひきこもりたくなってきた。何これ。凄いよ。要するにイノセンスの暴走話……というかなんというか……なんだけど、普通に始まって普通に展開していたはずなのになんだか、そこで描かれるイノセンスに翳がさしてきて……なんだかおかしくなってきたな、大丈夫か、と読み手が思い始めるときにはもう手遅れになっていて破局へと一直線。その手際が、もう、残酷で鋭利で、あーもう……ずるいよ。ずるい。しばらくこの言葉は使わないようにしようと思ってたんだけどね。傑作。  
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