2010年02月21日

領土問題に危機意識を!! −我が国の主権意識の希薄さを危惧する− 

 去る2月7日は「北方領土の日」、そして来る2月22日は「竹島の日」である。ロシアは北方領土(北方四島・南樺太・千島列島)を、韓国は竹島を、約半世紀以上にわたって不法占拠し続けているが、我が国の歴代政府はそれを奪還しようとの意志もなく、またあろうことか北方領土に関しては「2島返還」で済ませようとの、姑息な手段を講じる状態が今もって続いている。

 日本ではあまり報道されていないが、平成20(2008)年5月、マレーシアとシンガポールが領有権を主張していたペドラ・ブランカ島の帰属問題が、国際司法裁判所で一応の決着をみた。
 ペドラ・ブランカ島の領有権はそもそもマレーシアが主張していた。しかし、シンガポールは130年前から同島のホースバー灯台を管理しており、それに対してマレーシアは何の申し立てもしていなかった。このため暗黙のうちに領有権が移転したと、シンガポールは主張していた。
 今回、国際司法裁判所は「1980年までにペドラ・ブランカ島の領有権はシンガポールに移転されていたとみなし、同国に帰属する」との判断を下した。
 国際司法裁判所の判断は、誰の目にも明らかな条約に基づかない限り、「発見」や「歴史」に由来する主権は退けられ、「長期にわたる」継続的な実効支配や統治、管理の証拠の積み上げが重視されることを意味する。不法に占拠しているといえども、何事もなく半世紀から1世紀の間、実効支配すれば自国領土になるということを国際司法裁判所が示したのである。この判例に従えば、いずれ近い将来に北方領土はロシアに、竹島は韓国に帰属が確定してしまうであろう。

 去る1月29日、国後島沖付近で日本の漁船2隻がロシア国境警備隊のヘリコプターから、計20カ所にわたる銃撃を受けた。一歩間違えれば人命に関わる大問題であり、到底看過することなどできない。
 通常、継続的に国境侵犯を繰り返さない限り、こうした銃撃を直ちに船舶に向かってすることはない。警告を発して退去を促すか、照明弾を使って威嚇するかのどちらかだ。ところが政府の抗議に対してロシア国境警備局の高官は、「日本側は民間の船への武器使用は非人道的だとしているが、われわれはロシアの法に従い、誰にも手加減することはない」と述べ、国境侵犯と判断した船舶に今後も武器使用を継続すると言明した。
 加えて我が国の第1管区海上保安本部(小樽)は2月10日、位置情報を発信する衛星通信漁船管理システム(VMS)を作動させなかったとして、道海面漁業調整規則違反(制限条件違反)の疑いで銃撃を受けた船長2人を逮捕、自宅を家宅捜索した。逮捕容疑は、国後島沖でロシア側に「協力費」を支払って北方四島海域に入る「安全操業」の際、同規則で常時作動が義務づけられているVMSを作動させなかったというのがそれである。
 この第1管区海上保安本部の対処を見ていると、いかにも非は我が国漁船にあるように国民は感じるであろう。船体めがけて20発以上もの銃撃を繰り返したロシア側の行為は、あたかも妥当な行為のように国民の目にはうつってしまう。
 確かに船長2名にも非はあったであろう。しかしそれは国内的な問題であり、海保はあくまで我が国民の人命を守るための処置を対外的に講じていくのが本来の任務ではないのか?まずは20発もの銃撃を仕掛けてきたロシア国境警備隊に対して、報復とまではいかなくとも何らかのアピールをすることが先決ではないのか?

 4年前の平成18年8月、根室湾中部漁協所属のカニかご漁「第31吉進丸」が北方領土・歯舞諸島の貝殻島付近の海域でロシア国境警備艇に銃撃、拿捕される事件が起こった。乗組員4人のうち1人が死亡、漁船と乗組員は国後島に連行され、長期間にわたる拘束を受けた。この時も政府は何ら有効な処置を取ることができずに、ロシア側を増長させるだけで終わっている。結果が今回の騒動だ。
 海上保安庁によれば、平成6(1994)年以降平成18(2006)年まで、ロシア側に拿捕された日本漁船は54隻、503人、このうち17隻が銃撃を受け、11人が負傷しているという。一体政府は自国民の生命をどのように思っているのか?強い憤りを感じざるを得ない。

 そもそも北方四島を含めた、千島列島・南樺太のいわゆる北方領土は、昭和20(1945)年8月9日、ソ連が「日ソ中立条約」を一方的に破棄して侵略・占領したものである。それだけではない。日本が同月15日に「ポツダム宣言」を受諾して、戦争状態が終結したにもかかわらずソ連は北方領土への攻撃をやめなかった。北方四島が占領されたのは、8月28日から9月5日にかけてである。
 昭和26(1951)年9月、我が国はサンフランシスコ講和条約を締結し、翌4月28日に日本は主権を回復し独立を果たすが、この条約では南樺太と千島列島の放棄を余儀なくされた。ただし、この千島列島に北方四島は含まれていない。しかも、ソ連はこの講和条約に参加していないので、ソ連が南樺太と千島列島を支配する権利は有していない。つまり、今もって南樺太と千島列島の帰属先は、国際法上未確定なのである。
 さらに忘れてならないのは、ソ連が領土不拡大の原則を謳った「大西洋憲章」に参加していることだ。しかも、日本が受諾したポツダム宣言はカイロ宣言の履行も謳っており、カイロ宣言では「日本が奪取した地域を返還させる」となっているが、千島列島も南樺太も条約に基づいて日本領となったものであり、「奪取」した領土ではない。日本の地図帳で、南樺太と千島列島が白抜きになっているのはそうした背景があるからであり、現在でも日本は北方四島に加えて、千島列島と南樺太もロシアに返還を求める権利を本来有しているのである。
 
 もう一つの竹島の問題はどうか。竹島問題はサンフランシスコ講和条約発効の3ヶ月前、昭和27(1952)年1月18日に李承晩韓国大統領が火事場泥棒の如く、海洋主権宣言「李承晩ライン」を一方的に公海上に引いたことから始まる。この時、日本政府だけでなく米国、英国、中華民国も韓国に対し抗議したが、韓国は聞く耳を持たなかった。
 日本政府は昭和29(1954)年、紛争の平和的解決のために国際司法裁判所への提訴を提案する。もし韓国側に正当な自国領土という自信があるなら国際司法裁判所で決着を付けるべきだが、韓国政府が集めた資料でさえデタラメという現状から、国際法廷の場から未だに逃げ続けている。平成18(2006)年4月18日には、遂に国連に、国際裁判所に持ち込まれることを防ぐための宣言書を提出したことが同月20日に明らかとなっている。
 ただ、韓国は軍を駐留させたり、住民を募集したりして、着々と実効支配を強めてきている。このままでいくと、万が一国際司法裁判所への提訴が実現したとしても、先述のペドラ・ブランカ島のように、領有権が韓国に移ったと見なされるかもしれない。恐らくそれが韓国のねらいであろう。
 しかも韓国は最近、対馬の領有権も強く主張し始めてきており、対馬の不動産物件が韓国資本に買い漁られるという事件が多発している。こんな時に『外国人参政権法案』を成立させてみよ!!永住外国人である韓国人が大量に対馬に移住してきたら、対馬市議会はあっという間に「親韓国派」に乗っ取られてしまい、早晩、対馬は事実上の韓国領となってしまうだろう。

 このように領土問題は、直接的に国家主権の問題に関わる、非常に重大なものなのだ。ところが我が国の歴代政府は、外国との軋轢だけを恐れて目先の苟安を貪るばかりで、領土問題に対しても例の如く、事勿れ主義に終始してきた。そして国民もこれらの事実を全く知らずに、自己の「生活第一」で国家的な問題に対して目を背けたままである。悲しいことに、国家主権に対する危機意識が、国民にも政治家にも決定的に欠如しているのが今の我が国の現状だ。
 ドイツの法学者イェリングは自著『権利のための闘争』の中で、「隣国によって一平方マイルの領土を奪われながら膺懲の挙にでない国は、その他の領土も奪われ、遂には領土を全く失い、国家として存立することをやめてしまうであろう。そうした国民に生存の権利などない」と述べている。
 不法行為に対しては、時には強硬手段に訴えてでも、常に抗議し続けなければならない。国家主権が脅かされ、侵されている状態を看過していてはならない。自国の領土問題に対して無関心を決め込む行為は、祖国を地球上から消し去る「罪」であるということを、我々国民一人一人が認識する必要があるだろう。
 このイェリングが述べている状態が、現実の問題として我が祖国に降りかかってこないことを願わずにはいられない。

bassokukou at 12:42コメント(5)トラックバック(0)政治・経済  

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コメント一覧

1. Posted by 竹心真   2010年02月21日 13:52
5 いつもながら、大変興味深く 一、日本国民として深く考えさせられる記事を有難うございます。

「大和民族の精神」が弱体化の一途を辿るその日本国民の波動は、その国を仕切る政府にまで及んでしまっているのですね。

日本は、土壇場に追い詰められるまで目が醒めないのだろうか‥ いや、それどころか追い詰められて目を醒ませ得るのだれうか・・・

日々何気なく過ごしている様々な日常の水面下に、弱体化政策が自由の仮面を被り潜んでいる事に、どれだけの国民が気付いているだろうか・・・

このままでは「臆病な平和主義」のツケが、必ず戻ってくることであろう。


我等が 限りなく日本を愛する 憂国の同志は、仇である弱体化政策に対抗し得るような 『日本民族強靭化策』なる、起死回生の一撃策を考案していくべきではないだろうか。

何やら夢のような話にも聞こえるかもしれないが、夢で終わらせてはならない程、日本民族は危機に直面しているといっても過言ではない・・・。

2. Posted by 栖多武 厘   2010年02月21日 15:13
5 こんにちは。私もいつも、菊池さんの記事によって驚いたり、気付かされたりすることが度々ですが、今回はぞっとしました。まさに『日本人総難民化』の危機と言ってもいいのではないでしょうか。
 今の日本人は「茹で蛙」になっています。平和惚けして、平和そのものもだけれども、享受している全ての恩恵、サービスが自然発生して、何もしなくてもそこにあり続けるものと信じて疑っていないと思います。仮に、「維持する努力が必要」とうすうす気付いてはいても、民主主義の名の下に培われた利己主義のために自分が努力すべき当人の一人とは考えていない…
 前途は多難ですが、竹心さんの考えておられることも夢に終わらせてはなりません!自分も大それたことはできませんが、まずは周りの人、殊に普段接する機会の多い年少者に対して折に触れ、身の周りの全てが当たり前でないことを説いていきたいと考えています。
3. Posted by 菊池たけき   2010年02月21日 20:07
5 竹心 真 さん

>我等が 限りなく日本を愛する 憂国の同志は、仇である>弱体化政策に対抗し得るような 『日本民族強靭化策』な>る、起死回生の一撃策を考案していくべきではないだろ>うか。

まさに『日本民族強靱化策』が今こそ必要だと私も思います。では、どうすべきか?それに対する解答は難しいですが、迂遠なようだけれどもやはりまずは自己を修めてそれを他に及ぼし、少しでも同志を広げていくことだと思います。共に『日本民族強靱化策』に努めていければと思っています。

栖多武 厘  さん

迂遠なようですけれども、厘さんのように、周りに伝え同志を広げていくことが大事だと思います。私も今はまだまだ何もできていないのが現状ですが、少しでも祖国のために尽くせる自分になりたいと思っています。
4. Posted by 竹心真   2010年02月22日 10:16
5 >自己を修めてそれを他に及ぼし、少しでも同志を広げていくこと‥

この抜本塞源考の中でも、幾度となく語られているような「偉人」が出てくるくらい、国民各々が価値ある自己を修めなければなりませんね。

先陣、諸先輩達が 正しく大きく国を動かしてきた様に、今、この現代の日本歴史に 強いリーダーシップとカリスマ性を持ち合わせた人物が登場する事‥願ってやみません。
また私達も、強い影響力を より幅広く及ぼし得るよう、精進していきましょうぞ。
5. Posted by 菊池たけき   2010年02月23日 19:14
5 竹心真 さん

急進的な、一足飛びの対応というのは、いつかどこかで歪みが出てくるような気がします。もちろん、そう言ってはいられないときもあるのでしょうが、その時は国家が本当に危殆に瀕した時なのだと私は思います。
竹心さんの仰るとおり、先人たちを見習って精進していきましょう。迂遠な方法だとは思いますが、その中からきっと「偉人」が輩出されていくはずです。我々もそれを目指さないといけないと思います。精進あるのみですね。

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