BATTLE BABES HC

エロイ恰好をしたお姉ちゃんが、怪物やら、エイリアンやら、ゾンビやらと戦う映画やアメコミを中心に、きわめてニッチなレビューとか情報を発信していきます。よろしくね。

第27回ピンク大賞授賞式レポ

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地味ながら力強く

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2015年5月5日、上野オークラ劇場において、第27回ピンク大賞授賞式が開催された。
これは、2014年に公開されたピンク映画の中から最も優秀だった作品、女優、監督、脚本等に贈られる、いわばピンク映画のアカデミー賞だ。

今回受賞したのは、

最優秀作品賞 『欲望に狂った愛獣たち』
優秀作品賞   『背徳の海 情炎に溺れ』
『新人巨乳 はさんで三発!』

監督賞 竹洞哲也『背徳の海 情炎に溺れて』
脚本賞 小松公典『背徳の海 情炎に溺れて』
主演女優賞 友田彩也香『背徳の海 情炎に溺れて』
助演女優賞 里見瑤子『欲望に狂った愛獣たち』
新人女優賞 きみの歩美『どスケベ坊主の絶倫生活』
         めぐり『新人巨乳 はさんで三発』
男優賞 森羅万象『背徳の海 情炎に溺れて』
技術賞 飯岡聖英(撮影)『女子トイレ エッチな密室』

という顔ぶれ。


前々回の第25回からピンク映画専門誌「PG」と上野オークラ劇場の共催という形になったピンク大賞は、それまでの最低鑑賞本数という制限を廃止し、投票資格の門戸を開放したのだけれど、これが「上野オークラで舞台挨拶をした女優の作品だけを観た女優ファンの組織票」というデメリットを生み出した。
一部のピンク映画関係者やファンからは、この点が厳しく批判され、今回からは、「5本以上鑑賞」という最低鑑賞本数が投票資格として設けられた。
ということで、今回102人の投票をもとに、各賞が決定したというわけだ。
個人的な感想を言えば、納得。
これからのピンク映画をリードしていくべき監督、女優、脚本家たちが受賞したという印象だ。

そんな第27回ピンク大賞授賞式を写真でご紹介。
ピンク大賞の授賞式と言えば、各賞を受賞した女優たちが次々と登壇するという華やかなイメージなのだけれど、今回は、主演女優賞の友田彩也香、新人女優賞のめぐり、きみの歩美が不在ということで、イベント的には地味な感じになってしまった。
まあ、その分、あの脚本家がおいしいところをかっさらっていく結果になったのだけれど(笑)


ピンク大賞の楽しみといえば、日ごろ表舞台には出てこない監督やスタッフの方、男優たちに会えること。会場ロビーで話しかけると、気さくに応じてくれる。
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『欲望に狂った愛獣たち』が見事、最優秀作品賞となった山内大輔監督&『いんらんな女神たち』の江尻監督

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『背徳の海』で脚本賞受賞の小松公典&ミスターピンクこと池島ゆたか監督


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昨年までピンク大賞でプレゼンターを務めてきた、番長 倖田李梨姐さん。今年は、観客としての参加。

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現在のピンク映画を代表する俳優と言えばこの方。なかみつせいじさん!男優賞の常連でもあるなかみつさんだけど、今回は受賞を逃してしまいました。でも、俺的には『どスケベ坊主の絶倫生活』のコメディアンっぷりは、かなりツボでした!(笑)

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撮影監督として技術賞を受賞された飯岡聖英キャメラマン。


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左から、『新人巨乳』監督の加藤義一さん、同じく脚本の城定秀夫さん、竹洞組作品の音楽でおなじみの與語一平さん、そしてなかみつせいじさん。

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東京電撃映画祭でもおなじみの、エロVシネを代表する俳優 森羅万象さん!遂に、ピンク大賞男優賞を受賞!おめでとうございます!

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森羅万象さん&川瀬陽太さん!


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評論家 切通理作さんも観客としてお見えになった。切通さんといえば、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』『本多猪四郎 無冠の巨匠』など、特撮系の著書が有名だけど、ピンク映画のコアなファンであり、よき理解者なのだ。ついでに言えば、我が東京電撃映画祭の叔父貴分でもあります(笑)

そして、いよいよ授賞式が始まった。

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左からプレゼンターの和田光沙さん、星野ゆずさん、司会の松島さん、コメンテイターの池島ゆたか監督


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新人賞 めぐりさんはヴィデオレターで登場。


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受賞者不在のエア表彰式(笑)


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技術賞は飯岡キャメラマン


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男優賞は森羅万象さん!


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『湯けむり温泉芸者 お座敷で枕芸』(2015)で夫婦役を演じた和田さんと森羅さんのトーク。


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1998年にピンク映画デヴューし、現在ではピンク映画を代表する女優の一人である里見瑶子さん。助演女優賞、おめでとうございます!

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主演女優賞の友田彩也香さんも不在のため、ヴィデオレターでで参戦。ピンク映画に対する愛情と、倖田李梨さんへのリスペクトが込められた、心強いメッセージだった。

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そんな、倖田李梨姐さんは、今回は観客&カメラマンとして参加。舞台に上がる予定はなかったはずなんだが・・・。

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花道をパイプいすを振り上げながら登場したこの男!脚本賞の小松公典!


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事態の収拾のために、舞台に呼び上げられる倖田李梨さん(笑)。しっかりと、カメラマンとしての役割も果たしています(笑)

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で、結局こうなる(笑)


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監督賞は、竹洞哲也監督


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優秀作品賞『新人巨乳』チーム登場。右から、なかみつさん、和田さん、津田篤さん、脚本の城定さん、加藤監督、川瀬さん、番長

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「自分の脚本を監督がつまらなくした」と、いつもの城定節が炸裂。


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加藤監督の「城定さんに認めてもらえるようにがんばります」という弁に、場内爆笑。

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続く、川瀬さん、


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李梨さん、


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そして、なかみつさんまでもが、「城定さんに認めてもらえるように、がんばります」(笑)


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そのころ、舞台下では、誰も要求していない開脚ポーズを勝手にやらかしたうえ、それを写真に撮れと強要する脚本家がいました(笑)

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優秀作品賞『背徳の海』チーム


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最優秀作品賞『欲望に狂った愛獣たち』チーム。左から、山内大輔監督、里見瑶子さん、サーモン鮭山さん、田宮健彦キャメラマン、津田篤さん、本作でプロデューサーを務めた加藤義一監督。

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山内監督と盟友 サーモン鮭山さん。山内監督の監督デヴュー作に出演するときに、サーモン鮭山と名乗るようになったそうだ。まだ、お二人とも20代の若さだったとか。ピンク映画のバイプレーヤーと知られるサーモンさんは中村公彦名義で『恋のプロトタイプ』などの監督作もある才人。近日、サーモン鮭山名義の監督作『101回目のベッド・イン』が公開される。(脚本は当方ボーカルこと、小松公典。主演は、バブリーなセクシーユニット ベッド・イン!)

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山内組の撮影といえば、田宮キャメラマン。山内監督の描く救いのない世界観を、詩情あふれる映像でスクリーンに定着させる手腕は見事としか言いようがない。
実は田宮キャメラマンは、友松組『レイプゾンビ』全作、『マッチ売りの殺人少女』『尼寺』などの作品、藤原組『女囚701号 さそり外伝』などの、東京電撃映画祭で上映した作品も多く手がけられている。っていうか、東京電撃で一番多くの作品が上映された撮影監督じゃないかな(笑)。
というわけなので、東京電撃映画祭周辺のボンクラは、今後も、田宮さんの仕事に要注目だ!!


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最近では珍しいAV出身ではないピンク女優として大注目の和田光沙さんは、山内組作品では助監督としても活躍している。

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各賞の発表も終わり、そろそろお開きかと思われた時、花道から突然現れたのは、、、朝倉ことみさん!正月に公開された山内組『痴漢電車 悶絶!裏夢いじり』で鮮烈ピンクデビューした彼女の登場に、場内も大盛り上がり!

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朝倉さんは、夏公開予定の山内監督作品にも主演している。ということで、その新作の特別映像が上映された。なんと、今回は石垣島でロケを決行したという、ピンク映画的には超大作!!(笑)
益々、山内大輔からは目が離せない!!


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夏公開の新作で共演する、森羅万象さん、朝倉ことみさん、川瀬陽太さん。この顔触れに期待は高まる。


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そして、もう一つビッグニュースが発表された。8月には、山内組『痴漢電車 悶絶!裏夢いじり』と、竹洞組『誘惑遊女の貝遊び』が、それぞれ『犯る男』、『誘惑遊女~ソラとシド~』と改題、R15作品として再編集されてテアトル新宿で一般作品として公開されるのだ。
このことは、朝倉さんも知らされていなかったらしく、コメントを求められても頭が真っ白になって言葉が出てこなかったそうだ(笑)
この新たなピンク映画の試み、ぜひとも成功してほしいものだ。


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最後に、PG代表の林田さんからのあいさつ。林田さんは、昨年、自主制作ピンク『色道四十八手 たからぶね』をプロデュースし、OPピンクとは一味違うピンク映画の在り方を提示して見せてくれた。残念ながら、ピンク大賞での受賞には至らなかったが、私にとっては、非常に印象深い作品だった。

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朝倉さんと川瀬のアニキのツーショット!


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今年もまた、山内組が旋風を起こしそうな予感がします!



※本記事に掲載した写真は、すべてBATTLEBABESが撮影したものです。

『いちは(仮)』とは何か

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東京電撃映画祭第一回プロデュース作品!!

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あなたは、倉沢いちはという名の女優をご存じだろうか。
おそらく、その名を知っているのは、一部ののディープなAVマニアか、ピンク映画ファン、そして電撃映画祭を愛してくれている全国30人くらいの心優しきボンクラ達くらいだろう。
もしかすると、現役・元AV女優を中心とした演劇ユニット「VIVID COLOR」の舞台で、彼女の芝居を観た方もおられるかもしれない。

倉沢いちは、またの名を菅野いちは。
彼女は2012年にデヴューしたAV女優だ。
また、2013年には、竹洞哲也監督作品『美熟女 好きもの色情狂』でピンク映画デヴューを果たし、『挑発ウエイトレス おもてなしcafe』 (監督:竹洞哲也)、『どスケベ坊主の絶倫生活』(監督:関根和美)と出演を重ねてきた。
そして2013年から始まった、2人の映画監督 友松直之と石川二郎、そして2人のボンクラ 電撃チャックと私が主催する映画イベント「東京電撃映画祭」においては、観客が注文した飲み物や食事を運ぶ半裸給仕ことサンダーボルトガールズとして、第一回の開催から、現在まで一度も休むことなく参戦し、もうすっかり東京電撃映画祭の顔として、ボンクラたちに愛されてきた。
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そんな彼女が、2015年4月をもって引退するという。
そういえば、東京電撃映画祭で世話になっているにもかかわらず、友松直之は一本もいちはを自分の作品に起用していないじゃないか!
じゃあ、東京電撃映画祭プロデュース作品として撮ればいいじゃん!
と、そんなわけで制作されたのが、『いちは(仮)』である。

言い出しっぺの私としては、いちは主演のエロVシネみたいなのを考えていたのだけれど、友松直之といちはの間で、「いちは」という女優のドキュメンタリーを作りたいということになった。
タイトルは『いちは(仮)』。
長い人生のうちの2年間を「いちは」という名で過ごした、一人の女性の物語。
それを友松直之がどう描くのか、どう切り取るのか。それこそがこの作品の最大の見どころだ。
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出来上がった作品は、友松直之というフィルターを通して、「いちは」という虚像を演じた女性の内面を解体していく作業が、インタヴュー、再現イメージ等を交えて、スリリングに展開されていく。
ある時は残酷に、ある時は笑いのネタとしてシニカルに語られる「いちは」の物語。
しかし、その根底には、友松直之の資質である80年代少女漫画的リリシズムと愛が流れている。
まさに、『いちは(仮)』は友松直之という映画作家にしか作ることのできないドキュメンタリーだ。

本作品は、いちはを愛するボンクラたちのカンパ(一口5000円)によって制作され、出資した彼らだけが2015年3月28日土曜日の深夜12時から、阿佐ヶ谷ロフトAで開催される第八回東京電撃映画祭において観ることができる。
まさに一度きりの上映。
こんな贅沢な映画が、今まであったろうか。

なお、出資に間に合わなかった方には、当日カンパという形で、5000円を払っていただければ、本作品を鑑賞していただけるようになっている。ってか、要は、入場料5000円って、ことじゃん(笑)

阿佐ヶ谷ロフトAのホームページ
http://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/31581

そんな『いちは(仮)』の製作にかかわったスタッフ・キャストを紹介したい。

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友松直之&黒木歩

まずは監督の友松直之。
『レイプゾンビ』サーガでボンクラ界隈では知らないものがいない、日本エクストリーム映画界の異端児。
そして共同監督に黒木歩。
以前は宮村恋という名で活躍していたAV女優であり、ピンク映画・Vシネでも活躍中の彼女は、AV監督やミュージシャンとしての顔も持っている。今回は、撮影監督、メーク担当、音楽監督としても参加。彼女とKohによるポップロックバンド KARAふるが、エンディングテーマ曲『Hannelore~小さな勇者の話』を提供している。
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電撃映画祭の常連であり、自身も「MY悪趣味映画劇場」というブログを主催しているさらむいみ氏は、ミュージシャンとしての顔も持っており、『いちは』という曲を作ってくれた。この曲は、挿入歌として使用させていただいた。
『いちは』@YouTube
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さらむいみ氏


編集は、友松作品に欠かせない名手 西村絵美。『レイプゾンビ』サーガでもおなじみの怒涛のモンタージュは今回も健在。

出演は、倉沢いちは、ももは、衣緒菜。
倉沢いちはは、今回が最初で最後の友松作品への出演となる。
ももはは、『レイプゾンビ4&5』で新人類アキラ役を演じ、強烈な印象を残した。
衣緒菜は『レイプゾンビ2&3』でスクリーンデヴュー後、ピンク映画、OVA、夫である田代尚也監督作品などで活躍中。
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倉沢いちは

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いちは&ももは

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いちは&衣緒菜


そんな『いちは(仮)』ではあるが、関わっているスタッフ・キャストのキャリアにはびた一文プラスにはならない。
なぜなら、一般公開されることなく、一回きりの上映だけで終わってしまう映画だからだ。
出資してくれた、たった40人のために上映される作品は、決して、世間の注目を集めることもなく、幻の作品になってしまうだろう。映画に携わる者たちにとって、自分たちの作品が一般に公開されないという前提は、キャリアに何のメリットもない。
なのに、『いちは(仮』に関わった友松、黒木両監督をはじめとするスタッフ・キャストは、いつもの自分たちのクオリティーを落とすことなく、プロとして徹底的にこだわって現場に挑んだ。
それは、なぜか。
こたえはひとつ。
たった2年だったけれど、同じ時間を共有した仲間に最後の言葉を伝えたい。ただそれだけのことだ。

願わくば、いちはに、その言葉が届きますように。

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俺的2014ピンク映画重大ニュース

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不安と希望の年

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ピンク映画製作会社に就職した映画好き女子のてんやわんやを描く『新人巨乳 はさんで三発』の舞台挨拶でのめぐり。大蔵映画のセルフパロディともいえる本作が、フィルムピンク最後の年である2014年に制作され、そして公開されたことは象徴的だ。

1 ピンク映画、フィルムによる制作を終了

2014年はピンク映画にとって大きな変革の年だった。
近年の映画館のシネコン化は、加速度的に映画をフィルムからデジタルに変えていった。
その中で、唯一、フィルムで撮影され、フィルムで上映されている商業映画が、ピンク映画だったのだ。
しかしそのピンク映画も、2012年に富士フィルムが映画用の35ミリフィルムの生産を終了した時点で、大きな転換期を迎えることになった。
ピンク映画を制作しているのは、現在、大蔵映画、新東宝、エクセスの三社。
エクセス、新東宝は現在2社合わせて年間3本程度の新作しか制作しておらず、すでにデジタル化に切り替えを行っていたのだが、ピンク映画の牙城 大蔵映画だけはフィルムにこだわり続けてきた。
2014年の9月までは、富士フィルムのストックフィルム、コダックの35ミリフィルムによって、大蔵映画作品の製作は続けられてきた。作品としては、12月に公開されるピンク映画最長老監督 小川欣也による『女子大生レズ 暴姦の罠』が、フィルム作品として上映される最後のピンク映画となる。
1962年、小林悟監督の大蔵映画作品『肉体の市場』によって始まったとされるピンク映画であるが、52年目にして、ついにデジタル撮影に切り替わることになった。

ファンの中には、フィルム撮影によるピンク映画の時代が終わることを感傷をもって受け止めている方も多いと思うけれど、私は、そういう感傷にとらわれてはいない。
フィルムの時代が終わっても、ピンク映画は終わらなかった。
2015年も、毎月、新作ピンクを観ることができる。
それこそが重要なのではないか。


関連記事:http://blog.livedoor.jp/battlebabes/archives/68198436.html



2 新たな監督たちの台頭

1月に公開されたOP作品『いんらんな女神たち』は、金沢勇大、中川大資、矢野泰寛、江尻大の4人の監督が、4人の女優を起用してそれぞれ撮った4つのストーリーで構成された、最近のピンク映画では珍しいオムニバス作品だった。
彼らは、全員がピンク映画の助監督として活躍しており、本作品がピンク映画監督デビュー作となる。
5月には、永井吾一、小山悟が友田彩也香をそれぞれ主演にして撮ったオムニバス『いんらんな女神たち 目覚め』も公開された。
永井と小山もまた、ピンク映画の助監督である。
つまり、この2作で、今年は6人の新人監督がデビューしたことになる。
大蔵映画では、レギュラーの監督が年間2~4本を撮影するローテーションというのが、これまでのパターンだった。
これらベテラン勢に加え、新たな才能を育てることがピンク映画のこれからに必要な課題であることは間違いない。
また、これまでエクセスで『色恋沙汰貞子の冒険』『スナック桃子 同衾の宿』などの暗黒鬼畜作品を発表してきた山内大輔が大蔵映画のレギュラー陣に加わったというのもうれしいニュースだった。
山内の参加によって、これまで大蔵映画ではご法度とされてきたバイオレンスやスプラッター描写への制限が、緩やかになっていくことは想像に難くない。
その証拠に、山内組初の大蔵作品『欲望に狂った愛獣たち』では、顔面欠損や切り株描写が登場し、今後の大蔵ピンクの表現の変化に期待が膨らむ。
こうした新たな人材の登用や、いわゆる大蔵コードといわれる表現規制の雪解けは、ピンク映画のデジタル化が大きく関わっているといっていいだろう。当然、今後大蔵映画は、CS放送やネット上でのオンデマンド配信などにこれまで以上に積極的に参戦していくだろうし、そのためにはピンク映画になじみのない一般ユーザーにも受け入れられる作品を送り出す必要があるからだ。
しかし、ここで、大きな疑問が首をもたげる。
はたして、デジタル化されたピンク映画と、エロVシネはどこが違うのか?

そう、もはやピンク映画とエロVシネの違いは、映画館で上映されているか否かだけとなってしまった。
この状況をピンク映画生き残りの活路とするか否かは、現在、事実上唯一のピンク映画製作会社となっている大蔵映画の経営手腕にかかっている。
ピンク映画デジタル化元年である2015年は、作り手側、制作会社にとって、正念場であることは疑いがない。



3 池島ゆたか監督、自主制作による一般映画『おやじ男優Z』を公開

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俳優として30年以上活躍し、監督として127本の作品を送り出してきた、ピンク映画の申し子 池島ゆたか監督が、初の自主制作による一般作品『おやじ男優Z』を公開したのも大きな話題だった。
本作品は2013年の9月に撮影され、2014年2月のゆうばりファンタスティック映画祭で上映。残念ながら、コンペ部門での上映ではなかったが、一般に全く知られていない大ベテラン監督の「一般映画処女作」は好評をもって迎えられた。その後、11月にはユーロスペースでのレイトショウを皮切りに、大阪、名古屋と、地道な上映を重ねている。
脱サラして始めたスナックに失敗し、妻子に去られたダメ中年が、AV業界でも最底辺の存在といわれる汁男優になり、そこで出会った仲間たちとの悲喜こもごもを描いた本作。縛師 有末剛の短編小説を池島作品には欠かせない脚本家 五代暁子が脚色し、撮影監督には志賀葉一、音楽に大場一魅。主演のなかみつせいじ、牧村耕次、竹本泰志をはじめとするキャスト陣には、世志男、那波隆史、津田篤、久保田泰也、倖田李梨、日高ゆりあ、吉行由実など、現在のピンク映画を名実ともに支えている役者たちが総出演。
私も本作品には、スチールキャメラマンの一人として現場に参加させていただいたが、現場応援やエキストラとして、田中康文、佐藤吏、森山茂雄、国沢実などの監督たち、池島組の歴代の助監督たちが勢ぞろいしているさまは壮観だった。
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手前右から池島監督、志賀キャメラマン、なかみつせいじ、坂ノ上朝美

池島ゆたかは、このような制作環境を最大限に生かし、ピンク映画監督らしさを随所に残しながら、泣いて笑える人情喜劇を作り上げた。
『おやじ男優Z』は、まさに、ピンク映画界の総力を挙げて作り上げられた一般映画といっても過言ではないだろう。
さらに特筆すべきは、本作の製作費をピンク映画ファン2名が出資しているということだ。
多くのピンク映画人、ファンの熱い思いが込められた本作品であるが、なぜ、本作を大蔵映画がバックアップしないのか、自社劇場で公開しないのか、私には理解しかねる。
本作品は、ピンク映画というものを世間に認知させるのにうってつけであるにもかかわらず。
もし私が大蔵映画のマーケティング担当であれば、当然本作をピンク映画のファン層拡大、イメージアップの題材として、最大限に活用するだろう。
『おやじ男優Z』という作品は、ピンク映画人の熱い思いと実力を世間に見せつけたと同時に、ピンク映画の総本山である大蔵映画が、ピンク映画への思い入れをびた1ミリも持ってはいないのではないかという不安を私に植え付けたのだった。

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『おやじ男優Z』演出中の池島ゆたか監督

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本作が初映画主演であり引退作となった坂ノ上朝美と助監督の田中康文




4 自主ピンク映画『色道四十八手 たからぶね』公開

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『色道四十八手 たからぶね』もまた、自主製作されたピンク映画だ。
2013年に亡くなられたピンク映画の巨匠 渡辺護の原案を井川耕一郎が脚本化し監督を務めた。
渡辺監督作品の脚本家である井川にとって、本作が監督として初の商業映画となる。
撮影監督を『おやじ男優Z』の志賀葉一が担当。
プロデュースは、林田義行と太田耕転キ。
林田さんはピンク映画専門誌「PG」の主宰として、また太田さんは関西を拠点としたミニコミ「ぴんくりんく」の主催としてピンク映画ファンにとっては知らないものがいない偉大な存在。
林田さんは、毎年恒例のピンク映画のアカデミー賞「ピンク大賞」を30年近くも開催しているし、太田さんもこれまで自主ピンク映画をプロデュースしたりと、お二人とも活字以外でもピンク映画を盛り上げる活動を長年やってこられた偉大な先達である。
彼らが、ピンク映画50年を記念して制作した『色道四十八手 たからぶね』。
主演は、2010年代を代表するピンク女優といっても過言ではない愛田奈々。
共演には、なかみつせいじ、岡田智広、佐々木麻由子、ほたる、野村貴浩。
ほたるは、葉月蛍として1990年代を代表する女優の一人であり、佐々木麻由子もまた2000年代を代表する女優の一人だ。それぞれの時代を代表する女優として、彼女たちがキャスティングされたことは感慨深い。

物語は、「たからぶね」という言葉に導かれるように繰り広げられる男女の愛憎劇。それが、いつしかあの世とこの世が交わる不思議な展開となっていく。土着的マジックリアリズムとでも呼べばいいだろうか。
私は、鈴木清順の『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』を観たときと同じような感触を得た。

『おやじ男優Z』と『色道四十八手 たからぶね』という2本の自主制作映画が、我々ピンク映画ファンや、制作関係者に投げかけるもの。受け止め方はいろいろあるだろうが、私にはこう言われているように思える。
「お前ら、四の五の理屈並べてないで、動けよ」、と。




5 倖田李梨、ピンク映画100本出演達成

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『新人巨乳 はさんで三発』舞台あいさつ後のサイン会での李梨さん

2005年に竹洞哲也監督作品『さびしい人妻 夜鳴く肉体』でピンク映画デビューした倖田李梨が、2014年、ピンク映画100本出演を果たした。
正確なところをご本人に確認したところ、制作順では竹洞組『背徳の海 情炎に溺れて』(9月公開)、公開順では加藤義一監督作品『新人巨乳挟んで三発!』(11月公開)だそう。
いずれも主演ではないけれど、ピンク映画の二番手女優として、演技とカラミで作品に奥行きを与える仕事をかっちりとこなしているのはさすが。
100本のどこが凄いの?という方もおられるかもしれないが、ピンク映画が年間200本近く制作されていた20年前ならいざ知らず、年々制作本数が減少(2014年は40本)してきたこの10年間で、クレジットされた作品が100本というのは至難の業だ。恐らく、これから先の10年間で、ピンク映画に100本出演できる女優は出てこないだろうと思われる。
本数もさることながら、私は、倖田李梨が、ここ数年果たしてきたピンク映画のフロントマンとしての功績も評価されるべきだと思う。今でこそ、毎月のように行われている上野オークラ劇場の舞台挨拶も、以前は正月興行やGWに開催されるOP祭りくらいのもので、倖田李梨が日ごろピンク映画館に行くことができない女性のために鑑賞ツアーを行ったり、様々な機会にピンク映画の話題を語るなどの伝道活動によって、はじめてピンク映画に出会ったファンも少なくない。
2011年、彼女が69本目の作品に出たころ、私のインタヴューに応じてくれ、最後にこう語ってくれた。
「(いつまでも)倖田李梨って脱いでもまだいけるじゃないかといわれるコンディションでいたいし、面白いと思える作品に出られる位置に居続けたいと思います。ああ、倖田、いい歳を重ねてるなと言われる存在でいたいですね。」
まさに、彼女はこの言葉通りの歳を重ね、そして今でもチャレンジャーであり続けている。

関連記事:Born to Play 倖田李梨インタヴュー


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5 愛田奈々の活躍

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『官能エロ実話 はめられた人妻』現場での愛田奈々

倖田李梨がピンク映画100本出演を果たす一方で、愛田奈々の活躍も見逃せなかった。
2012年に荒木太郎監督作品『美熟女の昼下がり もっと、みだらに』でピンク映画デビュー。以降、荒木組の看板女優として8作品に出演。2014年には、古巣の荒木組を初めて離れ、池島ゆたか監督作品『官能エロ実話  ハメられた人妻』、浜野佐知監督作品『僕のオッパイが発情した理由』、そして上述の『色道四十八手 たからぶね』と、活動の場を広げた。池島、浜野というベテラン監督との初顔合わせ、ピンク映画50年のアニバーサリー作品など、まさにピンク映画の現在の顔としての活躍っぷりだったのではないか。
彼女は、決して演技がうまいわけではないが、スクリーンに映し出された時の存在感は、並大抵ではない。
スクリーン映えのする女優、まさに映画女優と呼ぶのが相応しい。

それにしても、これまでの出演作品11本のうち8本が完全主演作品というのも、現在のピンク映画製作状況では通常考えられないことだ。それだけ、業界の期待が高い女優ということなのだろう。2015年も、益々の活躍を期待してやまない。


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6 友田彩也香の出現
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2015.5.3 『いんらんな女神たち 目覚め』舞台挨拶での友田彩也香

2014年にピンク映画デビューした女優は主演と2・3番手を合わせると30人を超える。
その中にあって、私に鮮烈な印象を残したのは『いんらんな女神たち 目覚め』に主演した友田彩也香だった。本作品は、竹洞組を中心に助監督として活躍している小山悟、渡邉組の助監督である永井吾一がそれぞれ友田彩也香を主役に撮ったオムニバス作品。
なかでも、一人の男と、彼の前に現れた、かつての恋人そっくりな女の謎めいたストーリーを語った小山パートは、友田のピンク初主演とは思えない堂々たる演技で、鮮烈な印象を残した。
すでに友田彩也香はVシネや商業映画でも演技の実績を残している女優であるから、演技初心者が多いピンク映画デビュー女優の中で比べるのは意味のないことかもしれない。
しかし、彼女の演技の巧さは、ピンク映画の世間の評価を変えることができるかもしれないと、ひそかに期待してしまうのだ。
本作品に続き、『背徳の海 情炎に溺れて』『野外乱交 殺したいほど愛してる』と竹洞組作品が二作、デビュー年に三作品の主演作が公開された。ピンク映画の主演はデビュー作と次回作の二本というのが、これまでのOP映画の暗黙のルール。例外なのは、最近では、愛田奈々、波多野結衣、きみの歩美くらいのものだ。
愛田奈々に続く、新たなピンク映画の顔として、竹洞組だけでなく、多くの現場で活躍が望まれる女優だ。
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7 上野オークラ劇場の孤軍奮闘

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上野不忍池入口という観光地のど真ん中にありながら、やりすぎ感満載なディスプレイで、日本人だけでなく中国からの観光客の度肝を抜く上野オークラ劇場!(笑)

2014年も新橋ロマン劇場、そして大蔵映画直営館である宇都宮オークラ劇場と、成人映画館の閉館が相次いだ。その中で、ネガティブ要素を全く感じさせない、イケイケなディスプレイやイベント展開で気を吐いているのが上野オークラ劇場だ。
自ら、日本一の成人映画館を公言し、またOP映画の旗艦劇場として、様々な企画や舞台挨拶を実施してきた。
また、上映する作品も新作の併映作に、同じ監督のデビュー作をカップリングするなど、封切館でありながら名画座的なプログラムを組むといった目立たないけれど意欲的な取り組みをしている。
大げさではなく、ピンク映画の命運を握った映画館、それが上野オークラ劇場だと私は思っている。
最近では、過去にボツになった企画を復活させたり、メイキングをYouTubeにアップしたりと、映画館の領域を超えた活躍も目覚ましい。
先に、2015年はピンク映画の正念場と書いたが、まさにその大きな部分を上野オークラ劇場が担っているといっても過言ではないだろう。
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上野オークラ劇場旧館と黒木歩


以上、とりとめもなく、2014年の極私的なピンク映画重大ニュースを書いてみた。
10個思いつかなかった(笑)
あくまでも、個人的な想いだと思って、お読みいただければ幸いです。

2015年も、ピンク映画が俺たちを愛してくれますように。


※本記事に掲載した画像は、ポスター画像を除き、すべてBATTLEBABESが撮影したものです。
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