2010年10月27日

ベルギービールクラブ紀行

大変遅くなりましたが、ベルギービールクラブでベルギーを旅行したとき(2010年6月5日から13日まで)のレポートを加納さんからいただきましたので、6回に分けてアップします。

※写真は別にいただいたので、内容と違っているかもしれません。

こちらをクリックすると続けて読むことができます)

  

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ベルギービールクラブ紀行(初日2010年6月5日)

2010-6-5BBC伊藤リーダーのもと、まじめなアルコール愛好家総勢9名でのベルギーの旅が、2010年6月5日11時名古屋空港からのフライトで始まりました。

機内では勿論、ORVALビールからテイスティングの開始です。ヘルシンキ経由でブリュッセルに到着。−7時間の時差の中をものともせず、バスでブルージュに 到着。現地ガイドの篠原さんに伴われ翌日訪問することになるDE HALVE MANN のZOT(ブロンド6%・ダブル7.5%・トリプル9%)とシノン(チコリ)とフリッツ(フライドポテト)などで夕食を済ませてから、もろもろの「過程」を踏んで(詳しくはバーリーに来店されてお聞きください)訪れた店で(STAMINEE DE GARREという店)GARREを味わい、胃の調整を行って時差ぼけを直しました。GARREはフレッシュ感がありしっかりとした味の飲みやすいビールでした。

  
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ベルギービールクラブ紀行(2日目 2010年6月6日)

訪問先 ブリュージュ De Halve Mann 醸造所

2日目は雨。雨の中最初のDE HALVE MANN 醸造所は1856年からビールを醸していたそうです。麦汁冷却用の最上階の銅製の槽や蛇腹の冷却器など、昔は冷却する事が大変難しかっただろう事を実感。ここでは昨日の3種類がなぜかとてもフレッシュに感じます。さっぱりとしたブロンドが雨の憂鬱さを払いのけてくれます。この醸造所は世界遺産であるブルージュの旧市街の中にあり、しかもすぐ隣がこれまた世界遺産のベギン会院修道院でした。中世がそのまま残るブルージュの町はどこを撮っても絵になります。歴史に取り残されたレンガ積みの家と石畳。時々通る観光用馬車の音がますますタイムスリップさせてくれます。

2010-6-7-2
  
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ベルギービールクラブ紀行(3日目 2010年6月7日)

訪問先
  ウエスト・フレテレン  Caf��� De Verde
  ルースラール  Rodenbach 醸造所
  ヴィヒテ  Verhaeghe Vichte 醸造所


3日目はいよいよ「話には聞いていたけど」のウェストフェレテレンです!!
残念ながら、ウェストフェレテレンは公開していないので傍のカフェで昼食前のアペリティフ。ラベルのない王冠だけのブロンド(緑色の王冠で5.8%)、ブラウン(青の王冠で8%)、ブラウン12(黄色の王冠で10.2%)の3種類だけ。アルコールとホップと甘みのバランスの良いしっかりとした「丸い味の」完成された感じがするビールだなあと思いました。ブラウン12はこれまたおいしいコーティングチーズとの相性が良く「大変おいしゅうございました」。このカフェの前の広大な灰色がかった麦畑の景色が、ここでしか飲めないビールをますます味わい深いものに変えてくれた至福のひと時でした。

ここからバスで一時間程かかり次はRODENBACH。
丁寧な説明をききながら1樽で6万5千リットルの容量のある巨大な樫樽が294本あるという熟成庫やキルン、近代的なステンのタンクに圧倒されながらの見学です。
この樽庫では先日結婚式が行われたという!ことでした。そして「試飲」!深く赤い色を見ながら、樫樽由来の熟成香とさわやかな酸味が舌の両脇に心地よい刺激を与えます。聞けばローデンバッハ家の何代目かがイギリスに学び「ポートスタイルビア」なるビールを目指したとか。樫樽での熟成もこの考えかたからでしょうか?かなり酸味のきつい「グランクリュ」なんかも、これはこれでまた有りかなあ です。

2010-6-7-1
ローデンバッハでの集合写真集合写真


つぎの訪問先はVERHAEGEHE VICHTEです。
古い(といっても1900年代初め)錆びにまみれた、1945年からの銅釜や時代ものの鋳物の階段などがまだある、家族経営の小さなブルーワリです。・・・がRODENBACHと同じく樫樽熟成のすばらしいビールでした。
聞けば、経営的にはかなり苦しかった時代があったようですがこのDUCHESSE DE BURGOGNE(多分6.2%と私の殴り書きのメモ?)はやはらかな、おだやかな、という形容詞が思いだされるすばらしいビールです。熟成期間の異なるブレンドで、糖を添加してアルコール発酵を補助していると言っていたと思います。(少しメモが怪しい?)そして、ECHTE KRICKクリークを試飲!これは「おみやげ」に1本頂き、日本に持って帰りました(つまり、重くても持って帰りたくなりました)。説明にあたった若い3代目?のしっかりとした物腰にこのブルーワリの姿勢を感じて、妹さんのお見送りも受けて本日と明日のお宿のシャトー・ナミュールへわくわくしながら向かって約2時間半。

2010-6-7-3
ウ゛ェルハーゲ集合写真


  
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ベルギービールクラブ紀行(4日目 2010年6月8日)

訪問先
  シメイ Chi may 醸造所
  ディベント Orval 醸造所

4日目はいよいよ「トラピスト」2大ブランドの日です。
まずはCHIMAYへ。CHIMAYについては日本でも販売されているし、赤・青・白の3種類ともに手軽に飲めるのでこの報告では中身については「略」です。そこで、このCHIMAYについて特に忘れられない深い印象を持った事を記しておきます。

それは
(1)完全に修道僧によって統制されているビールであること
(2)醸造所周囲の土壌、水質など環境管理が厳しく行われていること
(3)以上を前提として、また思想として使用される水・麦芽・ホップを含め「造る」ことのこだわりを、彼は(説明してくれたSTEVE MARANGONさん)「哲学」と言っていた事です。

もちろん、今まで全く知らなかったCHIMAY BLACK!・・・これは修道僧向けに造っている4.5%程度の低アルコールビール・・・ をご馳走になり、さらにランチまでご馳走になったからではありません。(ご紹介いただいた方には感謝)

2010-6-8
シメイカフェ集合写真


 そんなわけで、多くを語らずに次ぎの目的地であるディベントのORVALへ行きましょう。
ORVALはワロン地方独特の起伏のある土地の谷あいで大きな池の先に静かにたたずむ感じでありました。CHIMAYからはフランスに入りまたベルギーに戻り、地域的にはこの辺はフランスとの国境地帯です。
ORVALのあの独特なさわやかでコクのあるホップ味は、1次発酵後に乾燥ホップの俵を発酵槽に入れ2次発酵を行うことによるものでした。
このORVALはCHIMAYと異なり、修道院内での設備で醸造しています。
くやしいけど、このビールは「おいしい!」ですね。また、あのフランス革命で徹底的に破壊された遺跡は、シトシト降る雨の中とてもいい雰囲気でした。
考えてみれば、この国はローマから始まりノルマン、フランス、オーストリア、スペインなど異民族の統治を受け入れながら、壮絶な宗教戦争、フランス革命、産業革命、2度の大戦を経ている強靭な国です。こんな中で、カソリックの一宗派であるトラピスト修道院では「何も変えない」頑固一筋なビール造りが続けられてきたのですね。・・・この日は深い重たいビールと気持ちが重なり、ついつい冷蔵庫のビールが減っていました。
  
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ベルギービールクラブ紀行(5日目 2010年6月9日)

訪問先
  アシェフ D`ACHOUFFE 醸造所
  プールス Duvel Moortget 醸造所

5日目はブリュッセルへ向かって!!!シャトーを出発!

 ディナンの街に寄り、かたーい焼き菓子を買ってから城砦跡を見学。その後アシェフに向かいD`ACHOUFFEを訪問。
すでにかなりの見学者がたむろする中この醸造所を訪れました。私は始めて聞く醸造所だし、ブランドも全く知りませんでした。(後で知りましたが日本でも売られている)キャラクターが面白くて「かわいい」のです。ビールは軽めでコリアンダー添加のゴールデンブロンドLA CHOUFFEとフルーティを追求したようなMC CHOUFFE(ダーク)ですが、8%のアルコールを感じさせない「軽い」ホップのビールでした。また、初めて見たのですがチェコ産を主とする3種類のホップを「ペレット状」にしてあり、ちょっと違和感。(なお後で知ったのですがモルトガットで同じペレットを使っていました。現在はデュベルの傘下にあるそうです)

 さて、本日の最終目的地DUVEL MOORTGETへ向けて約3時間のバスの旅となります。
DUVEL MOORTGETはこれまた、巨大工場です。見学者も多数で、地元の団体さんもワッショイワッショイです。なにやら近代工場でコンピューターシステムによって管理された無機質で、ステンのパイプやらタンクやらが日本のビール工場を思わせる雰囲気。

 しかし、説明を聞いているとかなり手間暇かけた製造を行っていることがだんだんわかりました。
約90時間かけてモルト乾燥からウォート作り、チェコとスロベニア産のペレット状のホップ、加糖後2日間の1次発酵で酵母は1920年に手に入れたスコットランド産だそうです。さらにフィルタリング後再醗酵のための加糖と酵母添加をして瓶詰め。瓶内発酵は12百万本の容量のある倉庫で行うそうです。この間、(1次発酵開始から)毎日サンプリングとティスティングを行うそうです。

 やはり最後は人間の味覚・嗅覚・視覚だよりです。
醸造に使う水は、4つの自社の井戸で60M地下から得ているそうです。また余分なことですが工場見学者は「作業用のベスト」を必ず着用することが法律で決められているそうです。
  
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ベルギービールクラブ紀行(6日目 2010年6月10日)

訪問先
  ハーゼル Van Den Bossche 醸造所
       3Fonteinen 醸造所
  ブリュッセル Cantillon 醸造所

6日目。今日は今回の醸造所訪問最終日でブリュッセルからバーゼル行きです。

 はじめに、VAN DEN BOSSCHE醸造所です。
ここは、家族4人で経営しているという小さな醸造所です。説明にあたった若い彼は息子で、伝統的な職人の子供の姿態度です。概して醸造所の経営は小さな所ほど厳しい状況なのが伝わってきますが、もの造りへの情熱は彼の話振りからしっかりと感ぜられました。麦や麦芽を砕粉する(グリスト)古い機械をそのまま使い、マッシュタンも使い込んだいかにも小規模な醸造所です。

 ビールですが、これまた私には初めてのものです。コリアンダー、オレンジピールをつかったPATER LIEVEN 5%位は少しの酸が感じられるフルーティなもの、LAMORALは濃い目のどっしり感のあるものでした。ほかにはスタウトを思わせるBUFFLO9%があり、またクリスマス限定のものもありました。

 そんな小さなブルワリから昼食に立ち寄った3FONTEINEN。思いがけず醸造現場が見学できました。ここではランビックを製造しており、小さなマイクロブルワリと呼ぶ雰囲気で暗い熟成庫の中にはチーズも一緒にお眠りになっていました。そして・そして!!樫樽で熟成中のものを直接いただくことができました。
なにしろ、樽のなかでお休み中をいただくわけですから感激ひとしお!!です。ほのかに酸味とやわらかい・やさしい、熟した麦芽とホップを感じて味わいました。口当たりがとてもフレッシュでこれがブドウならシャンパンですよ。・・・・結構でした!!!。見学できて(試飲できて)ありがとうございました。この醸造所のある地区独特の気候とマイクロオルガニズム(極小の有機物・つまり発酵微生物)によってできるランビックだということでした。長いものでは20ヶ月の熟成を経てブレンドしているそうです。5%程度のアルコールでさわやかな飲み心地です。

 さて、最後はかのCANTILLONです。
もうあまりにも有名なランビックの醸造所で、ここは博物館にもなっているそうです。薄暗い屋根裏部屋におおきな銅製の自然冷却槽があり、これがこの醸造所の中心です。街中にある倉庫の一角という風情ですが、ここもこのビール造りに必要な条件があるのでしょう。蜘蛛の巣のあるような時代がかった天井にはところどころ穴があいており、日本だったら保健所が「とんでもない!」というところです。でもこれがここのビールを造りだしているんですね。

 今回は、全行程で9日間でしたがとても充実したビール旅でした。日本では発泡酒ですが(ほんとに変です!)様々な造り手からなるベルギービールはとても深い歴史・伝統、そして豊かな自然と伝統をまもる精神、さらに新しい事への挑戦もありそれぞれの個性あふれるビールとなっています。(故マイケル・ジャクソン氏に感謝です。)
 旅行中常に気配りいただいたリーダーの伊藤さん、お世話になったメンバーの恩田さん、木俣さん、明子さん、由佳里さん、田中さん、中村さん、同室いただいた安藤さん  この紙面をかりて御礼を申し上げます。

晴れた日のベルギーの田舎町で時間を忘れてゆったりとビールグラスを傾けたかったなぁ!と帰国してからつくづく思う私です。
2010・06・18 加納憲治

  
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